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ストーリー代表・CEO

社内起業家が自己実現できる場を。「特別なスキルや壮大な夢がなくても、新規事業はスタートできる」

最新ストーリー代表_一般社団法人REIONE

立ち上げメンバーが知り合ったきっかけは、ある男の直感と小さな勇気だった

河西 祐介/Yusuke Kawanishi
一般社団法人REIONE
代表理事

企業間の垣根を越えて共創ビジネスに取り組む

新規事業は苦悩の連続。組織のルールや既存事業との調整、収益化の目標など、制約がある中で成功させるのは決して容易なことではない。それでもビジネス環境の先行きが不透明な今、新規事業の開発・創出に奮闘する企業が増えている。その際に核となるのが、社内起業家だ。

そうした社内起業家が集い、経験を共有できるコミュニティづくりをメインに活動しているのが、「一般社団法人REIONE(レイワン)」。代表理事を務める河西祐介は、同法人立ち上げのきっかけをこのように話す。

「世の中には、アントレプレナー(起業家)同士が情報交換をする場は多くありますが、コンプライアンスや守秘義務などに縛られがちな社内起業家は、社外で交流する機会に乏しいです。彼らは新規事業を推進する中で、ノウハウやナレッジを蓄積していきますが、苦境に立たされることも少なくない。そこで互いに新しい発見をしたり、有益な時間を過ごせたりする交流の場があればと思い、REIONEを始めました」

河西を含む3人のメンバーで、2019年2月にスタートを切ったREIONE。新規事業を経験して得た知見をシェアし合うトークイベントや、スタートアップ企業向けのインキュベーション支援セミナーを開催しながら規模を拡大し、現在の会員数は70名に上る。

メンバーが増えたことで、活動内容の幅も広がった。それぞれが強みや特性を活かしながら協働し合い、社会的課題の解決や新たな価値創造に向けて、メンバーが自発的にプロジェクトを発足。時には企業や自治体といった共創パートナーと協業し、収益性のある事業づくりに発展することも増えた。

REIONEの特徴の一つに、紹介でしか入会できない点がある。そのことが、メンバーの一体感を生んでいるのだという。

「メンバーは所属企業の業界も、携わる事業の領域も異なります。年齢やバックグラウンドもバラバラで多様性の高い集団です。ですが、紹介制の採用によって共有できていることがあります。それはゼロからプロダクトやサービスを創る姿勢。REIONEメンバーは新しいチャレンジに対していつでも本気で、意欲的です。だからこそREIONE内でも、自然な形で新規プロジェクトが生まれますし、ビジネスとして成立させられているのだと思います」

エフェクチュエーション理論の実践が、今につながる

社内外で新規ビジネスに取り組むREIONEメンバーと接し、自身もまた事業づくりの経験を持つ河西。ゼロから新規事業を創り出す際に重要な心構えは、「難しく考えすぎないこと」だと語る。

「新規事業は苦労が多く、一筋縄ではいかないことばかりです。それもあってか、最近の日本社会には新規事業を神格化する風潮があり、壮大なビジョンや独創的なアイデアがなければいけないといった固定観念を抱く人も増えています。しかし、本来はもっと気楽に取り組んでもいいものだと思っています。『目標を掲げなければいけない』『抜かりなく準備しなければ』と頭を悩ませるくらいなら、一歩を踏み出してしまった方がよほどいい。新規事業の創出は、選ばれし者にしか成し遂げられない特別なことではなく、誰もが始められるものなのです」

河西のこうした考えの根源にあるのは、「エフェクチュエーション」と呼ばれる理論だ。起業家が実践する起業メソッドとしても注目を集めるこの理論は、5つの原則によって構成されており、従来の経営に関するセオリーとは異なる思考プロセスを持っている。

たとえば、目的よりも使える手段に重点を置いて考える「手中の鳥の原則」。「何を達成したいか」からではなく、自分たちの持つスキルやアイデンティティ、ネットワークなど、手元にあるリソースを起点として「何ができるか」を考え、手がける事業領域を決める方法だ。REIONEでも、この手法を活用してビジネスを生み出している。

河西がエフェクチュエーションと出合ったのは、前職での仕事と並行して通っていたビジネススクールの合宿でのこと。担当教員であった名古屋商科大学ビジネススクールの北原康富教授が、仕事と学業で忙しい中参加した学生のために持って帰れるトピックをと気遣い、最近の研究トピックとして披露してくれたものだった。当時の想いをこのように振り返る。

「この理論を知った時、自分を肯定された感覚がありました。ビジネススクールでは、緻密にデータを分析し、リスクや失敗を回避する戦略を立てるのが正当な経営論だと学んでいましたが、正直なところ違和感を覚えていたのです。しかし『一定の損失は許容する』『周囲を競合と見なさず、パートナーシップを結ぶ』といった、エフェクチュエーション特有の理念は自然に受け入れることができました」

前職では、事務用品の通信販売企業で新規事業に携わっていた河西。新ジャンルの商材を扱うため仕入れ先となる企業へ出向いていたが、相手は通信販売になじみの薄い、中規模製造業の社長たち。門前払いされる日々が続いていた。一方で、顧客となりうる町工場が集積するエリアにもチームメンバー全員で足を運び、実際に自分たちが販売しようとしている製品が、どのように使われるかを教わりに歩いた。

