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ストーリー士業(司法系・会計系・コンサル系など)

自らの挫折や経験から企業の組織作りを支える「人の相談窓口」

社員_プロセスコア

システム化・クラウド化で業務負担が軽減されても、
企業の“人”にまつわる課題はなくならない。

税金や社会保険関連の手続きに留まらず、
組織作り、仕組みづくりのソリューションを提供する
新時代の社会保険労務士事務所

社会保険労務士事務所プロセスコア
山下 謙治 / Kenji Yamashita
所長

期待値を上回る成果で、顧客の信頼を獲得

2021年を目標に、企業による税・社会保険関連の作成や届け出を不要にする――。政府が進める行政手続きのクラウド化は、官民双方の事務手続きにかかる負担を軽減し、生産性向上を実現するものだ。煩雑な作業が大幅にカットされるとあって、企業側からも行政側からも歓迎の声が聞こえてくる。

しかし、企業と顧問契約を結び、労務関係の手続きから利益を上げてきた開業型の社会保険労務士にとって、こうした動きは死活問題だ。それでなくても業務のIT化・デジタル化が進み、将来的には社員の賃金や退職金の計算、健康保険加入手続きといった業務がAIに奪われてしまう懸念もあるいま、ひとつの岐路に立たされているといえるだろう。

「確かに、社会保険労務士事務所としては危機を感じざるを得ません。ただ、少子高齢化の進行とともに、企業における『人』に関する課題は多様化・複雑化しています。私たちは、そんな『人』にまつわる相談窓口として存在感を発揮していきたいと思っています」

国やシステム会社は、社会保険や勤怠などを管理するハードについては導入・支援できても、いかに組織を活性化させられるかまでは教えられない。「そこに勝機がある」と、社会保険労務士事務所プロセスコア所長・山下謙治は話す。

山下が営むのは、労働保険や社会保険関係の手続きといった業務の代行のほか、助成金の申請代行や給与計算、および法律の改正に伴う企業のサポートなどを行う社会保険労務士事務所プロセスコア。そして、人材育成事業、組織活性化のコンサルティングなどを担う株式会社プロセスコアだ。事務所名には、企業が成長するプロセスにおいて、そのコアとなる「人」の永続的な成長と発展を助けたいという思いが込められている。

現在、地元・熊本の中小企業を中心に単発で依頼を受けるほか、130社以上と顧問契約を結ぶ。そのほとんどは、税理士事務所や既存顧客からの紹介だ。他事務所と比較検討した上で同事務所を選ぶ顧客も多い。

選ばれる理由について、山下は「顧問料を払うからにはここまでしてほしい」という顧客の期待値を上回る競合が少ないと指摘する。

「私たちは、派手な集客セミナーやDMといった営業活動をあえてしていません。急激に顧客を増やしてキャパシティを超えてしまえば、どうしてもサービスの質が下がってしまうからです。まずは守りを固めて顧客満足度を向上させてから、攻めの姿勢に転じる。先行投資をして人材を育て、できるだけ無理がない状態で拡大していくことが大事だと思っています」

在籍する11名のスタッフは、顧問契約を結んでいる企業の労務関係の相談窓口としてさまざまな手続きを担い、助成金の提案などをする役割と、そのサポートをする事務や経理の役割に分かれる。特に重視しているのは、顧客と直接かかわる窓口スタッフの教育だ。相手の立場に立って考えられる豊かな人間性と、的確にニーズをくみ取る力がなければ、すぐに契約解除につながってしまう。山下は、スタッフのスキルや提供するサービスの質の標準化に努めるとともに、IT化を進めて事務処理を減らし、顧客と接する時間を最大限増やす努力をしている。

「事務作業をシステム化することでミスが減り、作業時間が短縮できるという効果も期待できます。また、少子高齢化で人手不足が進む企業に対して、限られた人数で高い成果を出すためのコンサルティングをする際にも、こうした実体験が役立つと思っています」

 

病をきっかけに得た「価値観」

熊本で生まれた山下は、31歳のときに独立した。社労士をめざすきっかけになったのは、19歳のときに発症したある病だ。病名はクローン病。原因不明の難病で、大腸や小腸の粘膜に慢性の炎症ができてびらんや潰瘍を引き起こし、腹痛や下痢、血便、発熱といった症状の寛解と再発を繰り返す病気だ。山下は、大学1年生のとき、急に下血して緊急入院。検査の結果、クローン病と判明し、1日1食、脂っこいものや刺激物、消化に悪いものは控える等、食事の回数や内容に厳しい制限をかけられる。家族や友だちと一緒に食事を楽しむことができなくなり、孤独な思いもした。青春を謳歌したい盛りの大学生を襲った厳しい現実。山下は、「普通にできていたことができなくなるというのは、大きなショックだった」とこの時期を振り返る。貧血気味で顔が青白くなったことや、痩せたことが気になり、人目を避ける日々が続いた。

「我慢できずに食べたり飲んだりしてしまって、20代前半は1年に1回は入院していました。今のようにSNSで簡単に友だちと連絡が取れる環境でもなかったので、入院しているときは周囲との関係性が絶たれたような気がしていましたね。誰とも関われない、誰の役にも立っていない自分が虚しくて、『何のために生まれてきたのかな』と考えたりもしていました」

