世界中にトンネルを掘り、人と人を繫ぎたい

ENZAN (ASIA) PTE. LTD.

藤田 裕司Yuji Fujita

Director

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3K=3D現場にITソリューションを

現在シンガポールでは、地下鉄を主にしたトンネル建設プロジェクトが目白押しです。

トンネルを掘るのは、直径約7メートル、長さ約10メートルの円筒の形をした、先端が回転しながら前進していくシールドマシンという機械で、これを使って上手に掘るためのシステムが当社の製品です。業界では当社の名前を取って〝enzan system〞と呼んでいただいています。

システムはまずカーナビのような役割を果たし、あらかじめセットしたルートに沿ってマシンをナビゲートします。測量器を自動制御し、複数のセンサーを使うことで精度を保ち、軌道が誤差5センチ以内に収まるようマシンをガイダンスしていくのです。システムにはセンサーが集めた各種のデータを記録するドライブレコーダーのような役目もあり、現場のエンジニアたちに多様な情報を提供します。このシステムはこれまで日本を含め、世界20ヵ国、約1000本のトンネル工事に利用されています。

最初にシンガポールのトンネル工事に当社のシステムが導入されたのは10年ほど前で、この時は日本のゼネコンからのお声がけによるかたちでの参加でしたが、シンガポールを含むその他各国での実績も増やし、今では日本以外のお客様からもお仕事をいただき、各国のプロジェクトに参加させていただいています。

シンガポールの公共交通機関は現在全長180キロですが、2030年までに360キロとなる計画が発表されています。これは現在の東京の地下鉄(東京メトロ+都営地下鉄)に匹敵する大工事です。その大多数の現場で、当社のシステムを使って掘削することを目標としています。

トンネルを1本掘るためにたくさんの人(人種・職種)が関わります。そして地面の下というのは、目で視ることができないため、何が起こるか分からない世界です。当社のようなITソリューションを導入しているとはいえ、環境をある程度コントロールできる工場などに比べて不確定要素が多く、いわゆる3Kの労務集約型現場です。

言葉遊びのようですが、私は日本の3K(きつい、汚い、危険)を英語でDifficult, Dirty, Dangerousの3Dと説明しています。私たちのシステムはこのきつい・汚い・危険の3D現場に三次元(3D)でマシンをガイダンスするITソリューションを提供しているのです。当社のシステムで集めているデータをもっと活かした、新しいサービスを開発して現場に貢献していきたいと考えています。

ニッチな業界ではありますが競合他社は存在します。2013年4月にシンガポールで駐在事務所を立ち上げ、現場に足繁く通い、もっと海外に展開するためにはどうするべきか、たくさんヒアリングしてきました。システムの操作は納品時の1週間で現場ユーザーに覚えてもらいますが、その後もユーザーからの質問に対して迅速に対応したり、要望に対してシステムを改良したりしています。現地に拠点を置くことでお客様からのフィードバックを直接受けることができる、有利な体制ができました。

システムの良し悪しの判断、差別化に繫がるのは、システム自体は当然として、「サポートが良かったから」ということが多々あります。だからこそ、全力でサポートしてお客様の心を掴むつもりで臨んでいます。

また、システムのユーザーだけに留まらず、各プロジェクトにたくさんの国からいろいろな職種の人たちが関わっているので、彼らが将来自国に帰った時にそれぞれの国で当社のシステムやサポート力の良さを広めていってもらいたいと思っています。

世界の都市を巡ると、都市の発展は同じ流れを辿ると感じます。まず地上の発展があり、ある程度開発が進むと地下の開発が始まり、地下鉄や道路、上下水道、共同溝などのトンネルが作られていくのです。

数年前までは中国を主とした世界各都市のトンネル工事にシステムを提供していましたが、最近はジャカルタやホーチミンなど、東南アジア各地でも地下鉄工事が始まっています。インドではデリー、ムンバイ、バンガロール、チェンナイで実績がありますが、新しいプロジェクトも進んでいます。

これまでも海外業務は多かったのですが、2011年からは特に増え、アメリカ、メキシコ、中国、台湾、タイ、ドバイ、そしてシンガポールの現場に関わらせてもらいました。1ヵ月のうち1週間から半分は海外に行っていました。

シンガポールの地下鉄工事についても、私が関わり始めた当初は月に1回ペースで日本から通っていましたが、シンガポールや周辺各国にビジネスチャンスを感じ、駐在させてほしいと会社に進言しました。駐在員事務所を立ち上げて1年が経ち、2014年の6月、現地の会社と組んで、数ヵ月前から準備していたLTA(陸上交通庁)の新しいプロジェクトを正式に受注することができました。同時に、駐在員事務所をENZAN(ASIA)PTE.LTD.として法人化し、私が現地責任者に就任しています。

Profile

1979年、山口県生まれ。
広島修道高校卒業後、1998年京都大学工学部に入学、2004年同大学院修了。学生時代はメタンハイドレート含有地盤の解析を研究する一方で、アルバイトで貯めたお金で海外を旅行し、旅行者や現地の人たちと直に触れ合う。卒業後は大手通信会社に就職、鹿児島県に赴任。離島を含む県内通信設備構築に携わるが、縁あって京都に本社を置く㈱演算工房に転職。画像解析等の研究や新商品の開発、トンネル工事に使うシステムの海外サポートを行う。シンガポールに拠点を立ち上げ、責任者として既存ビジネスの確保と新規顧客・新規市場の開拓、新規商品の開発に邁進中。

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ENZAN (ASIA) PTE. LTD.

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