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「人」「食」「社会貢献」を起点にビジネス総合力を身に付け、即戦力として活躍
店舗成功の鍵は現場主導
社員を信頼して挑戦を支援
社員の幸福度を上げ
顧客へのサプライズと
社会貢献を実現していく
株式会社ブリス・デリ&マーケティング
取締役
佐藤 英之/Sato Hideyuki
「銀のさら」「釜寅」のFCとして、宅配飲食業を主に事業展開している、ブリス・デリ&マーケティング株式会社。2018年以降、オリジナル業態の「コッペパン専門店」と「高級食パン専門店」を運営しているが、その店名は遊び心満載である。本社がある東京の早稲田から遠く離れた、北海道の札幌市に店を構える「コッペパン専門店 でぶぱん」や札幌市の第1号店を皮切りに、金沢、奈良に出店している「高級食パン専門店 乃木坂な妻たち」がその一例である。
「でぶぱん」という言葉から、ボリューム満点、B級グルメなどが想像される。かたや、高級という冠が付けられた「乃木坂な妻たち」からは、厳選素材とセレブリティな印象とともに「もしや、アイドルグループにちなんだ名前では?」と、頭の中にはてなマークが浮かんでしまうのではないだろうか。ネーミングだけでも、愉快な想像が膨らむこのオリジナル店舗の仕掛け人が、取締役の佐藤英之だ。佐藤は仕事をするうえで「現場ファースト」を大切にしている。
「現場ファーストは私の持論なんですね。10代の頃から、家庭の都合で仕事に就き、前職では銀のさらの3店舗の責任者と店長を兼務していました。現場がお客様にとって何が一番いいかを考え、そのやりたいことを現場主導で進めることで店舗の数字は伸びます。数字の伸びは、店長はじめ現場の成長でもあり、喜びにもなります。会社に社長である須田や私がいても、動くのは現場の人たち。だから、現場の人たちのやりがいが大事だと思っています。もちろん、良い仕組みも作りますし、削減できる負担は極力減らします。そこは須田や私の仕事です。それでもやはり、人ありき。人が人に『惚れる』、別の言い方をするなら『人を大事にする』環境を作り出すのが、私たちの一番の仕事だと考えています」
佐藤は、デリバリーや店舗販売の飲食業について、「美味しいものを届ける」ことにこだわるとともに、「社会のインフラの一環」として、事業の社会的意義を位置付けている。その理由として、「毎日食べなくてはならない『食』を、国難のときでも届けることができるから」と語る。実際に、新型コロナウイルス感染症の影響で、ステイホームを余儀なくされた環境下でも、売上は昨年対比130〜150%という伸びを見せている。
「今回のように、人の外出が制限されるような状況においても、デリバリーや店舗販売で、地域の皆様の食を支えることができています。コーヒー豆のインターネット販売も手掛けていますが、そちらも伸びています。やはり、ご自宅にいる時間を心地よく過ごしたい、ということで嗜好品であるコーヒー豆が伸びたのだと思います。私たちの事業が、社会のインフラの一環として社会貢献できることに、須田を筆頭に、社員ともども喜びを噛み締めています」
ともに働く仲間のやりがいと生きがいを大切にしながら、社会貢献に対する意欲も強い佐藤だが、そこには彼が辿ってきた半生が色濃く影響している。
佐藤は、父親が商売をしている家の次男として生まれた。親戚には、東京の本郷に蕎麦屋を営みビルまで建てた人もいるなど、佐藤にとって「商い」は幼い頃から身近なものであり、「いつかは自分も商売で身を立てるんだ」との憧れもあったという。バブルが弾けた、佐藤が高校1年生のとき、人生を左右する大きな事件が起こる。父親が経営していた会社が倒産したのだ。当時、兄は早稲田大学に在籍。その学歴を断念するのはもったいない、と佐藤は高校を中退し働くことを買って出ると同時に、倒産に付随する金融機関との折衝を一手に引き受けた。高校生が引き受けるには、あまりにも重すぎる役目だと推察できるが、当の本人は当時からそうは思っていなかったようだ。
「あの当時は、毎晩、取り立てが自宅に来ていたのですが、それをすべて私が対応していたんです。両親は別のところに移動してもらって。『怖かったんじゃないの』と聞かれることもありますが、私自身は、未成年という法的な強みを知ったうえで対応していたので、そう怖いと思ったことはありませんでした。逆に、こうしたことを16、7歳で経験して『良い経験をさせてもらった』と心底思っています」
