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ストーリー代表・CEO

編集者・佐渡島庸平氏と探る P.G.C.D. JAPANの新たな可能性

最新ストーリー社員_ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン(P.G.C.D.JAPAN)

株式会社ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン(P.G.C.D.JAPAN,Inc)
代表取締役 CEO
野田 泰平/ Taihei Noda

株式会社コルク
代表取締役社長
佐渡島 庸平/ Yohei Sadoshima

『P.G.C.D. JAPAN』グループ代表取締役CEOの野田泰平と深い親交がある佐渡島庸平氏。お互いを「サディ」、「ノディ」とニックネームで呼び合うほど。そんな二人だが、お互いの事業を始めたきっかけや根幹の部分までは、意外と話をしたことが少ないという。
今回は、そもそもなぜ石鹸だったのか、P.G.C.D. JAPANの始まりに編集者でもある佐渡島氏がせまった―。

肌が「美味しい」と言う石鹸づくりを目指して


野田泰平(以下、野田):佐渡島さんとは、経営者としても友人としても、長くお付き合いさせてもらっています。今日はいつものように、ニックネームの「サディ」と呼んでいいよね?

佐渡島庸平(以下、佐渡島):じゃあ、僕もいつも通り「ノディ」でいこう。今日は、僕の方からノディに質問していきたいな。ずっと聞きたかったんだけど、ノディはどうして石鹸、化粧品をつくろうと思ったの?

野田:僕は、もともと大学で建築デザインを学んでたの。例えば、世界三大建築家※1とされているミースやフランク達。彼らのデザインは「こんな家住めないよ!」と言いたくなるものだけど、すごくシンプル。シンプルとは、言い換えれば住む人自身で暮らし方をデザインできるということ。こうした人の生き方につながる、その人自身が参加できるデザインをしたかった。

佐渡島:「人の未来をつくりたい、そのためのデザインをしたい」と思っていたんだ。

野田:そう。でも、建築の勉強をしていくにつれ、どんなに素晴らしくても、デザインは常に値切りの対象とされる現実を知った。そんな中でデザインをやっていくのは相当難しいと感じたし、デザインが価値として認められないことが疑問だったんだよね。そこから「プロダクトを通じて人の人生、未来をデザインしたい」という想いが湧きあがってきて、自分で事業を始めることにしたの。

佐渡島:そこで石鹸を選んだのはなぜ?

野田:化粧品がいらなくなる世の中だったらいいなって。進学のために初めて上京したとき、電車の中で座りながら化粧をしている人を見かけて、すごく嫌悪感を覚えた。「美しくない」って。人を美しくする行為が美しくないって。このときの想いがずっと心にあって、そこから、化粧品がいらなくなるようなビジネスをつくりたいと考えるようになった。それが原点の一つではあるね。

佐渡島:でも、何かをつくるとき、一般的には自分が使いたいものをつくるじゃない。化粧品を扱うにしても男性なら、マーケティングとか財務の方面にも選択肢があったはず。なぜ、つくる側に?

野田:化粧品って、第二次世界大戦後の荒廃した日本において、女性たちが笑顔になれるようにとつくられた歴史を持ってたりする。でも、今となっては環境汚染の一因になってしまっている。さらに、電車の中でメイクするような美しくない行為を招いているくらいなら、化粧品なんていらなくなる方がいいじゃないか。そもそも素肌がきれいであればファンデーションもいらなくなる。
素肌が美しくなるスキンケアを開発して、化粧品がいらなくなる世界を目指そう、と思った。
そこで、使ったらなくなる、ゼロになる石鹸に憧れるようになったんだよね。

佐渡島:なるほど。「どんなものが世界を変えられるんだ?」と考えながら、20代前半で起業に至った、と。でも、どうして「石鹸そのもの」を自分でつくろうと思ったんだろう?買ってきて売る方法もあるよね。どうやって今のフランスのラボを見つけたの?

