LISTEN

TOP > ストーリー代表・CEO > 「最高に美しい花嫁を創る」。 和装の魅力を引き立て、 日本の伝統文化を伝承したい
ストーリー代表・CEO

「最高に美しい花嫁を創る」。 和装の魅力を引き立て、 日本の伝統文化を伝承したい

代表_うたげ

着付、ヘアメイク、衣裳レンタルを軸に花嫁を「トータルプロデュース」

「仏前結婚式」など、和の文化を大切にした新しい婚礼スタイルも提案

株式会社うたげ
代表取締役
伊藤 禮子 / Reiko Ito

「人をきれいにしたい」。少女は銀行員から和裁士、着付師へ

婚礼着付、ブライダルヘアメイク、衣裳レンタルを中心に、冠婚葬祭にまつわるサービスを幅広く展開する株式会社うたげ。愛知県名古屋市で30年以上の歴史を持つ老舗として、国籍や宗派を問わず、さまざまな挙式スタイルのニーズに応えている。

創業者の伊藤禮子は、花嫁衣裳の着付を10分、アシスタントがいれば4分で仕上げるという高い技術を持つ。丸1日着崩れることがなく、苦しくなることもない快適な着付が評判を呼び、これまで2000人以上の花嫁の支度を手がけてきた。

「ひとりの花嫁を、自分の手で最高に美しく創り上げる。ひたすらそれにこだわり続けてきました」

子どもの頃からおしゃれへの興味が強かった禮子は、友達の髪にリボンを編み込んであげたり、火鉢の火箸をコテ代わりにして髪を巻いてあげたり。人をきれいにしてあげることに喜びを感じていた。

「美容師になりたい」という憧れを抱きつつも、銀行に就職。しかし2年が経った頃、最初の転機が訪れる。禮子の父は宮大工で、「子どもたちには手に職を付けさせる」という考えの人。兄は大工、姉たちはそれぞれ編み物や洋裁の技術を身に付けており、禮子も勧められるがまま和裁教室に通い始めた。

和裁を始めてみると、一枚の布が着物として出来上がっていく過程がとても楽しく、「作品」という形になるのがうれしかったという。免許を取得後はプロの和裁士になり、約2000枚の着物を縫い上げた。さまざまな種類の和服の生地に触れ、その特徴や扱い方を習得。知識と技術を活かして自宅で和裁教室を開講し、講師としても活躍した。

着物を仕立てるだけでなく、「着る」ことへの興味も強くなった。プライベートでは結婚もし、冠婚葬祭などで和服を着る機会も増えたことから、着付を学び始めた。これが、今につながる第二の転機となる。

「一本の帯が、結び方によって鳥、蝶、花などさまざまな形に変化するんです。そのデザイン性、ファッション性に魅力を感じましたね」

もともと好奇心と探求心が強かった禮子は、技を極めたい一心で着付のレッスンを重ねた。そして、師範資格として最高レベルである「教授」を取得し、着付け教室「小林豊子きもの学院 小田井分校」を開講。指導した受講生は5000人以上にのぼる。

株式会社うたげ 代表取締役 伊藤 禮子

花嫁の着付、ヘアメイク、和装の所作まで、知識と技術を広げる

和装の知識と技術を磨き上げていく中で、特に強く心を惹かれたのが「時代衣裳」だった。時代衣裳とは、十二単や束帯、大奥中臈、京舞妓、江戸芸者などの装いのこと。

「日本の伝統文化って、本当に美しい。それを自分の手で再現したいという想いが湧いてきたんです。時代衣裳の着付を仕事にしたいと考えたとき、一番近い形で実現できるのが『花嫁』の着付でした。そこで、十二単も着せられる、婚礼着付のプロフェッショナルになろうと決めたんです」

もともと「人をきれいにすること」が好きだった禮子。ただ衣裳を着せるだけでなく、目の前の花嫁を「最高にきれいに仕上げる」ことにこだわらずにはいられなかった。

そこで、今度は和装にふさわしいヘアメイクを勉強。さらに、和装からドレスにお色直しをする花嫁のために、洋装用のヘアメイクもマスターした。

美への探求心はそれだけにとどまらない。和装にふさわしい所作や立ち居振る舞いを身に付けるために、日本舞踊の稽古もした。いつも背筋を伸ばした姿勢を保っていられるよう、社交ダンスも習った。

