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ストーリー代表・CEO

医療業界に イノベーションを 起こしたい

代表_メディカル・イノベーション

「開業物件選定」「資金調達」
のノウハウを強みに、
医師の開業を成功に導く

医療モール、IT、アジア進出など
新規事業展開を本格化へ

株式会社メディカル・イノベーション
代表取締役会長
伊藤 弘人/ Hiroto Ito

医師の負担を軽減し、医療に集中できる体制を整える

人間は、生まれるとき、亡くなるとき、そして人生のさまざまなステージで、医師の世話になる。現代人が生きていくのに医療は必要不可欠だ。しかし、医療を提供する医師たちも独立開業すれば、「経営」という問題に直面する。医療機関も経営がうまくいかなければ潰れてしまうのだ。

昔は、医師になって開業すれば、誰でも成功できた。しかし、クリニックの数は増え続け、インターネットの普及により、自ら医療機関を選ぶ患者が増えている。一般的なサービス業と同様、クリニックも競合との差別化を図り、付加価値をつけ、患者に選ばれなければならない。とはいえ、何をすればいいのかわからない医師も少なくない。

そんな医師の開業をサポートしているのが株式会社メディカル・イノベーション(MI)だ。開業前から開業後に至るまで、「ヒト(スタッフの採用・教育)」「モノ(開業物件)」「カネ(開業資金)」「ジョウホウ(集患戦略)」という4つの経営資源を最適化し、運営をトータルにサポートする。

代表取締役社長である伊藤弘人は、特に「好立地の開業物件選定」「自己資金ゼロからの資金調達」のノウハウに自信を見せる。業界でも珍しい成果報酬型コンサルティングにより、他クリニックとの差別化(=ブランド化)を図り、経営安定化に導く。

また、医療モール「medimo」事業にも注力している。複数のクリニックが集まる医療モールは、医師それぞれの専門性を活かし、質の高い医療を提供することができる。また、一つの診察券を使って受付を行い、複数の診療科目を受けることでき、総合病院の外来のような機能を発揮する。MIはイオングループの医療モールの多くを手がけるほか、全国の大型商業施設、大型マンションと提携し、患者にとって、より魅力的な医療モールづくりに取り組んでいる。

「私の親は医師で、親戚にも多くの医師がいる。だから、彼らが何を考えているか、何に困っているかといったことを身近に感じ、自然に理解できていた」という伊藤。

医師はプライドが高い面もあり、仕事についての本音、ましてや経営状況などはあまり話したがらない。そのため、誰にも悩みを話せないまま、経営が行き詰まってしまった医師もMIに相談に訪れることがあるのだという。

「もともと彼らは経営者ではなく、医師というプロフェッショナルです。患者さまを診ることが仕事ですし、時間があれば専門分野の勉強に費やしたいという先生も多く、経営に手が回らなくても仕方ありません。私たちの使命は、医師の負担を少しでも減らし、経営を安定させ、診療に専念してもらうこと。医師が健全な状態で医療を提供できることが患者さまのためになり、ひいては社会貢献につながると考えています」

 

IQよりEQやAQ。「生き様がかっこいい経営者」を目指して

伊藤の親は医師であり、広島で病院を経営。厳格な父のもとで育った伊藤は、何でもできる子どもだった。勉強はもちろん、スポーツも書道も一番を取ることが当たり前。特に数学が得意で、小学生にして微分・積分の基礎レベルまで勉強していたという。しかし、全国屈指の進学校へ入学すると様相は一変した。

「上には上がいることを思い知らされた。初めての挫折かもしれないけど、悔しいというより、清々しい気分でしたね。『人は人、自分は自分』と自然に思えました」

IQ(知能指数)や持ち前の論理的思考で勝ち続けてきた少年は、その後、EQ(心の知能指数=自己や他者の感情を知覚する、または自分の感情をコントロールする)やAQ(逆境指数=逆境に対応するために人々に組み込まれた行動パターン)を培っていく。今となってそれは、経営者にとって極めて重要な要素だと感じているという。

親の影響を受け、伊藤も高校生までは医師になるつもりだった。しかし、高校時代にたびたび父と衝突。大喧嘩をきっかけに、医学部の受験をやめた。父の病院を継ぎ、一生広島で閉鎖的に生きて行く――そんな人生に疑問を感じていたのも一因だった。高校時代、さまざまな人と接して垣間見た「グローバルな舞台」を求めていたのかもしれない。

