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ストーリー代表・CEO

日本の「ものづくり」の 最先端を支える、 試験機・計測機器の プロフェッショナル集団

代表_明伸工機

あらゆる業種の大手メーカーの
研究開発部門をサポート

最適な機器を提案する
セールスエンジニアとして
付加価値の高い営業力を養成

明伸工機株式会社
代表取締役社長
鈴木 伸彦 / Nobuhiko Suzuki

新製品の研究・開発に欠かせないツールを提供

自動車のCMでも映し出されることの多い「衝突実験」。物体の形状や寸法をあらゆる角度からとらえる「三次元測定」。そうした実験現場の片隅には、明伸工機株式会社の社員の姿がある。

明伸工機は、試験機・計測機器の専門商社だ。国内の試験機・計測機器のメーカーとクライアント企業の間に立ち、クライアントの目的に合う機器を仕入れ先から選んで提供する。取り扱う機器は、形状寸法・環境試験・化学分析・電子計測・材料試験・物性分析・理化学機器・非破壊検査ほか多岐に渡る。価格帯は数百万円~数千万円が中心。中には数億円に上るものもある。

クライアントはトヨタ自動車、本田技研工業といった自動車メーカーを筆頭に、キヤノン、パナソニック、日立製作所など日本の大手一流メーカーが名を連ねる。業種は航空機、ロボット、半導体、精密機器など幅広い。まさに日本の最先端テクノロジーの研究、「ものづくり」の現場を支える存在だ。一方で、「パンの固さを測る」というような食品メーカーからの依頼もあり、生活に密着した商品の改良に一役買っている。

「部分的に競合となる企業はありますが、試験機・計測機器に特化しているという点では、国内では唯一無二の存在です」と、代表取締役社長・鈴木伸彦は自信を見せる。

1963年に創業し、50年以上の歴史を持つ同社。景気の波や金融危機など、外的な影響による業績の変動はあったが、総じて右肩上がりで成長を続けてきた。2016年度の売上高は97億円で過去最高を記録し、2017年度は100億円に達する見込みだ。

社員のほとんどは営業職だが、その業務は単なる商品の販売にとどまらない。訪問先は「研究所」や「開発部門」が中心。「セールスエンジニア」と呼んでいるように、高度な専門知識をベースにクライアントの相談に乗り、ニーズに応じた機器を提案する。

クライアントの要望によっては、オーダーメイドになるケースもある。仕入先メーカーの設計者とともにクライアントの話を聞き、受注・製作後は現場でうまく作動するよう仕入れ先のエンジニアを連れてフォローアップまで行う。

「技術の進歩は早く、お客様も新しい開発テーマを次々と手がけていかなければなりません。最近ではお客様の側に熟練した技術者が少なくなっており、機器や設備をどう選べば良いのか、相談できる人がいないというケースも多くなりました。だからこそ、当社のセールスエンジニアへのニーズや期待が高まっているのです」

一つひとつ手作りをしていくような営業スタイル。専門性や経験が必要な領域なので参入障壁も高く、他社ではすぐに真似ができないというのが強みだ。

明伸工機の社員手帳は、まるで一冊の辞書のよう。スケジュールを書き込むページはもちろんのこと、大半は測定に関する定義や規定などの情報が掲載されている。計測対象は、重さ、力、長さ、硬さといった分野から色、臭いまで幅広い。

大手メーカーの最先端技術の開発現場に携わるため、機密事項も多く、実際にかかわっている間はその全貌を知らされないことも多い。クライアントから新製品がリリースされて初めて、自分たちがかかわった仕事の大きさに驚くことも多いという。

「社会に大きなインパクトを与えるような製品も数多くあります。その一端を担うことで、私たちも『ものづくり』を通して社会に貢献しているのだと実感できます」

 

付加価値が高いセールスエンジニアを育成

学生時代はサッカーに夢中だったという鈴木。チーム内では決して「リーダー」タイプではなく、メンバー間で意見が割れたときに双方の言い分を聞いてとりまとめる「調整役」だった。父の跡を継いで社長になった今でも、そのスタンスは変わらないという。自分の方針で組織を率いていくというより、組織全体の調和を大切にしているのだ。

数学が得意だったことから、大学の理工学部に進学。しかし、技術職より営業職に興味を持ち、理系が活躍できる営業職を探した。選んだのは、電子計測器の輸入商社。7年間勤務し、トップセールスとしての実績も残した。この頃に得たノウハウとスタンスを、社員たちに伝えている。