野田:フランスやスイスの大使館を訪ねて相談したら、快く工場を紹介してくれたんだよね。大使館には日本と自国のビジネスをつなぐ役割もあるから。

佐渡島:大使館側で工場をリストアップしてくれたそうだね。すごく親切。その中で、フランスのLORCOS社(ロルコス社)に決めた理由は何だったんだろう。

野田:フランスのロレーヌ地方にあるLORCOS社はフランス原産のさまざまな成分を使っていて、工場長も職人気質の方。日本で味噌をつくっている職人のような、細部までこだわりを持っている。そこで「肌が美味しい!」と言ってくれるような石鹸をつくりたいとお願いしたんです。

佐渡島:P.G.C.D. JAPAN の石鹸は、一般的なものよりも高価ですよね。起業したとき「石鹸でこの価格は市場で受け入れられるだろうか」と思わなかった?どこまでこだわったらOKだと考えていた?

野田:自分の中でのボーダーラインは自分の肌が「美味しい!」と言えるレベル。でも、表現するのが難しくて、なかなか人に伝えられないんだけど。僕は農業が盛んな地域で育ったから、子どもの頃から口にするものは、ほとんど親族が自分の畑でつくったものだったんだよね。自然も周りに多いから、四季によって「緑」も全く違う「緑」の姿をしてるし、「川」もただの川のイメージじゃなくて、音やシーン、温度とかのすべてが僕の言葉の中に溢れてて…。四季折々の自然を五感で感じられる生活をしてきたので、素材の良さや本物であることは譲れないし、感覚として身に染みているんだと思う。それがいいか悪いかは置いておいて、自分の「こだわり」とか、「美味しい」とかの感じるレベルはしっかり持ってるかな。



「More better」じゃなくて「Different」を目指す

佐渡島:今、P.G.C.D. JAPANの定期的に購入いただいている顧客数は3万人なんだよね。その数のお客様が続いているのがすごい。漫画だって、3万部を売り続けるのは難しい。どうやって、市場の中からP.G.C.D. JAPANを見つけてもらえたんだろう。大学生だった20歳のときから工場を回って、ECも自分で立ち上げたんだよね。そういうときって「いい石鹸つくれるのかなぁ」とか不安にならない?それを信じられるのはなぜだった?

野田:「この石鹸はお客様にとって、喜ばしいものになる」という強い想いがあったから。ECは建築デザインをやっていたときに、自分で作品をWebにあげていたので、リテラシーが高かったんだよね。CRM(顧客管理)も自分でやってたし。「モノを売る」のではなくて「美しくなるプロセス」をお客様に継続して伝えるんだ、という気持ちだった。

佐渡島:事業を開始した当初、なぜ「この価格で売れる」と思った?難しくない?

野田:やっぱり、石鹸を売るのは難しいよ。でも僕は難しいっていいことだと思っている。僕は、P.G.C.D. JAPAN の石鹸は「安い」ではなくて、「本当の価値」で売ることがすごく大事だと思っているから。学生時代に建築家の先生たちがデザインを値引きされてしまったせいで、日本の建築業界がボロボロになり、デザインが正しく評価されない世の中になってしまったことを嘆いていた。その姿を見て、価値を下げるって何のためにもならないんだなって強く思ったんだよね。だから、僕たちに限って言えば、価値を上げるための努力はするけど、価格を下げるための努力はいらないんじゃないかなと思っている。創業以来、価格は上がっているけど、1度も値下げはしていないんです。プロダクトの価値が上がっているのに、値下げするのはなぜなんだろう、と考えているから。2004年頃、他社が手軽なオイルクレンジング商品を販売開始したこともあって、「マーケティング的にはどうなの?」と言われたこともあったよ。でも、僕はそこに迎合しようと思わなかった。P.G.C.D. JAPAN は「More better」じゃなくて「Different」でいくべきだ、と。
 
佐渡島:うーん、ノディのその価値観はどこまで大きくなるんだろうね。

野田:そう。だから、モノを売るのではなくて、P.G.C.D. JAPAN のプロダクトが美しくなるための習慣、お客様がなりたい自分になるためのプロセスの一部になりきれたら、もっとパワーアップしていくと思う。
僕は、プロダクトを通じて生まれたお客様と僕たちの関係性が大好きで。創業当時から、お客様を会社にお招きして、月に数回お話する機会を設けているん
だけど、その度に「お客様を裏切ってはいけないな」と思う。P.G.C.D. JAPAN を愛してくれるお客様を増やしたいという想いが事業を続ける原動力になっているんだよね。



プロダクト開発のキーワードは「耐久性」

佐渡島:ノディのその価値観を他のプロダクトまで広げていこうとは思わないの?「丁寧な生き方」のところで、化粧品以外にも横展開していけそうだけど。

野田:スカルプケアはリリースしたし、次はデンタルペーストを考えてる。

佐渡島:やっぱり洗面所の中で「丁寧な生き方」に関わるものなんだ。そこでドライヤーや鍋とかをつくろうとは思わないんだね。じゃあ、香水はあり?

