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ストーリー代表・CEO

「Web3×地方創生」で、全国の地方自治体に活力と財源を

最新ストーリー代表_SOKO LIFE TECHNOLOGY株式会社

Web3 で自治体財政に活路を拓く。岩手県紫波町から始まる最先端の取り組み

菅原 壮弘 / Sohkoh Sugawara
SOKO LIFE TECHNOLOGY株式会社
代表取締役

故郷の町から、地方創生を志す

岩手県紫波郡紫波町(ルビ:しわぐんしわちょう)――盛岡駅から電車で20分ほど南下した先にある人口約33,000人の町に拠点を置くのが、SOKO LIFE TECHNOLOGY株式会社(ソコ ライフ テクノロジー、以下SLT社)だ。紫波町で生まれ育った代表取締役の菅原は、テクノロジーの力で地方財政を支援し、地方創生へとつなげていくことを志す。

昨今、少子高齢化や東京一極集中が加速し、地方行政の置かれた状況は厳しさを増している。その中で紫波町は、ガバメントクラウドファンディングや企業版ふるさと納税(民間事業者から事業提案を募集し、提案する事業者自らが町外事業者に対して町への寄附を呼びかけ、その寄付額の範囲内の額をもって補助金を交付する仕組み)などの先進的な取り組みを次々と行ってきた。

そして今、菅原は「Web3×地方創生」というキーワードで紫波町と連携し、新たなチャレンジをスタートさせている。Web3とは、ブロックチェーン(分散型台帳)技術によって人々がデジタル情報の所有権を持ち、より平等かつ自由に情報を管理できる次世代のWebのあり方を指す。

SLTが紫波町と進めているのは、ブロックチェーンを基盤とする新型地域通貨(暗号資産)を発行する取り組みだ。世界と比べると、日本はWeb3を含めた暗号資産に関する事業発展が遅いと言われている。その理由の一つに、会計や税制が整っておらず、所持するだけで課税される仕組みがある。

その中で菅原が注目したのは、「自治体は課税されない」という点だった。個人や法人にとって暗号資産は保有しているだけで課税対象となるが、自治体なら暗号資産を保持、売却しても課税されることなく、財源とすることができるのだ。

「例えば、弊社が暗号資産を10億トークン発行するとします。そのうち100万トークンを自治体に無償譲渡し、自治体はトークンのPRと普及に協力する。自治体がトークンのPRを積極的に進め、流通を活性化させることで、次第に価値は上がっていきます」

ここでいうトークンとは、アセットタイプの暗号資産を指す。最初は無価値でも、1トークンあたり10円の価値が付けば、自治体が保有している100万トークンの評価額は1000万円になり、その含み益を非課税で自主財源として確保することができるというのが、同社の打ち出した地方創生モデルだ。

「Furusato DAO(ふるさとダオ)」で住民たちと共に地域を盛り上げる

では、いかにしてトークンの流通を活性化させ、住民たちに浸透させるのか。

菅原は地域の課題解決や自治体運営の効率化に参画した住民に対して、トークンを付与するという施策を考えた。一例として、公共交通機関がない地域に住み、免許返納などの理由で買い物に行くことのできない人々へのサポートを挙げる。

「これまでは地域住民同士が買い物や移動を手伝うなどで助け合ってきましたが、実質的には見返りのない無償のボランティアです。こうした方々に自治体からトークンを渡すことで、地域課題の解決に向けて住民たちの協力を得やすくなります。また、それと同時に、協力してくださる方々にメリットも提供できます」

だが、これらの動きをトップダウンで進めても、住民を巻き込み、町全体を活性化するのは難しい。そこで鍵を握っているのが「DAO(分散型自立組織)」と呼ばれる、年齢や立場に関係なく誰もが意見を言い合える、非中央集権型のコミュニティだ。参加者にはガバナンストークンと呼ばれる投票権が渡され、DAOの中で検討されるさまざまな物事を投票によって決定していく。

「組織の運営ルールが明示され、意思決定のプロセスが透明化される点がDAOの特徴です。従来型の組織では、立場が下だからと思っていることを言えずにいたり、明確な賛同を示していないのに物事が先に進んでしまったりと、組織運営に不透明さや曖昧さがありました。ですが、DAOでは採択に至るルールがあらかじめ決められ、公開されており、すべての提案に対してトークンで投票が行われます。そしてルールを満たした提案は、必ず実行される。そのため、誰もが当事者として参画することができるんです」

現在、SLTでは紫波町で「Furusato DAO」の立ち上げを計画している。これらの取り組みを通じてWeb3の思想とトークンが地域に普及すればするほど、保有者である住民や自治体にとっての利益になる仕組みだ。

参加者となる住民たちがチャットツールを使って、さまざまなテーマで自由に議論や情報発信を行い、紫波町をWeb3の町として活性化することが狙いであり、将来的には、町を盛り上げるコンテンツがDAOから自然発生する姿を菅原は思い描いている。

