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ストーリー代表・CEO

人生の目的と目標に気づき、その実現を目指す

代表_ベイシス

ベイシス株式会社

代表取締役社長
吉村 公孝 / Kimitaka Yoshimura

 

ぼんやりと起業を考えた学生時代

私が起業を考えたのは大学生の頃です。もっとも、ぼんやりと「起業したい」と思っていただけで、自分が一体何をしたいのか見当がつかず、新卒時には大阪の通信エンジニアリング会社に就職しました。同社は、電力会社や通信事業者の通信インフラ構築に関する事業を展開している企業で、携帯電話のインフラ整備事業をスタートしたころでした。まだ電波が入らない地域が多かったため、そのインフラ整備に取り組んだのです。

私が入社したのは1995年。Windows95が発売され、パソコンの爆発的な普及が始まった年でした。インターネットや携帯電話はまだ発展途上の段階でしたが、「この業界はいずれすごいことになる」という高揚感がありました。

また、この仕事は成果が実感できることが非常に魅力的でした。当時は毎月、携帯電話の利用明細と一緒に、エリア拡大のお知らせが入ってきました。自分が担当した地域がそこに含まれていると本当に嬉しかったですし、通信インフラの整備という社会的な貢献度の大きい仕事に魅力を感じました。

そこで、私も自分の会社でこの仕事をしようと考え、1996年に会社の同期と2人で個人事業という形で創業し、その後2000年という区切りのいい年に、当社の前身となる会社を広島に設立したのです。

携帯電話のインフラ整備とは、良好な電波=無線環境の構築に他なりません。やみくもにアンテナを立てても電波をうまくつかまえられませんので、どこにアンテナを設置すれば最適かを調査する必要があります。当社はそのような調査や調整試験、実際のアンテナ設置などを担当しています。ただ、設立当初はさほどの設備がありませんでしたので、調査機材を借りて現場を走り回ったり、技術的なコンサルティングをしたりと、無線通信の何でも屋のような感じでした。この業界は非常に規模が大きいため、任される仕事がたくさんあったのです。

その後、実際の基盤づくりを任されるようになり、中国地方のエリア拡大を進めていきました。5年ほどでそこそこ体力もついてきたため、広島から東京に本社を移転。さらに5年ほどかけて全国に支店を設立し、事業の拡大を図っていきました。

無線技術は今、多様な広がりを見せています。特に現在、すべてのモノをインターネットに繋げて管理を行うIoT(Internet of Things)という技術分野が急成長を見せており、当社もそのサービスプラットフォームの販売を新たな事業として展開しています。

重要なのは理念に共感できる人材

当社は割合順調に成長した方だと思いますが、それによる苦い経験も味わいました。設立9年目の頃、ちょうど全国展開に力を入れていた時期で、私は組織の拡大を第一の目標にしていました。そのため、人材もどんどん増やしていたのですが、私は売上や利益など数字にばかり気を取られ、採用にまで目を配っていませんでした。

その結果、組織だけが膨れあがり、まったく一体感のない、競争力に乏しい集団になってしまったのです。特に東京本社はひどい有り様で、支店の人間が訪れると、人材のレベル低下に呆れて帰るくらいでした。社員の満足度もどんどん低くなり、優秀な人材から離れていってしまうことも増えました。

また、ちょうどリーマン・ショックが起きて通信各社がインフラ投資額をしぼった時期です。仕事は減り、しっかりした社員が少ない。当然、赤字が続きました。

これは誰の責任でもありません。他でもない私自身が数字ばかり追いかけていたために招いた事態です。ICT関連事業を通じて、便利で快適な世の中を創造するという志が完全にぶれてしまっていました。

そこで私は、理念やビジョン、目標などを全社員にもう一度説明しようと考え、全国の支店を回り始めました。当然、方針に合わない人や、反発する人も出てきましたが、それらの人材は自然に辞めていき、元通りの闘う集団へと蘇っていきました。

この経験があったため、4年前にはもう一度理念を見直すプロジェクトを実施しました。それまでは私が定めた理念に共感してくれた人材が集まってきましたが、組織の急激な成長によって、目指す方向性の統一感が薄れてきたと感じたからです。

このプロジェクトでは、全社員に理念を考えてもらい、半年ほどかけて煮詰めていきました。結果的に、ニュアンスの大きな変化はありませんでしたが「皆で作った理念」という思い入れが強くなりました。また、理念と社名をリンクさせたくなり、当社の思いを一言で表す言葉として、「ベイシス(基盤)」という社名に変更しました。

この社名には、当社は世の中の基盤(インフラ)づくりをしているという自負と同時に、世の中から必要とされる基盤(インフラ)のような会社になるという思いを込めています。

現在は採用にもかなり気を配り、どれほど優秀な人材でも、当社の理念に共感してもらえない人はお断りしています。入社後も年に一度、私が全社員に対して「理念研修」を実施します。全国の支店を回り、なぜ理念が必要なのか、理念に込めた思いは何かといったことを確認してもらうのです。