「当時の私は値引きをしないで販売することにこだわっていました。競合が存在すると、値引きすることで競り勝とうとする意識に傾きがちです。けれど、お客様のニーズをしっかりとつかみ、適切な製品を提案するというプロセスを踏めば、正規料金でも納得して選んでいただける。価格を下げるのではなく、自分の価値を高めるべきなんです。今も、当社のセールスエンジニアたちにはそう伝えています。実際、値引きなしで高業績を挙げているメンバーのクライアント先に同行すると、感謝されることが多いですよ」

1985年、29歳のとき、鈴木は明伸工機に入社した。営業部や技術部などで経験を積んだ後、1993年に社長に就任。当時は、従業員数約40名で売上高25億円ほど。以来20数年で従業員約100名、売上高約100億円までに成長させた。

社長就任後、力を入れて取り組んだことの一つに「人材採用の改革」がある。先代の頃は「10人採用して3人残ればいい。嫌なら辞めればよい」という考え方だった。しかし、鈴木の代では、「入社後に長く活躍できるように」と、採用選考の段階で自社の方向性と応募者の方向性がマッチしているかを丁寧に確認するようになった。

明伸工機のセールスエンジニアは覚えることが多く、3年ほどかけてようやく一人前になれる。また、ベテランになっても常に最先端の技術をキャッチアップしていくために日々勉強が必要になる。長い年月をかけて、プロフェッショナルとして成長していくのだ。

「『どんなことをやりたい?』と、必ずたずねています。応募者の希望や将来の目標をじっくり聞くことで、その希望が当社で実現できるかどうかを見極めたい。社長になって、人の人生を背負う責任を実感したんです。その人の一生を引き受けるつもりで向き合わなければならない、と」

 

ものづくりの「最先端」をキャッチアップし続ける

新入社員は、最初の1年間は先輩に同行してクライアントとのコミュニケーションを学ぶ。また、社内では物理や化学の基礎知識研修を受けることができ、文系出身者も活躍している。そのほか、試験機メーカー主催の勉強会に参加して専門知識を習得していく。

キャリアを積んだ社員も定期的に勉強会に参加。また、各営業所をつなぐシステムにアップされる日報で情報共有をし、業界団体からの情報をキャッチすることで、常に最新の動向がつかめるような仕組みも整備している。

情報収集の努力を怠らないセールスエンジニアはお客様から信用される。営業に行かなくても、お客様のほうから「次はこういうことをやりたい。相談に乗ってほしい」とお呼びがかかるのだ。新しい情報をキャッチアップする力、そして、クライアントと仕入れ先との間に立つことで高度な調整力・交渉力も身に付く。

「専門性をさらに磨いていくことで、他が追随できないサービスを提供する。私たちの営業は、AIに取って代わられるようなものではありません。だからこそ、社員には勉強を積み重ね、キャリアを磨いていってほしいと期待しています」

鈴木は評価制度や給与体系、就業規則などの変革も行ってきた。

特に評価制度においては、営業成績だけで判断せず、「取り組み姿勢」といったプロセスも加味するようにした。売れる・売れないは、時期によって波がある。担当領域の業界が不調に陥ることもある。長期的視点で社員が「公平」と感じ、やりがいを持続できるような制度へと変えていったのだ。

そのほか、育児や介護が必要になる社員がライフステージに合わせた働き方ができるよう、時短勤務制度も導入。時代の流れに即した改革をいとわない。

先進国では主力産業が製造業からサービス業にシフトしており、日本でも労働人口の割合で見ると製造業はかつての勢いを失っている。しかしながら、鈴木は製造業、そして明伸工機の未来については楽観視している。

「社会や経済をけん引する業種は、時代とともに変わっていきます。戦後は繊維産業、鉄鋼業が栄え、やがて自動車、半導体が台頭し、今はロボットが存在感を強めつつある。『ものづくり』がなくなることはない。残っていく産業をしっかりつかんでいけば、私たちへのニーズは尽きることはありません。これからも日本のものづくりに貢献し、利益を出していく。利益が上がれば給与にも反映できる。社員が生き生きと、誇りを持って働けるような会社でありたいと思います」




 

リスナーの目線

「学生時代からリーダータイプではなく調整役だった」とのことですが、今もそんな立ち位置で、社員さんの成長を支えておられるご様子が伺えました。外側からはなかなか実態が見えない業種ですが、お話を伺うと知的好奇心に満ち溢れた、刺激的な環境であると実感。グローバル競争を強いられる中でも、日本の製造業が強さを発揮できるのは、明伸工機さんのような縁の下の力持ちが存在すればこそなのでしょう。

インタビュー・編集/青木典子、三本夕子 撮影/後藤敦司

Profile

1955年、東京都生まれ。上智大学理工学部卒業後、1978年、株式会社東陽テクニカ入社。

1985年、明伸工機株式会社入社。1993年、社長に就任。趣味はスポーツ観賞、ジョギング、ゴルフ。

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