こうした活動で得られた知見に、通販会社の知見を足し合わせることで、仕入れ先企業の経営者たちが振り向き始めた。信頼関係の構築を図ろうとコミュニケーションを取るうちに、現場のリアルな声にこそ、事業の構想やアイデアのヒントが隠れていると痛感。「売る側」「買う側」と立場で分断するのではなく、同じ輪の一員としてリレーションシップを築くことを心がけた。そうした意識が功を奏したのか、河西が担当した新規事業は顧客から共感を呼び、結果的に売上も大きく伸ばしたという。

「あの時のアプローチの仕方は間違っていなかったんだと、エフェクチュエーションが証明してくれた」と河西は話す。

ビジネススクールで経営学を学び、エフェクチュエーションの理論を実践しようと思い立った河西。人とのつながりを増やすことにフォーカスし、社外交流会などに足しげく通った。そこで「週に3枚以上、新たな名刺をもらう」という目標を掲げた。

「ストイックにチャレンジしてみようと思い、異業種交流会やワークショップに積極的に参加し、週3人以上と名刺交換をして、お互い自己開示する時間を大切にしました。すると、自分が見てきたのはビジネスのほんの一部分でしかないと分かったのです。皆さん、自分の事業に情熱を注いでいましたし、私にはない視点で物事をとらえていました。もしかしたら自分にないものを持つ誰かと自分の能力を掛け合わせて、何か新しいことができるのではないか。そのようなことを考えるようになりました」

広い交流を通じて、新規事業における人とのつながりの重要性を実感し始めた頃。河西は運命的な出会いを果たす。REIONEを共に立ち上げた2人のメンバーとの出会いだ。知り合った場はそれぞれ異なるが、「職業もタイプも真逆の2人を会わせたら、化学反応を起こすのでは」と直感したという。

河西の勘は当たり、3人は意気投合。ピザを片手に、自分たちのキャリアや夢を思い思いに語り合う。それがREIONEの始まりだった。

「前職で新規事業を立ち上げる面白さを感じていた私は、いろいろな企業で新規事業に携わっていくキャリアパスを描いていました。起業や独立はまったく視野に入れていなかった。でもエフェクチュエーションに背中を押されて、普段より少し積極的に行動してみたことで、REIONEは動き出しました。立ち上げメンバーの2人に『今度集まってみませんか?』と声をかけた当時の自分を誇らしく思っています」

組織では叶えられないことも、REIONEでなら実現できる

本業と両立しつつ、REIONEでの活動にも高いパフォーマンスを発揮するメンバーたち。その理由は、ポリシーに掲げている「個の尊重」を体現する環境にある。

「企業で社内起業家の立場になっても、組織上のルールや条件が厳しく、自分のアイデアを100%形にできない場合も多いでしょう。しかしREIONEには、同じ志を持つ仲間と共に、自分たちの実現したいことにコミットできる環境があります。だからこそ、限られた時間の中でもモチベーションを維持して、本気で取り組むことができるのだと思います」

さらに「メンバー同士がリスペクトし合っている」こともREIONEの魅力だろう。自分の持ち味や能力を見出せなかったり、自信を持てなかったりしても、同じ時間を過ごす中で互いの良さを引き出し、活かし合う風土がある。自分の得意分野や適したポジションを知ることが、本業にもシナジーを与えると河西は期待する。

スタートを切って3年が経過したREIONE。多方面から共創の声をかけられることが増え、今後はパートナーとの事業づくりにも力を入れる予定だ。特にDXによる地方創生の領域には河西自身も可能性を感じており、REIONEのメンバーが持つ技術を最大限に発揮しながら、チャレンジを続けていきたいという。

しかし河西の思考のベースには、常にエフェクチュエーションがある。目標は持ちすぎないのが流儀だ。

「法人を立ち上げた者として、もちろん責務は果たすつもりです。しかし大きなゴールや立派な展望を持つ必要はないというのが本音でもあります。REIONEのメンバーである社内起業家たちが、悩みや経験を共有しながら、自分のやってみたいことやできることを実現できる場であり続けることが私にとっての幸せです。立ち上げ当初と変わらぬ想いで、コミュニティ運営を続けていくつもりです」

そして新規事業への想いをこう締めくくる。

「ゼロから事業を立ち上げて、少しずつ成果を上げていくことはとても楽しい。だから、新規事業を考えるなんて無理と決めつけないでほしいのです。初めはセオリーも戦略もなくて大丈夫。やってみようという気持ちとコミットしてくれる仲間を見つける意志さえあれば、すぐにでも始められるはずです」

公開日:2022年9月8日

Profile

1983年生まれ。名古屋商科大学大学院(MBA)。2006年、株式会社日比谷花壇入社、2013年からアスクル株式会社にて企業内新規事業に従事。2018年から、株式会社NTTドコモにて社内新規事業制度の設計・運営と社内起業家育成のプログラム開発などに取り組む。2019年に大企業で新規事業に取り組む仲間と共に一般社団法人REIONEを設立。社内起業家仲間と共に、大手企業の新規事業開発の支援、地方自治体のDX支援、学術研究などに取り組む。また、自身でもアイコニックビート株式会社を設立、インキュベーション事業をスタートし、大手企業のイノベーションプロセスの設計から、地域で次世代を担う高校生のイノベーション教育まで、幅広く事業創出の分野に挑戦している。

Contact
東京都港区南青山2-2-15-942

Staff

インタビュー・執筆:堤真友子/編集:勝木友紀子
撮影:田中振一

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