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ストーリー代表・CEO

TV番組の制作を支える ADが楽しく働き 幅広いキャリアプランを 描けるように

代表_フォーミュレーションI.T.S

民放キー局に約300人の
正社員ADを派遣

ADの多様な働き方を可能にし、
ゴールデンタイムの人気番組を中心に
200番組以上を担当

株式会社フォーミュレーションI.T.S
代表取締役社長
今別府 亮 / Ryo Imabeppu

ハードなADの「働き方」を改革

民放キー局を中心にTV番組制作の現場を支える株式会社フォーミュレーションI.T.S。メディア業界専門の人材派遣を主軸とし、正社員のスタッフをAD(アシスタント・ディレクター)としてTV局に派遣している。

同社のADが担当する番組はバラエティ、報道、ドラマなど、ジャンルを問わず200番組以上。その中には、日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」「ZIP!」、TBSテレビ「マツコの知らない世界」「炎の体育会TV」、フジテレビ「めざましテレビ」、テレビ朝日「ミュージックステーション」「陸海空 こんな時間に地球征服するなんて」、テレビ東京「モヤモヤさまぁ~ず」など人気番組も多数挙げられる。

ADとは、番組制作全般において、ディレクターを補佐しながらあらゆる業務を担当するアシスタントを言う。企画会議の準備、必要な情報のリサーチ、ロケの手配、収録のサポート、スケジュール調整、編集作業など、業務は多岐に渡る。ディレクターに代わって現場の進行を担うこともある。体力勝負の面があり、細やかな動きも求められる仕事だ。

番組制作の現場に欠かせない存在だが、ADの多くはTV局の社員ではなく、制作会社や人材サービス会社から派遣されている。休みが取れない、徹夜が続くといったハードな労働環境により、短期間で離職する者が多く、志望者は減少している。

そんなADを取り巻く過酷な状況に一石を投じ、業界に変革をもたらしたのが、フォーミュレーションI.T.Sの代表取締役社長である今別府亮だ。

「『TVが好き』、『ADをやってみたい』という気持ちを持つ人が、『きつい』といった理由で諦めてしまうのはもったいないと思っていたんです。ならば、きついとされる要因であるハードな労働環境を改善し、ADの働きやすさを追求しよう、と考えました。ADが定着すれば、TV業界にとってもプラスになりますし、本人のスキルも磨かれ、キャリアパスも広がります」

ADの「働き方改革」に取り組んできた今別府は、原則、スタッフはすべて正社員として雇用。一般的にADの派遣というと制作会社への派遣が多い中、同社ではTV局と直接契約を結ぶなど、業界の常識を次々と覆してきた。ADの9時~17時の定時勤務を可能にしたのは、同社が初。女性スタッフが7割というのも働きやすさを物語っている。

今別府がこれらの改革を実現できたのは、各TV局との強固なネットワークによるところが大きい。同社では、メディア業界の人材サービス会社としては珍しく、営業担当者を置き、局との信頼関係を築いている。TV局と対等に交渉できるため、スタッフは自分の希望する番組に配属されることが多く、腰を据えて1つの番組を担当することができる。本人次第で、新番組に携わることも可能だ。

営業活動に加え、今別府が最も重視するのは、現場で働くADのケアだ。

同社には専任のサポートスタッフがおり、頻繁に局を訪問して、ADから悩みや勤務状況をヒアリングしている。休みが取れていない等の問題があれば、TV局の担当者に申し入れ、改善してもらう。本人から「現場になじめない」といった申し出があれば、面談の上、担当番組を変更することもある。本部スタッフがADと局の間に入ることで、労働時間や労働状況の管理をきめ細やかに行っているのだ。

「ADは現場に入れば、大変な仕事です。無理難題を言われて困ったり、理不尽な理由で叱られて落ち込んだりすることもあるし、孤独に陥りやすい。そこをフォローできれば、ADはより長く、生き生きと働けるはず。人とのつながりを大切にしている当社では、サポートスタッフによるフォローのほか、同じ局内に複数のスタッフを配属し、同僚として助け合える体制をしいています。社員同士、仲が良いのも心強いと思います」

今別府が行ったADの「働き方改革」と「孤独にさせない」フォロー体制が奏功し、同社の離職率は25%程度まで低下。1年間で離職率80%と言われる業界の中では、圧倒的に低い数字だ。しかも離職者の退職理由は「仕事がきつい」というものではなく、他にやりたいことを見つけて異業種へ転身するケースが多いという。

近年、同社の取り組みは業界内に広まり、同業他社から移ってくるADも増えている。

 

自らのAD経験で感じていた「負」「不」を解消

サッカー少年だった今別府が、TV業界に飛び込んだのは大学生のときだった。進学を機に上京し、大学生活を謳歌する中で、TVの世界に興味を抱く。「華やかで、楽しそう」という理由から、今別府は、番組制作会社でADのアルバイトを始める。当時のTV業界は、徹夜も休みなしも当たり前だったが、日頃の頑張りが現場で評価され、タレントにも覚えてもらえるようになると、喜びとやりがいを感じるようになった。