「美しい姿勢、立ち居振る舞いは、着物姿をよりいっそう引き立ててくれます。だから、着付をさせていただく花嫁さんやお客様には、正しい所作、美しい振る舞いもお伝えしているんです」

株式会社うたげ 代表取締役 伊藤 禮子

「今日、この人のために尽くす」という姿勢を大切に

会社を設立したのは、禮子が41歳のとき。お客様が増え、スタッフも増えていく中、禮子にとってはこれ以上ない心強いビジネスパートナーが誕生する。

愛娘の亜紀子が、ヘアメイクのアジア大会にブライダルヘアメイク部門の日本代表として出場。15ヵ国の代表者が競う中、グランプリを受賞した。以降、うたげのヘアメイク部門は、亜紀子に任せるようになった。「若い人のヘアメイクは、若い人が手がけたほうがいい。お客様も気兼ねせずに要望を言えるはず」――そんな想いもあった。

一方、着付については、現在も自分の手で行っている。

「たとえ100万円の着物でも、着付が悪ければ1万円の価値に落ちてしまうのではないでしょうか。でも反対に、1万円の着物でも丁寧に着付ければ、100万円以上の価値に高まるはず……そんな気持ちで着付けています」

禮子のもとには、顧客から途切れることなく依頼が入る。以前、体調を崩して代理を立てようとした際には、「禮子先生にやっていただけないなら結婚式を延期する」とまで言われたこともあるほど、揺るぎない信頼を得ている。

ところが、過去の一時期には、大切にすべき理念を失いかけたこともあるという。

「スケジュールに追われる中で、ふと、着付を機械的にこなしてしまっている自分に気付いたんです。最高の技術を提供できているという自信には変わりありません。でも、心はそれと同じレベルに達していないんじゃないかしら、と。目の前の花嫁さんに対し、最高にきれいにするという『想い』を込めることが何よりも大切なのに、おろそかになっていました。このとき、強く自分を戒めましたね。それからは、『今日、この花嫁さんのために最大限尽くす』という気持ちを失わないようにしています」

強い想いは花嫁にも伝わるもの。花嫁たちからの信頼を得るにつれて、着付やヘアメイクの域から外れた相談も寄せられるようになった。禮子はそれに応え、フラワー装飾やブーケ、テーブルコーディネート、料理、写真撮影、結納、引き出物まで、幅広くプロデュースしている。

「お客様にとって一生に一度の大切な舞台。私がしてさしあげられることは、すべてしてさしあげたいですね。完璧であることにこだわり、ベストを尽くすこと。悔いのない仕事をすること。そんな姿勢を大切にしてほしいと、スタッフ全員に伝えています」

株式会社うたげ 代表取締役 伊藤 禮子

和装を通して、日本古来の文化を伝承していきたい

花嫁を美しく仕上げること以外に、禮子がライフワークとしてこだわることがある。それは、日本の伝統的な文化・風習を、若い世代に伝えていくこと。例えば、花嫁が自宅でお仕度を整え、仏壇にお参りし、家族に挨拶をして、座敷から出て式場に向かう――そんな伝統の儀式を段取りし、導くのも、自身の務めだと考えている。

そして、今後力を入れていきたいと考えているのが「仏前結婚式」。

会社設立から2年目、うたげは「人が悲しんでいるときに寄り添い、役に立ちたい」という想いから、葬祭事業も手がけるようになった。葬儀列席者への着付からスタートし、葬儀の進行を取り仕切る「セレモニーアテンダント」の派遣へとサービスを広げた。この葬祭事業を通じ、今では多くの寺院とのネットワークが築かれている。

寺院もまた、日本の伝統文化が息づく場所。「人が集まる場所であり続けてほしい」という願いを込めて、うたげでは「仏前結婚式」を提案している。

「私たちが得意とする和装は、お寺という舞台でよりいっそう引き立ちます。また、お客様の菩提寺には、代々のご先祖様が眠っていらっしゃいます。その空間で、ひいおじい様やひいおばあ様、または3代も4代も前のご先祖様たちに見守られながら式を挙げることは、格別な感慨を得られ、新たな人生に向かう決意ができるのではないでしょうか」

