
「楽しく働く」をモットーに最速で支店長へ。直感を信じ、女性のキャリアモデルを体現。
株式会社ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン(P.G.C.D.JAPAN,Inc)
代表取締役 CEO
野田 泰平/ Taihei Noda
アイオー総合研究所 所長
今成 淳一/ Junichi Imanari
野田泰平(以下、野田):今成先生も講師を務める「ドラッカー塾」で学んだとき、「これこそ私たちが進むべき道だ」と確信したことが、JBIGにドラッカー経営を導入するきっかけでした。
今成淳一(以下、今成):野田さんが本当に熱意を持って、「ドラッカー経営に真剣に取り組みたい」と語っていたのがすごく心に残っています。
経営者が「事業を成功させたい」「会社を変えたい」と思ったとき、まず自分自身が学び、変わることが第一歩です。
それをドラッカーは「真摯さ」という言葉で表現しています。野田さんは、まさにそれを実践しようとしておられる。
野田:取締役をお願いするにあたり、「私は絶対に、本気でやり切ります」と先生にお約束しました。
今成先生は、P.G.C.D.についてはどう思われましたか?
今成:最初に伺ったP.G.C.D.の使命や、イノベーションを起こしたいというお話が印象的でした。
「美しくなる習慣をデザインする」ということは、日本人にとっての「美」、これからの美とは何なのかを問うていますよね。
「習慣」とは「生きること」。どう生きていくのかをデザインしていくことで、日本や世界に貢献しようとしているのではないか、と感じました。
それはおそらく、これからの日本企業にとって、すごく大きな試金石になるのではないかと思っています。
野田:ありがとうございます。ところで、ドラッカーは日本画のコレクター、かつ日本文化に精通していたと言われており、本人も「日本人はドラッカー経営に向いている」と話していますよね。
今成:ええ。ドラッカーはオーストリア出身ですけど、日本文化や日本人経営者から学んでいることが多いようで、「私は日本人の代弁者だ」と語ったそうです。
ドラッカーはヨーロッパ人でありながら、日本人の経営手法を活かして、世界に紹介しているという面もあるのではないでしょうか。
野田:私も、「日本人とドラッカー経営はすごく近しい部分がある」と語ったドラッカーの想いに近づきたいと思っています。
私はまだ、ドラッカーの神髄にはほど遠いですが、彼の言う「貢献」の精神が、日本人に合っているのではないかと思います。
「自分だけよければいい」ではなく、社会、仲間、顧客に対して、どう貢献しているかをドラッカーはよく問いかけていますよね。
私は会議のとき、社内のメンバーに「自分はどう仲間に貢献しているか」「他部署に貢献できることは何か」と必ず聞いています。
自分だけが成果を出せばいいということではなく、どうやって他部署に貢献して、皆で成果を出すかを考えることが、すごく重要なんじゃないか、と。
今成:例えば、私たちの中にある「利他の精神」といった日本人的な考え方は、大切にしていくべきだと考えています。
ドラッカーマネジメントと日本人としての生き方をリンクさせながら経営していくことも、日本人経営者のこれからの在り方なのかもしれません。
野田:今成先生には、P.G.C.D.の主要なメンバーに『ドラッカー研修』という形式でドラッカーの考え方を教えていただきましたよね。
メンバー皆が、素直に真剣に向き合っていると感じました。
今成:そうですね。ドラッカーは、マネジメント全体の「基本と原則」を明らかにしてくれた人。
方法論ではなく、マネジメントの全体像、概念を示してくれたんです。ですから、ドラッカーの考え方は、経営や管理をされる方に、最初に身に付けていただきたい内容です。
基本である「お客様に貢献するために仕事をする=顧客の創造」の部分を誤ってしまうと、働く意味が変わってきてしまう。
たとえば、お金のため、生活のため、名声のためなど。もちろんそれらも必要なことではありますが、事業の大元にあるのは「お客様のため」であることを、しっかり内外に理解してもらうのが大切です。
働く価値や働きがいは、こうした信念の上にこそ生まれる。それを最初に学んでほしいと思います。
