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ストーリー代表・CEO

メイクで元気と笑顔を届ける。

代表_かづきれいこ

有限会社かづきれいこ

代表取締役
かづき れいこ / Reiko Kazki

かづきれいこの原点

「顔と心と体はつながっている」。かづきれいこは、その考え方のもと、「リハビリメイク」を提唱してきた。顔に傷や病気などさまざまな悩みを抱える人に対して、その外観上の問題を軽減することで、心と体も「元気になるメイク」だ。独自の手法を確立し、施術者としてだけでなく後進の育成も推進し、またメイクツールなどの商品開発にも携わり、教育者として大学の教壇にも立つ。

「リハビリメイク」に取り組むようになった背景には、自身の幼少期の体験がある。生まれた時から「ASD(心房中隔欠損症)」という病気を持っていた。それが原因で、子どもの頃は体も弱く、冬になると顔が赤くむくみ、血流の悪さから全身が赤紫色になってしまうこともあったという。

「幼い子どもにとって、こうした見た目の違いこそがいじめの対象になります。私は自分のそうした外観が嫌でした。そのために、普通の人よりも気にするようになっていったのかもしれません」

忘れられない出来事は高校2年生のときに起きた。顔の赤さを隠すために、生まれて初めてファンデーションを塗って学校に行った。すると、先生に呼び出され、「化粧をしているだろ。今すぐに落としなさい」と叱られてしまう。

「私は、口紅やシャドーを塗るなど、おしゃれのためのメイクをしていたわけではありません。普通の人と同じ肌の色に『戻す』ためにファンデーションを塗っていただけです。しかし、当時の私にはその想いを伝える勇気がありませんでした」

短大に進学すると、化粧に時間を費やすようになった。友人から「顔が白い」と指摘されようが、赤いままの顔をさらす方がつらかった。季節によって自分の性格が変化することにも気付く。顔が赤くならない暖かい季節には社交的・行動的でありながら、顔が赤くなる冬になると他人の目線ばかりが気になり、うつむき消極的になる。こうした経験から、自身の価値観が築かれていった。

「見た目を気にする人は、外観上のコンプレックスが心の不安定につながり、それは性格や体調にも影響を与えるということです」

短大を卒業し、21歳で内科医である夫と結婚したが、夫の様子からも多くを学ぶことになった。夫は、外見をまったく気にすることなく、むしろその悩みを理解できないようでもあった。

「そのときに、私は初めて主観と客観の違いを知ったのです。どれほど客観的に大したことのない悩みであっても、本人がそれを重くとらえていれば、その悩みは解消されないのと一緒です」

29歳のとき、母の死と夫の開業が重なり、心労で倒れて初めてASDだと分かった。緊急で手術を受け、無事一命を取り留めるとともに、顔が赤くなる悩みからも解放された。このとき、夫は命が助かったことを喜んだが、かづきは顔が白くなったことを何より喜んだ。夫からは「医師の自分にそういうことを言わないでくれ」と諭されたという。医学の重要性や尊さをもちろん理解し、感謝もしている。

「医学だけでは解消できない、外観の悩みは心や体を辛くすることを、より強く感じるようになりました」

その解決策が何なのか、自分にできることは何か。そして、自分のように赤い顔で悩んでいる人が、たくさんいるのではないか。その人たちへ、「メイクで力になりたい」と気付く。

模索し続ける日々

30歳を過ぎた頃、その第一歩として美容学校に入学する。だが、そこで学ぶことは流行やおしゃれのメイクばかり。残念ながら自らが思い描いていたメイクではなかった。

美容学校を卒業してから、当時住んでいた芦屋のカルチャースクールでメイク講師を始めた。生徒は20〜70代と幅広く、悩みは人それぞれ。そのときに、共通する美は『元気』だと気付き「元気になるメイク」の方程式を考案し教えるようになる。次第に生徒も増えていき、1989年に有限会社かづきれいこを設立する。

それでも、「自分がなぜメイクを志したのか」を忘れることはなかった。そんなとき、イギリスでは1970年代から赤十字社によって「カモフラージュメイク」がおこなわれていることを知る。1995年に渡英して現場を視察した。

「海外でも私と同じように、外観をメイクで改善する取り組みがおこなわれていることは、私にとって大きな勇気になりました。ただ、そのボランティア精神は素晴らしいものの、メイク技術は大雑把で、繊細な日本人には合いません。イギリスでの実践がそのまま日本に取り込めるものであるとも思えませんでした」

多様な民族が混在する欧米社会では、外観上の差別はそれほど大きくない。しかし、日本では顔にケロイドや傷跡がある人を見れば目を背ける。親は子どもに「見てはいけません」と注意してしまう。民族的な多様性を包含しない日本という島国だからこそ存在する、外観上の差別やコンプレックスに対応するためのメイク。日本独自の心理面を含めたメイクが必要だと実感した。