おしゃれが好きだった少女時代から、禮子は「人をきれいにして喜ばせたい」という想いでここまで来た。そのホスピタリティは今も何ら変わることなく、「人ありき」の姿勢で仕事に臨んでいる。それは、お客様に対しても、社員に対しても変わらない。

「社員たちと接していて一番大切にしていることは、社員を愛することです。愛されるのを待つのではなく、まず自分から愛するのです。お客様に対しても同様で、自分から心を開いて、『ご遠慮はなさらず、何でもおっしゃって下さいね』とお声がけしています。人生で大切な1日をお手伝いする仕事、人に喜んでいただく仕事ですから、この姿勢はこれからもずっと持ち続けていきたいですね」

株式会社うたげ 代表取締役 伊藤 禮子

リスナーの目線

まさに「凛」という一文字を体現されたような佇まい。禮子先生のいる空間は、華やかでありながらもピリリと引き締まった空気を感じました。そのオーラは、お客様に心を尽くし、「完璧」であることにこだわるプロフェッショナリズムから醸し出されるのでしょう。一方、お話ししてくださる表情はほがらかで優しく、花嫁さんたちが安心してすべてをゆだねるのも納得です。

インタビュー・編集/青木典子、田中亜希  撮影/杉山靖

Profile

銀行に2年勤務の後、和裁士、和裁講師に転身。着付を学んで着付教室を開講し、1983年には「教授」免許取得、小林豊子きもの学院・分校開校。1984年、中曽根康弘自民党総裁(当時)より、日本の着付教室への多大な功績を認められ、感謝状を授与される。 1989年、パリ2000年祭に参加。マルセイユにて着付ショー開催 。1990年、きものサロンうたげ有限会社設立。1996年 橋本龍太郎自民党総裁(当時)より、日本着付教育への多大な功績を認められ感謝状を授与される。 2004年、小林豊子きもの学院 中部本部 筆頭副学院長 就任。

関連キーワード

代表_うたげ

「いいね!」
最新情報をお届け

関連ストーリー

タグ

人 (488) 最新ストーリー (88) 社員_アイドマ・ホールディングス (28) 社員_アセットガーディアン (19) 社員_メディケアー (11) 社員_ダーウィンホールディングス (7) 社員_プルデンシャル生命保険 (7) 価値観1 (6) 社員_シーアールエス (6) 社員_識学 (6) 社員_ワークスイッチコンサルティング (6) 社員_マケレボ (6) 社員_秋葉牧場 (6) 社員_プリマベーラ (5) 社員_D&I (5) 社員_ブルーコンシャス (5) 社員_ハコブホールディングス (5) 01 レビュー (4) 代表_ダーウィンホールディングス (4) 社員_スターティアグループ (4) 社員_ネットビジョンシステムズ (4) 社員_ジブラルタ生命保険 (4) 社員_SB C&S株式会社 (4) 社員_Surpass (4) 社員_カスタマーリレーションテレマーケティング (4) 社員_風と緑の認定こども園 (4) 01 社員ストーリー (3) 特集一覧 ピックアップ (3) 社員_フラー (3) 社員_メディカルネット (3) 代表_株式会社サーキュレーション (3) 代表_オフィスナビ (3) 代表_ブラス (3) 代表_インジェスター (3) 代表_Surpass (3) 社員_ゆうしん (3) 代表_w2ソリューション (3) 代表_ペー・ジェー・セー・デー・ジャパン(P.G.C.D.JAPAN) (3) 社員_いろはにぽぺと (3) 社員_コールフォース (3) 社員_コムセンス (3) 社員_シーエスコミュニケーション (3) 社員_ココザス (3) 代表_スターティアグループ (2) 代表_INSIGHT LAB (2) 代表_フラー (2) 代表_SHGホールディングス (2) 社員_デパート (2) 代表_ネットビジョンシステムズ (2) 代表_メディカルネット (2)

カテゴリ

ピックアップストーリー