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ストーリー代表・CEO

どんな環境でも生き残れる「人間力」の高い人材を育て上げる

代表_ITカンファー

ソフトバンクのネットワーク、
通信機器の進化を支える

自己破産、難病――
数々の困難を抱えつつ
使命と掲げるのは「人材育成」

ITカンファ―株式会社
代表取締役社長
鈴木 義経Yoshitsune Suzuki

社会人として通用する「人間力が高い人」を育成したい

「だめだ、ここ電波がつながらない!」――少し前までは頻繁にあった「通信圏外」に、最近ではめったに遭遇しなくなった。通信環境が整い、人々は携帯電話やスマートフォンを快適に使えるようになっている。そのプロセスを支え続けてきたのがITカンファ―株式会社だ。

同社はソフトバンクをメインクライアントとし、サーバ・ネットワークの設計・構築・運用・保守や通信機器の評価試験・解析・ソフトウェア開発を手がけている。公共施設で何百人もの人が利用するアンテナの検証作業や、地下鉄内でも電波がつながる機器の開発など、これまで、そしてこれからも続いていく通信環境の整備・保守・進化を担っている。

ネットワーク系・サーバ系エンジニア、プログラマーを募集しているITカンファーには、毎年多くの新卒・第二新卒が入社しているが、その多くが技術を専門的に学んだことがない未経験者だという。基礎から学べる研修や資格取得支援制度など、未経験者でも早い段階でエンジニアとして成長できる育成体制を整えているのだ。ネットワーク業界では導入研修後、「いきなり1人だけで現場に放り込まれる」といったこともありがちだが、同社の場合は既存チームの一員となって、先輩のサポートを受けながら実務経験を積んでいける。

しかし、代表取締役社長の鈴木義経は「 “一人前のエンジニア”を育てるだけでなく、もっと大事にしたいことがある」と言う。

「僕は対応力や適応力のある“人間力の高い人”を育てたいんです。人間力が高い人は、仕事をする上で必要なことを理解していますから、どんな仕事に就いても結果を出すことができる。自らの人間力を高めて、どこで働くことになっても、社会で通用する人になってほしいんです」

「人間力を高める努力が、いずれ自分のためになる」。それを社員が理解できる環境やきっかけをつくることが自身の役割であり使命だと、鈴木は考えている。そのため、伸び悩んでいる社員を自ら育てることもあれば、ときには嫌がられようとも、口うるさく社員を指導することもあるという。

なぜそこまでして「人間力の高い社員を育てる」ことに強いこだわりを持つのか。その想いの背景には、自らの壮絶な人生経験があった。

得意技を活かして起業した結果、多重債務を抱え、自己破産

東京の多摩地区で生まれ育った鈴木は、中学時代はブラスバンド部に所属。高校に入ると、体格を見込まれて陸上部に入り、都大会において砲丸投げで優勝、ハンマー投げでは2位ながらも当時の東京都高校記録を樹立し、両種目でインターハイに出場した。

しかし、大学2年生のとき、人生に迷い始める。両親の離婚をきっかけに、「自分の人生はこれでいいのか」と考えるように。そして大学を中退し、流浪生活に入っていく。

東京を離れ、これまでとは異なる世界を体験する中で、初めてパソコンに触れた。特に『Macintosh』に未来を感じた鈴木は、「自分の手で扱いたい」と思い、大手家電量販店に就職。パソコンにくわしかったため、プロバイダーサービスの担当者に抜擢された。しかし、鈴木が興味を持っていたのは当時大流行していた『Windows95』ではなく、映像や音楽などを扱うマルチメディア。当初はネットワークにも興味が持てなかったが、この頃に得た知識が、のちの鈴木の人生を助けることになる。

パソコン分野に自信を付けた鈴木は「自分一人で何でもできる」と考え、入社1年半後に家電量販店を退職。1997年に会社を立ち上げた。日本道路公団のデータ処理の仕事を獲得するほか、企業のパソコンサポートの仕事も手がけ、順調に進むかと思われた。

ところが、「実はここから大変になるんですよ、僕の人生は」。なぜかワクワクした表情の鈴木からあっけらかんと語られたのは、想像を超える波乱のエピソードの数々だった。

安定していると思われた日本道路公団の仕事は、民営化を機にすべてストップ。「これからどうしよう」と焦るところへ、取引先企業から新サービスでの提携を持ちかけられた。その業務を請けるため、1千万円以上の融資を受け、何百万円もする機材を購入。ところが、その仕事は1~2件で途絶え、あっという間に借金を返すために借金をする「多重債務」状態に陥る。

「多くの人がそうであるように、自分にも『正常性バイアス』が働いた。『自分は大丈夫』とか『そのうち何とかなるだろう』と、楽観的に構えていました」

しかし、何ともならず。売れる家財道具はすべて売り払い、ついには米も買えない生活に。そんな中、息子がぜんそくを患い、「入院費用を稼がなければ」と切羽詰まって引っ越し屋のアルバイトを始めた。だが、すでに30代、荷物をかついで5階まで駆け上がることができない。バイト仲間の学生から「鈴木さん、使えねーな!」と言われても、「ごめんね」としか返せなかった。