野田:ドライヤー、鍋はないなぁ。商品に温かみを感じられないから。でも香水はあり得る(笑)。

佐渡島:ノディのこだわりが、どういうポイントなのかまったく分からないのがおもしろい。漫画家でいうと、いきなりファンタジーの漫画を描いてきて「これは丁寧な生活に関わるんです」っていっている感じ(笑)。P.G.C.D. JAPAN は、ノディのポエマーな部分を具現化しているんだね。

野田:石鹸の良さってね、使う人が「Participate(参加)」できることにあると思う。石鹸には、積極的に手を動かして泡立てる行為が必要でしょう。昨年、僕は東大の先端研に行って、1年間『凹デザイン(ぼこデザイン)』っていうのを勉強してきて、そこで「完璧なデザインは人を退化させる。すべてデザインがやってくれるから」と学んだ。凹があるからこそ、人のイマジネーションが広がり、創意工夫とか、アイデアとかイノベーションが生まれる。すごくP.G.C.D. JAPANの石鹸ぽいなって思ったし、これからはそれをやっていく世の中じゃないといけないな、と思った。

佐渡島:つまり、参加型のプロダクトということか。ドライヤーとか鍋とか、ただ受容するだけのものではなく。ノディのそうした考え方は僕の仕事にも近いところがあるよね。新人作家を世に出すとき、同じようなことを考えている。

野田:そう、作品づくりに参加していることになるよね。新人の作家さんを発掘するときに、サディが基準にしていることはある?

佐渡島:新人作家を見つける時や、小説とかを読む時に、「耐久性」の高い言葉を使っている人はOK、「耐久性」の低い言葉を使っている人はダメ、という言い方を僕はしている。
読んでいて、これは10年後にはなくなっている言葉、これは50年後も使われている言葉だな、とか。何をもって「耐久性のある言葉」とするかというのは、美意識に寄り過ぎていて、一般の方には分かりにくいと思う。それは「凝縮性」の考え方だけどね。

野田:そうだよね。僕も耐久性のないプロダクトをやるつもりはない。石鹸は8世紀からヨーロッパで製造され、売られているからね。日本はまだ平安時代だった頃だよ。
サディの話を聞いて、自分はこれまで「耐久性」という言葉はずっと使ってなかったけど、考えにはずっとあったんだな、と思った。確かに僕は耐久性のあるものにすごく惹かれる。これからのプロダクト開発の指針になりそう。今日は大きな気付きをありがとう!



Profile

【野田 泰平】

株式会社JBI GROUP(JBIG)代表取締役 Founder CEO、株式会社ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン(P.G.C.D.JAPAN,Inc)代表取締役 CEO。1979 年福岡県⽣まれ。

<学歴>

kuwasawa Design School 卒業

Globis 経営⼤学院 卒業

<学位>

建築学⼠ BARCH (Bachelor of Architecture)

経営学修⼠ MBA (Master of Business Administration)



【佐渡島庸平】 

株式会社コルク / 代表取締役社長
1979年生まれ。中学時代は南アフリカ共和国で過ごす。灘高校から東京大学文学部に進学し、大学卒業後の2002年に講談社に入社し、週刊モーニング編集部に所属。『バガボンド』(井上雄彦)、『ドラゴン桜』(三田紀房)、『働きマン』(安野モヨコ)、『宇宙兄弟』(小山宙哉)、『モダンタイムス』(伊坂幸太郎)、『16歳の教科書』などの編集を担当する。2012年に講談社を退社し、作家のエージェント会社、コルクを設立。

※1【世界三大建築家】
フランク・ロイド・ライト(米)、ミース・ファン・デル・ローエ(独)、ル・コルビュジエ(スイス)のこと。フランクロイドは帝国ホテルライト館、ミースはファンズワンス邸、コルビュジエはサヴォア邸に代表される。


ライター・編集/高橋奈巳、西野愛菜

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