「TVの仕事って面白い」。番組制作の醍醐味を知った今別府は、大学を卒業すると、株式会社フォーミュレーションに就職。現在のフォーミュレーションI.T.Sの親会社であり、番組制作に必要な情報収集を専門とする、業界シェアNo.1のリサーチ会社だ。

フォーミュレーションでは、ADやリサーチャー、営業統括として活躍。今別府は、民放キー局を相手に営業活動を行う中で、あるとき、TV局が抱える「人材不足」の問題に気付く。行く先々で「ADや制作スタッフはいない?」と頻繁にたずねられるようになったのをきっかけに、メディア業界専門の人材サービス会社を創ろうと思い立つ。

こうして2011年、今別府はフォーミュレーションの社内ベンチャーとして、フォーミュレーションI.T.Sを立ち上げた。

創業時から、TV局との直接契約によるADの派遣を目指すも、前例がなく、起業して数年は門前払いされる日々が続いた。スタッフの離職率も高く、今別府にとって苦しい事業スタートとなった。それでも、民放キー局、地方各局を地道に訪問し続け、信頼関係を築きながら、少しずつ実績を積み重ねていった。現在、フォーミュレーションI.T.Sが、TV局と確固たる関係を維持できているのは、このときの営業努力によるものだ。

それからの今別府は、スタッフの採用と教育に力を入れる。自分たちでADを育てるべく、業界では慣習のなかった、専門用語や技術面の知識を学ぶ事前研修を開始した。また、現場に入ったADのストレスや負担をなるべく減らすことに注力。例えば、現場で支払いを立て替える機会が多いADのために、経費の仮払いや携帯電話の貸出を制度化した。

やがてスタッフが定着し、TV局におけるフォーミュレーションI.T.S のADの評価が高まると、局側から派遣を依頼されることが増えた。局の信頼を勝ち取った今別府は、民放キー局の全てに自社のADを派遣することに成功。こうしてフォーミュレーションI.T.Sは、300名を超えるスタッフを擁する業界No.1の企業に成長した。


ADの経験を活かして、未来のキャリアを築く

今別府が今後の目標として掲げるのは、正社員1000人をTV局へ派遣することだ。より多くの自社スタッフが局で活躍すれば、メディアへの影響力がさらに高まり、社員たちのキャリアの可能性が広がると考えている。

スタッフの将来を見据え、今別府はADのその先のキャリアについても、積極的にサポートしている。ADの仕事は体力を要するため、一生続けるという人は多くないからだ。

「ADとして十分な経験を積んだあとは、本人の希望を考慮し、その人にとって最適な道、例えばTV局の社員、大手制作会社の社員、CM会社、芸能プロダクションの社員などへの道をつくります。フリーのディレクターになりたい人には、独立を支援。地元に戻る必要がある人には、即戦力として地方のTV局を紹介します。産休・育休後に復帰を希望する場合も、時短や定時勤務のAD、デスク担当など希望に合わせた選択肢を用意。ADのキャリアを活かして、自分自身で可能性を広げてほしいと思います」

その可能性はTV業界だけにとどまらない。視聴者の興味を惹く演出のノウハウが身に付くため、広告代理店へ転身のチャンスもある。また、近年台頭している「動画」制作においてもキャリアが活かせる。ADの経験で培った高い制作能力は、動画のコンテンツ作りにも役立つのだ。

会社としても、親会社のリサーチ力をいかして、TVで取り上げられたい店舗とロケ先を探す番組側とのマッチングを行うPR代行業に着手。自社でPR動画の制作を請け負うなど、新規事業の拡大を目指している。

「TV離れが進んでいると言われる昨今ですが、見やすさや編集力、面白いコンテンツを創るという点において、やはりTV番組のクオリティは高い。社員には、TVの世界で培った能力を、自分が望む場所で発揮してもらいたいと思っています。ADの仕事を通じて、その人が活きるキャリアパスを広げる――これが僕の目指す、ADの新しい『働き方』なのです」

 

 

リスナーの目線

「TV業界の人」というと、華やかなイメージがありますが、今別府社長の印象は実直そのもの。新卒採用の際は、毎年内定者一人ひとりの親に会いに行くそう。それも、親御さんに安心してもらい、スタッフがADの仕事で思う存分活躍できるよう応援してもらうため。TVを愛し、ADの仕事に誇りを持っている今別府社長だからこそ、スタッフにかける愛情は人一倍。ADを通じて業界をより良くしていくという、強い想いが感じられました。

インタビュー・編集/青木典子、高橋奈巳  撮影/出島悠宇

Profile

大学生時代よりテレビ業界で働く。卒業後大手番組リサーチ会社、株式会社フォーミュレーションに入社、リサーチャー等を経験した後、営業統括を務める。2011年10月、その間に築いたネットワークを駆使し、株式会社フォーミュレーションI.T.Sを立ち上げる。テレビ業界への人材派遣をはじめ 様々なサービスを展開。現在新規事業としてメディア業界における採用サービスに注力。

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