親に相談することもなく、医学部以外の学部を受験し、親から勘当を言い渡された。

麻雀とアルバイトに明け暮れた学生時代、「経営者になろう」と決意する瞬間が訪れた。きっかけは、家庭教師先の生徒の親が経営者だったことだ。

「とにかく魅力的だった。話がおもしろく、パワーを感じさせ、人を惹きつける。大胆かつ繊細な方が多く、かっこいい。こういう大人になりたいと、憧れを抱いたんです」

あるとき、生徒の親である社長がクラブに連れて行ってくれた。部下の役員を引き連れ、何軒もの店をハシゴしていると、行く先々で多くの人間が彼のもとに集まってくる。その姿はバイタリティに満ち溢れ、勢いを感じた。単に交友関係が華やかということではなく、この人は仕事もプライベートも「生き様すべてがかっこいいに違いない」と思えた。自分もそんな経営者になりたいと思った。

経営者になると決めた後、周囲からは「そんなリスクが高いことはやめておけ」と反対意見ばかり。それでも決意が揺らぐことはなく、早く踏み出したい気持ちを募らせた。

しかし、新たなビジネスのアイデアがあるわけでもなく、当時アルバイトとして携わっていた「携帯電話販売」で起業に踏み切る。24歳のとき、出身地の広島で携帯電話販売会社を立ち上げた。

その頃、携帯電話は爆発的な普及期。年商は6億円、15億円、19億円と順調に伸びていった。とはいえ、業界の勢力図はほぼ固まっていて、大手に勝つのは難しい。そこで、他の事業を手がけたり、M&Aを経験したりするなど、経営者としての研鑽を積んだ。その会社は、現在も伊藤が代表を務め、経営は安定している。

伊藤が転機を迎えたのは30歳のときだ。このまま広島でビジネスを続けていくのか自問していたとき、友人の医師から、「開業を考えているんだけど、どうしたらいいの?」と相談を受けた。そのとき、医療を専門とする医師たちに経営を教えられる人は多くないと直感した。経営者としての経験を活かし、「医療コンサルティングをビジネス化しよう」と決意した。



IT化にアジア展開。新規事業の可能性が広がる

こうして2003年、伊藤は医師のためのコンサルティングを事業化。2004年、東京で株式会社メディカル・イノベーションを設立した。

社名が表す通り、「医療業界の革新」を掲げるMI。今後もさまざまな新規事業に取り組んでいく方針だ。

「一つがITを活用した仕組みの提供です。私たちは一生のうちに多くの医療機関に診てもらいますが、そのデータは共有されていません。そのため既往歴が分からず、緊急時の誤った処置によって命を落とす人もいます。そのような医療事故を防ぎ、全国どこに行ってもその人にあった医療が提供できるように、既往歴のデータベースを構築したいと考えています。行政や関係機関との連携が必要な大プロジェクトですが、ぜひ実現したいですね。また、地方に住む人も適切な診断・治療を受けられるように、『遠隔医療』を推進する役割も担いたいと思います」

さらに、主軸業務である開業コンサルタントや医療モール事業でアジア市場への進出も視野に入れている。アジアの人々が検診や治療といった医療サービスを受けるために日本を訪れる「メディカル・ツーリズム」が活発化しているように、医療において日本のブランド力は強く、アジアでの医療ビジネスには可能性が広がっている。すでに医療モール運営でタッグを組んでいるイオングループが海外出店に積極姿勢を見せていることから、今後グローバル化に着手する。

また、医師が融資を受ける際に不利な条件で契約を結んでしまうケースも少なくない。好条件で融資を受けるためのサポートや自社からの融資など、金融事業への進出も計画している。

MIで働く社員たちの入社動機はさまざまだ。病気の家族が医師にお世話になった経験があり、「今度は自分が医師の役に立って、恩返ししたい」と入社してきた人もいれば、医療に強い関心を持っていたり、コンサルティング力を磨きたいという志向の人もいる。

「経営者になったからには会社を大きくしたい。魅力的な会社をつくりたい」という伊藤。さらなる事業拡大を支えるメンバーを幅広い職種で迎えたいと考えている。

「『人の役に立ちたい』という思いを純粋に追求していけば、自然に仕事も増えて会社の成長につながります。なにより、ドクターから『ありがとう』と感謝してもらえることは、私たちにとってかけがえのない大きな喜びです」

リスナーの目線

「経営者が語るビジョンは後付け」という発言が飛び出して驚きましたが、その真意が「起業時の熱意、率直な想いこそ大事」ということだとわかり、納得。学生時代、「仕事もプライベートもかっこいい大人」を目指していたという伊藤社長。社員への想いをたずねると、「仕事を通じて、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)をより良くしてほしい」という即答が返ってきて、その「初志」が健在であることを感じました。

インタビュー・編集/青木典子、藤咲茂
撮影/田中振一

Profile

1972年、広島県生まれ。英国国立ウェールズ大学大学院にて、MBA取得。1998年、アスカ株式会社を設立。2004年、株式会社メディカル・イノベーションを設立。現在に至る。

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