野田:つまり、ドラッカーは「あなたはこの仕事を無償でもやりますか?」と問いかけている。それって究極ですよね。
会社に集まっているメンバーが想いを持って取り組める仕事かどうか、事業に価値を感じてくれる人を仲間にできているかどうか。
私は、それぐらい情熱を持った人が集まれるような会社を創れているのか、と考えたとき、まだまだ遠いなと思いました。
「お客様のため」というのは言葉だけだと綺麗だが、それだけでは仕事はできないと否定的なことを言う人も出てくるかも知れません。
でもドラッカー経営ではそこを乗り越えて、徹底的に「使命は何か」「顧客は誰か」「顧客は何を価値と考えるのか」「成果は何か」「計画は何か」と問いかけてくる。私はこのドラッカーの『五つの質問』をメンバーにも考えてほしかった。
今成:会社というのは、事業そのものももちろん大切ですが、そのために働いている人のマネジメントも必要ですし、組織とか仕事とか全体を覆うわけです。
その意思決定ができないと、経営はうまくいかない。
そういう意味でも、企業という全体像の基本を教えてくれるドラッカー経営は、すごく有効なのではないかなと思いますね。
野田:そこで私は、ドラッカー研修を受けるメンバー全員に宿題を出しました。
それは「必ずお客様と面会して、お客様の話から導き出した答え、もしくはその考えを持って、最終的な提案をおこなう」というもの。
私たちの販路はECのみのD2C(Direct to consumer)ビジネスなので、お客様と直接会わなくても成り立つんです。
でも、お客様たちがなぜ私たちのお客様になってくれているのかについて、生きた声を基に、会社として向き合うことが本当に重要だと考えているからこそ、メンバーに対してそういった宿題を出したんです。
今成:まさに、自分たちの使命、顧客は誰か、顧客は何を価値と感じているかをメンバーの皆さんに問いかけたと。
野田:私はマーケティングにおいて、「データだけで解釈するのは絶対にしてはいけない」と言っています。
実際にお会いしたお客様の言葉から感じたこと、気付いたことに対して、私たちは何をすべきか、お客様にどう貢献するのかを考えることが、P.G.C.D.の商品やサービスになる。
それは、データのどこにも載っていないこと。お客様と向き合うことが「P.G.C.D.らしさ」の一つです。
今成:その結果、社員の皆さんは改めて「お客様の声って大切なんだ」と気付いたんじゃないでしょうか。
実際にお客様と接してみて、真に自分の体験として身に付けることができたと思います。
野田:お客様とお会いするたびに、私たちはお客様から商品への愛を教えてもらっています。
「もうこの石鹸だけは世の中からなくなったら生きていけない」「この石鹸は私の体の一部」と本当におっしゃるんです。
自分たちの商品がどれだけのお客様を生んで、かつどんな価値を感じてくださっているか。
それらを深く知ることで、プロダクトの社会に対する必要性や、石鹸を通じて社会にどんな貢献ができているのかを、ドラッカー経営を実践したことで皆が理解してくれました。
今成:つい2年前までは、お客様とお会いすることに苦手意識を持っていた社員さんも多かったのですが、今はもう「わからないことがあったらお客様に聞こう」という考え方に変わりましたね。
野田:お客様の声を聞くことの本質的な意味を理解しているかが重要です。
そこを私自身が伝えきれていなかったのですが、ドラッカーという「型」があることで伝えやすくなりました。
ドラッカーの『五つの質問』から『八つの目標』を通じて考えていくプロセスがすごくフィットしたと思っています。
今成:どの会社にも経営理念や使命がありますが、極端な話、「本音と建前は異なる」というところもあるでしょう。
でも、それは違う。企業は顧客を創造することでお金が生まれ、利益が出る。
だからこそ、お客様の声を聞くことと自分の仕事はつながっていると言えるのです。
しかし、「この商品は素晴らしい」と言う方がいる一方で、そうではない方もいる場合、自分たちはどうするべきか。
さまざまな決断を迫られたり、仕事の仕方を変えたりする必要が出てくる。誰かに貢献した結果が利益を生むとすると、いい加減な仕事は許されないのです。