この苦い思い出を、鈴木は「プライドを壊してもらえてよかった」と振り返る。

「この頃が人生で一番のどん底かな?と感じていました。自分の人生どうなっちゃうんだろう?とか。未来を考えると、果てしなく続く人生の階段があって、上の方を見てしまうと嫌になっちゃうんですが、とにかく黙々と足を動かすことからやろう、と。そんなとき、パソコン移設の仕事をやらないかと言われて。数ヵ月前なら、『社長だった自分が今さらそんな仕事』とあしらっていた。でも、素直に『ぜひ』と言えたんです」

パソコン移設の仕事ぶりが発注元の親会社の目に留まり、その会社に入社。この時期からソフトバンクの仕事を手がけるようになった。

そしてこの頃、もう一つの決断をする。「自己破産」の申請だ。

自分一人で稼ぐには限界があるということがわかった。だから、再びチャレンジするにあたっては、組織をつくることで稼げるようになってやる、と決意したという。

その機会は2008年、当時在籍していた会社が倒産の危機に陥ったときにやってきた。「経験の浅い若手社員をリストラする」と聞き、「違うやり方があるはずだ」と訴えていたところへ、解雇予告通告を受ける。そこで、「まだ一緒に働きたい!」と申し出たメンバー7名と共に、ITカンファーを立ち上げるに至った。

代表取締役社長 鈴木 義経 / Yoshitsune Suzuki

チャンスをつかめていない人、失敗した人にも「挑戦できる環境」を

鈴木に降りかかった苦難は、多重債務からの自己破産だけではない。実はこれまで、次々と深刻な病に襲われているのだ。30歳を前に遺伝性の糖尿病が発症し、今もインスリン注射を打ち続けている。椎間板損傷により左足が麻痺し、仕事を数ヵ月休んだこともあった。

それだけでは終わらない。手足に突然力が入らなくなって検査してみると、慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)という難病に侵されていることがわかった。

IT企業の社長でありながらいつも軽装なのは、指先が細かく動かず、ボタン類の着脱が困難だからだ。さらに追い打ちをかけるように悪性リンパ腫も見つかった。

命がいつ尽きるかもわからない状況に立たされている鈴木。しかし、そんな境遇を語る間も、終始大らかな笑顔で「人生は意外とどうにかなる」と言う。

「たとえ肉体が死んだとしても、1年に1回でも誰かに思い出してもらえたら、生きているのと変わらないと思うんです。僕はそういう形で長生きをしたい。だから、いろいろな人と関わり合いたいし、いろいろなインパクトを与えたいんです」

鈴木は現在120人規模の会社を300~500人規模にまで拡大することを目標に掲げ、動いている。事業領域を広げ、人を雇用し、育成する。それを自らの使命とした。

会社経営という観点では、今のやり方よりもっと効率よく利益を高められる方法があるとわかっている。社員を道具として使えば容易なことだ。しかし鈴木は、たとえ時間がかかっても、「人間」として強い社員を育てていきたいのだと言う。

「僕は運がいいな、と思っています。人にも恵まれています。あれだけの失敗をしたにもかかわらず、今こうやって好きな仕事をやっていられますし。失敗しても這い上がるチャンスはたくさんあると思います。ただし、チャンスは好機であり、成功とは違う。チャンスが来てから頑張っても遅い。いつチャンスが来てもすぐに動けるよう、いかに日頃から準備をしているか、これが本当に大切です。それを若いメンバーに伝えたいですね。とはいえ、ずっと頑張り続けろ、なんて言いません。僕自身、もともとぐうたらな人間です(笑)。だから、サボるために全力を尽くす。一瞬一瞬に全力を尽くす時期を過ごすことが未来につながっていくから、そんな皆の頑張りを支えていきたいんです」

鈴木だけでなく他の幹部社員たちの多くも、他業界で失敗して、この会社で人生の再起を図り、這い上がってきた。だからこそ、失敗して自信をなくしている人、困難から逃げて堕落している若手の気持ちを理解できるし、受け入れる度量がある。

「今、自分が何を選択すべきなのか。何を頑張るべきなのか。それに気付けるきっかけをつくれる会社、正しい方向で頑張れる会社でありたいと思っています」

 

代表取締役社長 鈴木 義経 / Yoshitsune Suzuki

リスナーの目線

苦しい経験を話すときも、なぜか目を輝かせ、楽しそうな鈴木社長。「ひどい目に遭うほど、『これはおいしいネタになるな』と思うのだとか。「一番つらかったことは何ですか」とたずねると、返ってきた答えは、仕事・財産・健康を失ったことではなく、「“その人のために”と思っても、その気持ちが伝わらず、失敗する姿を目の当たりにするのがつらい」でした。社員の成長のために、自らの人生を懸けようとする覚悟が感じ取れました。

インタビュー・編集/青木典子、流石香織
撮影/新見和美

Profile

東京都八王子市出身。中央大学文学部を中退し、石川県の農業短大を卒業。株式会社ノジマに就職し、ネットワーク系のサービスの販売員を務める。約1年半後に退職し独立。しかし、多重債務に陥り、パソコン・ネットワーク関連の仕事でフリーランス、会社員などとして勤務。ソフトバンクの仕事を手がけるようになる。在籍していた会社が倒産の危機に陥ると、リストラされそうなメンバーを引き連れて、2008年11月にITカンファーを設立した。

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