どの社員も理念に適う仕事をしてくれていますが、それを指摘されないと気づかないものです。各部署で業務はいろいろですが、誰もが理念を基盤にした仕事に携わっており、会社の未来を一緒に築いている。そんな一体感を確認してほしいと思っています。

新卒の内定者には、泊まりがけで研修を実施しています。別に社会人のマナーなどを学んでもらうわけではなく、「何のために就職し働くのか」「人生の目的と目標は何か」。そんな大きなテーマについて考えてもらう研修です。

多くの人は、これらの質問に対する明確な解答をもっていません。私も就職した当初は同じで、生活のためだけに働いていたため、仕事が楽しくありませんでした。ところが、携帯電話が繋がることで、喜んでくれる人がたくさんいることを認識した時、仕事へのやる気がまったく変わりました。

何事も目的や目標がはっきりすれば、モチベーションが上がるものです。今はそれが分からなくても構いません。しかし、「気づこう」という意識をもって生活していれば、若い時期にそれが見つかり、人生は充実したものになります。

また、私が社員に求める価値観の一つは「利他の精神」、すなわち周りの人に貢献したり、与えたりできる人物になってほしいということです。自分という存在を通して、多くの人に喜んでもらうこと。それこそが人生を充実させる究極の方法だと思います。

ただし、多くの人に喜んでもらうには、まずは自分が幸福でなければなりません。自分の幸福感があって初めて、与えるものの質と量が高くなります。だからこそ、早く人生の目的と目標に気づき、その実現を目指してほしいのです。

経営者は社会的な貢献度の高い仕事

現在、携帯電話ではLTEと言われる通信方式が最新ですが、2年後までに現在の倍、2020年までに1000倍の速度環境が築かれる予定です。世界中の人が東京オリンピックに訪れた際、世界一整った超高速通信、無線インターネット環境をアピールすべく、国が威信をかけて取り組んでいます。今後、当社はそのインフラ整備に貢献していく予定です。

IOTの分野でも、今後は無線を使用したサービスが爆発的に増加するでしょう。たとえば、当社ではこれから5年ほどかけて、スマートメーターと呼ばれる毎月の使用電力量を無線で送信できる環境を整えていきます。現在は検針員が各戸を回って調べていますが、その手間とコストを大幅に減らせることになります。

この他にも、現時点では考えられないような無線サービスが必ず誕生するはずです。その基盤=ベイシスを築くため、当社の役割はさらに重要になるでしょう。

私個人の目標としては、経営者の育成をしたいと思っています。私は就職したばかりの頃、自分はまだ経営者でも何でもないのに、いずれは100人の経営者を育てるという目標を掲げました。それが可能になった現在、子会社を積極的に立ち上げ、社員に子会社の社長を任せたり、社内に独立支援制度などを設けて経営者の育成を行っています。

これは独立にあたり、資金援助、経営のアドバイス、顧客の紹介などを行い、5年ほどかけて一人前の経営者と会社を育てる制度です。当社の支援が不要になれば当社の出資比率は下げますので、いずれは独り立ちした会社として運営していけます。

経営者は世の中に新たな価値を提供したり、雇用を創出したりと、社会的な貢献度の高い最高の仕事だと思っています。私自身、経営者を選択したことで、とても人生が豊かになりました。是非多くの人に、経営者を目指して欲しいと思います。

もちろん、経営者でなくても構いません。社員という立場であったとしても、「自分たちがこの会社を変革し成長させるんだ」という経営者マインドを持ち、仕事のプロとして、一つの道を極めることもすばらしい生き方だと思います。当社の社員は非常に勉強熱心で、技術系社員の大半は第一級陸上特殊無線技士という国家資格を持っています。

また、自費で経営大学院に通い、そこで学んだ知識の定着と伝授を目的に「ベイシスユニバーシティ」という講座を開催している社員もいます。社内の業務だけでは視野が狭くなりますので、私もどんどん外に出ていくことを推奨しています。

社会に貢献する仕事がしたい。世界中の人々から必要とされる偉大な会社を創る一員になりたい。いずれは経営者になりたい。そんな夢を叶える舞台として、当社は最適ではないかと思います。

リスナーの目線

「通信」という分野の可能性に魅了されて、この道にコミットしながらも、常に新技術や海外などの新領域にもチャレンジを続ける吉村さん。言葉を選びながら丁寧に話す言葉の端々に、理系出身者らしいロジカルな発想と志の高い倫理観が伝わってきました。通信という〝公器〞を扱うには、どちらも必要な資質なのだと強く納得しました。

Profile

1972年、広島県生まれ。2000年7月にサイバーコネクション(現ベイシスホールディングス)を設立。
携帯電話インフラの構築、電波エリア最適化などのインフラマネージメント事業を立ち上げる。
2015年現在、グループ子会社4社、国内拠点8拠点で全国の携帯電話・Wi-Fiなど無線通信インフラ作りを通じて、便利で快適なICT社会の実現に向けて事業を拡大している。
また2014年7月よりbeaconを活用したIoT(O2O/M2M)サービスプラットフォーム「beaconnect」を開発し販売を開始。
無線を活用した各種ソリューションの提供を進めている。人生の目的と目標に気づき、その実現を目指す。

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