野田:そうですね。ある意味、とても厳しい道を行くことになる。
今成:実は、基本的に私たち人間は「変わる」ことが怖いんですよ。
でも、お客様に貢献するとか、自分たちの価値をもっともっと高めていこうとすると、変わらざるを得ない。
そこが、経営者や企業にとって本当に難しい課題であると思います。
野田:ドラッカー経営を取り入れてから、メンバーの皆が「お客様のために」を軸にした考え方に変わったと感じています。
そんなメンバーたちが会社を支えてくれているし、たくさん育ってきたことを頼もしく思います。
大きな成果を出すためには、皆で貢献し合わなければならない。ドラッカーの言う「顧客の創造」、「貢献」に向き合える人、JBIGの使命に共感し、熱狂的になれる人が集まらないと、皆で成果を出すことはできませんよね。
今成:経営者がどんなに理念や使命、自分の考えを語っても、受け手である社員は時に迷うことがあると思うんです。
世間の常識や周囲の意見と照らし合わせたとき、何が正しいのか、どれが真実なのかわからなくなることもある。
「こっちが正しい道だ」とわかっていても、実際は違ったという場合もあるし、実は表裏があるかもしれない。
その中で、会社や事業を「信じ切る」のは容易なことではないでしょう。
でも、迷いが生じたとき、それらを解消してくれるのがお客様であり、社会であるということが理解できていると、確信を持って進められるのではないでしょうか。
野田:迷ったときはやっぱり、ドラッカーの『五つの質問』に戻る、と。
今成:そうです。ただ、目的地にたどり着くには、さまざまな道がありますから、自分たちに合う道をたどって頂上を目指すことが必要。
JBIGはもっと変われるし、成長していける。それを信じて、変わり続けてほしいです。まだまだ皆さんは可能性に満ちていて、これから伸びる方も大勢いらっしゃいますから。
野田:環境の変化に合わせて、私たちも絶えず変わることが必要ですよね。
お客様がずっとP.G.C.D.のお客様であり続けていただくために、私たちは顧客を創造し続けなければなりません。
その中で商品を通じて社会貢献を実現することが、私たちの喜びであり、幸せなのです。
この想いに共感してくれる人を増やして、世界中から応援される企業になりたいです。
今成:野田さんには、働くこと、生きることを含めた事業というものすべてを、高めていっていただきたい。
もっと言えば、10~20代の若い人たちが「働くってすてきなことだね」「JBIGで働きたい」と言ってもらえるような会社になってほしいと思っています。
【野田 泰平】
株式会社JBI GROUP(JBIG)代表取締役 Founder CEO、株式会社ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン(P.G.C.D.JAPAN,Inc)代表取締役 CEO。1979 年福岡県⽣まれ。
<学歴>
kuwasawa Design School 卒業
Globis 経営⼤学院 卒業
<学位>
建築学⼠ BARCH (Bachelor of Architecture)
経営学修⼠ MBA (Master of Business Administration)
【今成淳一】
アイオー総合研究所 所長
1959年生まれ。電子部品メーカーに勤務後、企業におけるマネジメントノウハウを修得するため、大手コンサルティング会社に転職。その後、経営コンサルティング会社役員を経て独立。経営コンサルティング歴は30年以上で、近年はピーター・ドラッカー教授のマネジメントを学ぶ研修を主体に取り組む。「近視眼的な問題解決ではなく、“良い会社づくり”の大切さを訴求しながら、その考えを経営に取り入れること」をモットーに経営コンサルタントとして多方面で活躍している。
編集:高橋奈巳、西野愛菜/撮影:後藤敦司
「楽しく働く」をモットーに最速で支店長へ。直感を信じ、女性のキャリアモデルを体現。
「人」「食」「社会貢献」を起点にビジネス総合力を身に付け、即戦力として活躍
BtoB特化のマーケティングと営業DXという希少価値の高い領域で 企画から実装まで手掛けるプロ集団
文化とコミュニケーションの発信を通して、心が豊かになる時間を生み出す
タグ