「DAOが自走的に進んでいくまでは、私たちが旗振り役となり推進していかなければならないと思っています。今がようやくスタートライン、これからが本番です」

何度も味わった挫折。それでも変わらない、地方創生への想

大学進学で岩手県を離れた菅原は、大手システム開発系企業に就職し、エンジニアとして技術を磨いていた。当時から、いつかは地元に貢献できる事業を始めたいと考えていたという。そして2018年に起業。ふるさと納税のコンサルティング企画がきっかけだった。

当時は暗号資産による資金調達方法、 ICO(新規暗号資産公開)がトレンドとして賑わっていた。菅原も自治体に ICOや法人税の引き下げなどを提案したが、その後の暗号資産市場の冷え込みにより事業は打ち切りとなった。

「当時は暗号資産ではなく、仮想通貨という言い方が主流でしたが、それに絡む犯罪も多くネガティブなイメージがありました。市場価値の暴落だけでなく、それを払拭することができなかったのも撤退の一因だったと思っています」

だが落ち込む時間はなかった。当時は東京オリンピックを目前に控え、訪日外国人が増加を続けていた頃。豊富なインバウンド需要を地域の活性化につなげるため、菅原が次に考えた施策は、外国人旅行者や就労者と手軽に契約できる住居をマッチングする仕組みだった。

しかし、いよいよ本格稼働というタイミングでコロナ禍に見舞われ、訪日外国人の数が激減。またしても頓挫してしまう。菅原は再度、事業を軌道修正し、すでに国内で外国人を雇用している企業に向けての賃貸住宅の紹介や暮らしのサポートをすることで糊口をしのいだ。

「もともと描いていた『地元に貢献したい』『地域課題を解決したい』という想いを実現できない日々が続いていました。悩みましたね。自らのやるべきことをもう一度見つめ直し、見いだしたのが『もう一度、地方創生に挑戦しよう』という決断でした」

出身地でもあり、関係性を築いていた紫波町と協力し、不屈の精神で再起を図る。菅原にとって、これが三度目の正直となるチャレンジだった。

紫波町を、Web3で成功した自治体のロールモデルに

しかし、町職員に新しい概念であるWeb3や、DAOのコンセプトを理解してもらうのは容易ではなかった。個別の説明を繰り返し行い、職員の理解を得て賛同を取り付けていった。

「こちらの情熱が伝わり、一部の職員の方々が自主的に書籍を購入し、学習を進めていることを知った際には感謝しかありませんでした。我々と違い、ほかのプロジェクトの推進や通常業務を抱える中で本事業に充てる時間を作っていただき、本当に頭が下がる思いでした」

2022年6月10日、紫波町は地域通貨やDAOといったブロックチェーンを使った仕組みを積極的に取り入れ、地域を豊かにしていく「Web3タウン表明」を行った。そして同月22日には、Web3タウンの取り組み推進を目的とした、紫波町とSLT社の連携協定の締結を発表。菅原の挑戦がまさにゼロからイチとなった瞬間だった。

現在は、紫波町の住民たちにDAOやWeb3の概念を体感してもらうための、Web3をコンセプトにした食堂や居酒屋のオープンに向けて準備を進めている。

「食事やドリンクのメニューを考えたり、お店の内装を変えたりといった店舗運営を、トークンでの投票によって決める居酒屋です。トークンがあれば提案、投票に参加できるので、自分たちでお店を運営することを体験し、DAOの理解を深めてもらえればと考えています」

DAOを通じた交流ができるこの居酒屋は、Web3の実証実験の場でもあると菅原は話す。

「全国の地方自治体のうち、人口10万人以下の自治体は約84%に上ります。将来的にはこれらの自治体に向けても地域通貨とDAOの横展開を計画しており、そのためには紫波町で本事業を成功させ、ロールモデルをつくらなくてはなりません」

DAOへの参加自治体を増やし、住民たちによるコミュニティ形成と財源確保の両面から地方行政を支えていく。それが菅原の目指す地方創生の形だ。

「日本政府も首相のトークンを発行するなど、時代の追い風は吹いている。日本で初めてWeb3タウン表明をした自治体である紫波町と、力を合わせてこの事業を成功へと導き、全国の自治体にも広げていくことで地方創生を実現していきたいと思っています」

公開日:2022年9月8日

Profile

1981年生まれ。岩手県紫波町出身。大手SIerにて、主に官公庁のシステム更改案件のPMとして活躍。2018年にブロックチェーン技術を活用した地方創生コンサルティングとして、株式会社SSを創業。

2019年、外国人旅行客をターゲットに、クレジットカードで賃貸借契約が結べるプラットフォームサービスを提供するとともに、商号を SOKO LIFE TECHNOLOGY 株式会社に変更。2022年より、Web3×地方創生を軸として、多くの地方自治体が抱える地域課題の解決に取り組んでいる。

Contact
岩手本社:岩手県紫波郡紫波町山屋字山口125
東京オフィス: 東京都荒川区東日暮里5-51-11 静屋ビル 9F

Staff

インタビュー・執筆:堤真友子/編集:勝木友紀子
撮影:田中振一

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