山下は、この時期を「今では強みといえる、新しい価値観を芽生えさせてくれた」と振り返る。退院して外に出たときに目にした日常風景…信号が変わる。風が吹いて、木々の葉が揺れている。これまで、何気なく見過ごしてきた一つひとつが嬉しくて感動して、「人や社会と関わること、人の役に立つことは何より自分自身の幸せの為」という思いを強く持つようになった。

将来には漠然とした不安しかなかったが、「今のままの自分じゃいやだ、なんとかしなければいけない」という一心で悪あがきを始めた山下の前に、ひとつの出会いが訪れる。

「鹿児島で社会保険労務士・行政書士事務所を営んでいた叔父がお見舞いに来て、元気になったら遊びに来なさいと言ってくれたんです。退院後に行ってみたら、ちょうど社会保険労務士の無料相談会を開催していて…。20代くらいの社労士の女性が年配の社長さんに専門性の高いアドバイスをしているのを見て、この仕事なら肉体的なハンデがある自分でも人の役に立てるかもしれない、と思ったんです」

もともと、人と接するのは好きな性分で、営業や接客の仕事には興味があった。しかし、持病のことを考えると、一般企業や接客業で働くのは難しい。自分のペースで、知識を活かしてできる個人事業が向いているのではないか、という将来の方向性を見出した山下は、大学4年生のときに行政書士試験を受験。残念ながら不合格だったが、一般企業への就活はせず、資格試験のための予備校でアルバイトをしながら受験勉強に励んだ。

努力の甲斐あって、大学を卒業した翌年、2度目の受験で行政書士試験を突破。社会保険労務士試験は3回目に合格を勝ち取り、叔父の紹介で熊本の社会保険労務士事務所に入った。周囲に遅れを取っているという自覚と、万が一にも入院して仕事に穴をあけてはならないというプレッシャーのなかでも、「仕事ができる」「勉強したことを実務の中で活かせる」というやりがいと面白さに満ちていたという。仕事量は多く、サービスの質との狭間で苦しむこともあったが、体力面で劣るにもかかわらず人の2倍、3倍の業務をこなせるまでになった。

 

自らの経験も失敗も、ソリューションとして提供する

独立を視野に入れ始めたのは、勤務5年目のこと。コストを抑え、売上アップを重視する経営陣の考えと、顧客へのサービスを維持するために人材にはコストをかけるべきだという自身の考えが相容れず、軋轢を生んだ。

当時のことを振り返ると、「経営側の内情や状況を理解せず、狭い視野や情報に限られた選択肢の中での行動であった」と山下は反省する。このときの経験は、経営者としての今に生きており、スタッフには、単に売上を上げようというような声かけに終始せず、企業を取り巻く内的・外的状況や、どんなミッションに基づいて業務を行っていくのか、事務所をどうしていきたいのか、といった話を積極的にするようにしている。

独立からしばらくは、後ろ盾がないことを心もとなく感じ、組織で仕事をしているからこその強みが身に染みたという山下。それでも、5年の実務経験から「仕事を任せてもらえさえすれば、必ず成果を出せる」と考え、異業種交流会などに積極的に顔を出して地道に案件を獲得していった。業績が安定し、多くの顧客の信頼を集める今も社員の悩みは尽きず、顧客から医者の不養生だとからかわれることもあるという。だが、顧客と共に悩み、その過程で生まれたソリューションを仕事に生かしていくのも山下流だ。

「労働人口が減って少ない人数で成果を出すことが求められるようになると、社員が同じベクトルを持って、一致団結できる組織であることがなにより重要です。どんなに売上が上がっていても、経営者が知らないところで不満が溜まって人心が荒廃していれば、社員を定着させるのは難しいでしょう。従業員にとってもお客さんにとっても満足度が高い、バランスの良い組織づくり、教育の仕組みづくりというところを、これまでの経験と失敗をもとに付加価値として提供していきたいですね」

 

リスナーの目線

第一印象はもちろん、お話ししても人当たりはソフトで穏やかそのもの。それが取材を進めるにつれ、言葉の端々に沸々とした熱量を感じるのは、若い頃に辛酸をなめた経験がバネとなり、人生観や仕事観に投影されているからなのですね。ITツールを自ら積極導入し、士業というよりベンチャー経営者を思わせる柔軟さや先見性は、地場の企業にとって大きな支えとなっていくことでしょう。

インタビュー・編集/垣畑光哉藤巻史

撮影/木下将

Profile

1976年、熊本県生まれ。大学生の頃、社会保険労務士事務所と行政書士事務所を営む叔父の紹介で、中小企業の経営者を支える社会保険労務士の仕事を知る。人を笑顔にする仕事で、企業を通じて多くの方に貢献できると思い、社会保険労務士になる決意をする。従来の社会保険労務士の業務(労働社会保険手続代行業務や給与計算、助成金申請)だけではなく、コーチング技術を取り入れた人材教育を行い、企業組織の活性化や成長を支援。得意とする業務は創業支援や起業から5年目以降の発展期における組織強化・拡大時の仕組みづくり(求人募集から採用選考・就業規則等の社内ルール作成、職務権限規程、職務分掌規程、人事制度導入支援)。日本に古来伝わったインド・ギリシャ哲学や氣學といった東洋思想を取り入れた日本が誇る実践経営哲学を経営者や管理職とったリーダー層に伝える真學経営塾を主催している。

所有資格:社会保険労務士/行政書士/社会保険労務士・行政書士・マイケルボルダック認定コーチ・DiSC認定コンサルタント/日産鮎川義塾 師範代

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