ライフワークとしての「リハビリメイク」の開始

東京のカルチャースクールでのある日、1人の女性と出会った。脳に障害があり、顔が赤く、その表面にはたくさんの吹き出物のような凹凸がある女性だった。

「講習が終わった後、彼女に話しかけられたのです。『私でもきれいになれますか?』。その言葉を聞いて、目が覚めました。『私は彼女のように悩みを抱える人をきれいにするためにメイクを学び始めたはずなのに、何をやっているんだろう』と。その瞬間が、『リハビリメイク』に向かって歩き出した最初の一歩です」

かづきは再び原点に戻ろうと考えた。外観上に何らかの悩みや問題を抱えている人たちのためのメイクのあり方を考え、編み出し、その指導の実践に精力を傾けるのに迷いはなかった。そして、そうした取り組みがメディアにも取り上げられるようになるなか、ある日、看護師が1人の女性を連れて訪れる。顔にひどい熱傷痕がある。医学的な治療は終わり、退院後の生活に向けて運動機能のリハビリをおこなっている最中だった。

「その看護師さんから『身体のリハビリはもう終わりますが、このままでは社会復帰はできません。彼女がこれから生きていくためのリハビリが必要だと思うのです』と言われました。私の想いとまったく同じだったのです。『リハビリメイク』という言葉が生まれた瞬間でした」

以前から外観に損傷を負った患者さんに「隠す」ことを主眼とした「カモフラージュメイク」はおこなわれていた。しかしかづきが目指したのは、「隠す」のではなく、自らがその傷を受容し、社会復帰を前向きに目指す「メイク」だ。「リハビリメイク」という言葉にはそうした想いを込めた。メイクはあくまでも手段であって、目的ではない。

「本当に大事なことは、外観を変えることではありません。「ゼロ」から「プラス」にするおしゃれや流行のメイクではなく、「マイナス」を「ゼロ」にするメイク。ありのままの自分を受け入れることなんです」

その対象は女性に限らず、男性や子どもも含めた、顔や身体、心に悩みのあるすべての人。身体に先天的、後天的に生じた外観上の問題に対し、メイクをすることによって社会復帰を促す。リハビリメイクに訪れるあらゆる症状の人を受け入れてきた。

リハビリメイクでは、ヒアリングが重視される。生活環境などに配慮しながら、その人に合ったメイクを提供する。大事にしていることは、「簡単」「早い」「汗でも崩れない」「一般の化粧品を使用する」だ。

「一般の方と同じ化粧品を使用することで、リハビリメイクが決して『特別なことではない』と感じられ、安心感にもつながります」

また、メイクは客観的な美ではなく、本人が満足できる主観的な美が重要であり、リハビリメイクが受療者にとって主観的に有効かどうかについても検証を重ねた。「VAS(Visual Analog Scale:視覚的評価スケール)」と「WHO QOL26」を用いて、能動的に自分自身の手でメイクをおこなうことで、受療者の主観がどのように変化したかを分析し、リハビリメイクの有意性を発表し続けた。WHO QOL26を用いたのは、世界に通用するエビデンスを構築したいと考えたからだ。

学術領域としての確立へ

「リハビリメイク」を極めていくために、1998年には米ペンシルバニア大学の「アピアランス(外観)」部門を視察した。精神科や形成外科の医師たちが一人の患者を一緒に診るチーム医療のあり方に感銘を受けた。ただ、やはり日本人特有の外観の悩みに対応するには、自らの手で新しい分野の開拓を続けねばならないという想いを強くした。

「そのためには学術領域として『リハビリメイク』を発展させる必要があるとも考えるようになりました。私自身がその分野の研究者として学術を深め、同時に医療のなかにも『リハビリメイク』という領域を位置づけるため精力を傾けました」

まず、1999年に、日本臨床皮膚科医学会で発表した。翌年には新潟大学歯学部非常勤講師になり、講義も担当するようになる。そして、同大学大学院歯学部矯正科に入学し、2005年に歯学博士号を取得すると、この資格を得たことで、日本医科大学大学院に入学することもできた。そして東京女子医科大学の女性生涯健康センターや日本医科大学付属病院に「リハビリメイク外来」を開設。自身のサロンでも精力的にメイクした。大学での講義も続け、リハビリメイクの啓発にも努める。一方で、自身の取り組みを多様な分野の専門家と協働しながら発展させることを見据えて、「顔と心と体」研究会を設立した。同研究会はその活動が認められ、2002年に東京都からNPO法人の認可を受けている。