また、仕事に対する姿勢もこの時期から醸成されていった。大変な状況であっても幸いなことに、父親を助けてくれる人たちがいたのだという。そうした人たちは、佐藤の父が歯を食いしばって頑張っていた姿を、見てくれていた人たち。そうした父の生き方から、歯を食いしばってでもやっていれば人は見てくれることを学んだのだという。言葉で教えられた訳ではないが、父の背中を見て学び、仕事は独りではなく仲間の存在が何よりも大切なのだと実感した。
その後、佐藤は大学入学資格検定を取得し、働きながら22歳で通信制大学に通った。勤め先では、教えてもらう環境というよりは、常に自分で考え、見よう見真似のトライアンドエラーで成長しながら、結果を出し続けた。だからこそ、主体性のある働き方が、苦労も回り道も多いかもしれないが、長い目で見ると着実な実績となり、それがゆるぎない自信につながるということが言えるのだ。
「自ら考え行動することを、今の現場の若手にも学んで欲しいんですね。だから、何でもやらせてあげたいというのが本音です。そのために必要とあらば、私は須田も説得します。理にかなっていれば、須田はこちらの提案をそのまま実行させてくれるし、迅速に動いてくれる。そういうところが、懐の深さだと感じています。今の私は、お金も大事ですが、それよりも、仲間の幸せを追い求めています。それが私のやりがいです。だから、そのために会社を大きくしていきたいですね」
コッペパン専門店 でぶぱんのオープン3ヵ月後、北海道で震災が発生。大規模停電、交通網の麻痺、物流のストップなど、人々の日常が一瞬にして奪われた。震災時、でぷぱんでは、百貨店の催事用と店舗販売用のこっぺぱんを1,000個生産完了したばかりだった。催事参加は中止、店舗営業もままならない。そんな状況の中現地に居合わせていた佐藤や店長たちは、少しでも多くの人を元気付けたいと翌日から1,000個のこっぺぱんを店前で無料配布し始めたのだ。
「オープン前から注目していただき、開店後は、美味しさで喜んでいただき、これからというときでした。あの時は、せっかく作ったのだから、みなさんに食べていただこう、と即決でしたね。ありがたいことに、今でも『あのときのことは忘れられない』『ありがとう』と声をかけていただきます。地域密着を掲げていますので、少しでも地域貢献ができたことはうれしいですし、地域に縁もゆかりもなかった私たちを、温かく迎え入れてくださる地域の皆様に感謝しかありません」
今後のビジョンとして、他の業態も柱に加えつつ、全都道府県に出店する構想が佐藤にはある。サービス業でありながらも社会構造のインフラだからこそ、実現可能だと考えている。また、それぞれが働きがいのある環境で楽しく働き、それぞれの幸せを手に入れる。そうした土台を築いていくことが、佐藤自身の生きがいだと語る。
「正直なことを言えば、サービス業は、どうしても下に見られることがあります。でも、私たちは、自信を持った商品しか販売してませんし、皆さんに喜んでいただきたいという想いを持って取り組んでいます。『私たちと一緒に働きたい』と、やる気のある方と一緒に仕事をしたいと思っています。望むキャリアアップに沿うように考えますし、実績などすべてが認められれば、本人のやりたい業態を出すことも視野に入れています。上のポジションを目指したい人はそのように、安定を求める人は安定的なポストに。それぞれの望む働き方ができることが、会社の活性化につながると考えています。激動の時代ですが、現在いる社員も、これから来てくださる方にも、不安な思いだけはさせないよう取り組んでいきたいです」
社内で、「私のポジションを取りにこい。受けて立つぞ」と話すそうです。実際にそうなったらどんなお気持ちですか、と質問すると「大丈夫、負けないんで」と豪快に笑っていらっしゃいました。その後に、「私も全力でやってますんで」とひと言。それもあわせて、仕事を楽しんでいるそうです。今後は、さらに社内教育に力を入れ、仕組みを作る予定とのこと。会社が大きくなっても、風通しのよい社風は続くのだろうなと感じました。
インタビュー・編集:国場みの・西野愛菜
撮影:後藤敦司
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