「顔が嫌な日は心がつらく、心がつらいと体もつらくなるという私自身の経験から、顔と心と体はつながっていると考え、『顔と心と体』研究会を創設しました」

リハビリメイクを実践するためのツール開発も続けられ、なかでも、2008年に発表された「かづき・デザインテープ」は、業界の既成概念を打ち破り、大ヒット商品となっている。もともとはやけどや傷跡などメイクだけでは限界のある肌の凹凸に対応するために考案された。ある日、頬の傷跡に悩む女性に、顔を引き上げてテープを貼ってみたところ、傷跡がうすくなったばかりか、若くなったことに喜ばれ、アンチエイジングに応用され始めた。しわやほうれい線を目立たなくし、フェイスラインのたるみ等も改善するなど、多用途に使える超極薄テープとして特許も取得している(特許第4672799号)。

さらなる普及と後進の育成

その一方で、1992年より社会貢献活動にも力を注いでいた。老人ホームや養護施設、更生施設などを訪問し、メイクボランティアを続けている。

その取り組みや生き方はメディアでも頻繁に取り上げられるようになり、人気テレビ番組「情熱大陸」や長寿番組「徹子の部屋」にも出演。メディアの注目と呼応するように、リハビリメイクを求める人々も増えていく。

「リハビリメイクの対象は広く、その認知が広がるとともに症例や対象はさらに増えました。当然、私一人でできることには限界があります。施術者の養成や後継者の育成は、私にとって長く重要な課題となっていました」

実は、「顔と心と体」研究会を立ち上げた狙いの一つが、築き上げた基盤を後世に残し、かつ公的な枠組みで技術者を資格認定することにあった。

「リハビリメイクは医療の現場でその役割を強く発揮します。そして医療は、国家資格を有する多職種によって提供されています。医療の現場で専門性を発揮するには、それに準ずる資格が不可欠なのではないかと考えました」

悩みを抱える人たちに向き合い続けてきた一連の活動は、その公益性が認められ、2014年に公益社団法人となる。そして、2018年には同研究会が実施する「メンタルメイクセラピスト®資格認定事業」が公益認定を受けた。

「公益性のある事業をおこなうに当たって、『メンタルメイクセラピー』という呼称でスタートしました」

メイクによる解決という選択肢を提供しながら、受療者が自らの外観を受容しつつ、社会復帰・社会参加していくことを手助けしていく。メイク技術の講習・指導をおこない、その技術を受療者自身に習得させることがメンタルメイクセラピスト®の役割だ。2019年から始まった資格認定事業も着実に認知を広げつつある。

「重要なことは客観的な美ではなく、主観。本人が満足できる外観をいつでも自ら作り出すことができるという安心感を得ることによって、それまで自分のコンプレックスであった部分を受容し、社会に出て行こうとする力を得ることができると考えています。私は次につながることだけをひとつひとつこなし、徐々に夢を実現してきました。若い頃の自分に今の姿は想像できなかったでしょう。改めてこれまでの人生を振り返った時、『夢を見ているんじゃないか』と思うことがあります。それだけに、ある日ふと夢から覚めて、顔の赤い女の子に戻ってしまうんじゃないか、と」

しかしまだ志の途中。大きな目標が2つある。1つは、「顔と心と体」に関する新たな学会を創設し、学術領域として確立させること。そしてもう1つは、全国の多くの病院にメイク外来が常設されることだ。その足がかりとして、2020年に日本医科大学に社会連携講座「顔と心と体の美容医学講座」を開設した。医師と連携しながら研究と実践、そして育成を進めていく。

「かづきれいこという名前を残したいのではありません。ただ、私がやってきたことに価値があるのなら、それをつないでくれる若い世代を育て、リハビリメイクをより深めていき学問として確立し続けてほしいと願っています」

公開日:2022/01/31

Profile

生まれつき心臓に穴が開いていた(ASD)ため、冬になり寒くなると「顔が真っ赤」になる悩みを持っていたが、30歳のときに手術し完治。それを機にメイクを学び、活動を開始。メイクを通じて女性の心理を追究し、「外観の悩み」を研究。学会発表や調査をおこない、『化粧』の価値向上に尽力している。 また医療機関と連携し、傷跡やヤケド痕などのカバーや、それにともなう心のケアをおこなう『リハビリメイク』を提唱。多くの人が抱える「顔」の問題に、メンタルな面からも取り組むフェイシャルセラピストでもある。 1989年、ボランティア精神や社会貢献の考えのもと、有限会社かづきれいこ(REIKO KAZKI)を設立し、後進の育成にも力を注ぐ。テレビや雑誌、講演会などでも広く活躍している。2000年より立ち上げた「顔と心と体」研究会(現在は公益社団法人顔と心と体研究会)の理事長を務める。

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