すべての経験は未来につながる「dot」。好奇心の赴くままに、やりたいことはやってみる

株式会社マネーフォワード 代表取締役社長CEO 辻 庸介

辻 庸介Yosuke Tsuji

株式会社マネーフォワード

代表取締役社長CEO

2016.04.07

テクノロジーの力で、お金の悩みや課題を解決する

当社では、「お金の課題や悩みをテクノロジーの力で解決する」ことを共通のビジョンとして、個人向けと中小企業向けの2種類の事業を展開しています。

個人の場合、今現在の収支から将来的に必要となる費用まで、お金に関してはわからないことだらけという方が少なくありません。この不透明な部分を一元管理し、ユーザー目線で家計・資産の可視化を図ったのが自動家計簿・資産管理サービス(アプリ、Web)です。複数の銀行の預金・入出金や残高、証券、クレジットカードの利用履歴などをほぼリアルタイムで管理できるので、過去から現在を経て未来に至るお金の流れが明確になり、安心してお金と付き合っていくことができます。他の家計簿サービスとの大きな違いは、完全自動化、さらに人工知能によって自動に学習して自分に合った管理の仕方を実現できるということ。家計簿をつける上で一番の課題は「続けられるかどうか」という点にあると思いますが、僕たちは「人間はそれほど継続的に物事を行うのが得意ではない」という前提に立って開発を進め、一度登録すれば自分で入力する必要がない仕組みを作ってユー
ザーの手間を省くことに注力してきました。

個人事業向けがスマートフォンの普及に基づいた「スマートフォンで最も使われている家計簿アプリ」であるとするなら、中小企業向け事業はクラウド化の大きな流れを捉えた「中小企業で最も使われるクラウドサービス」です。確定申告、会計、請求書、マイナンバー、給与、経費精算と、バックオフィスの業務を幅広くカバーし、負担軽減、企業の生産効率の向上を図っています。

双方の事業の基盤となっているのは、「お金のプラットフォーム」「お金のインフラ」として社会に貢献したいという思いです。留学していた頃、「周りへのcontribution」という考え方を繰り返し教えられ、享受するだけでなく与える側に回らなければならないという使命感を抱くようになりました。今、僕たちが提供している新しい価値は、人間がより生産性の高い業務に集中できるよう、必ずしも人間の手で行わなくてもよい部分をテクノロジーで補うサービスです。どんな時も、常にユーザーに驚きと感動を与えたいという志を持って事業を行っています。

もうひとつ、僕が新卒で入社したソニーの製品づくりを支える哲学も、僕たちが事業を推進していくための原動力のひとつとなっています。ソニーの製品やサービスは常にユーザーの好奇心を刺激し、驚きと感動をもって世界中の人々に受け入れられてきました。当社のプロダクトも、ソニーと同じようにユーザーの「WOW!」を引き出し続けることによって、将来的には世界中で使われるようなサービスへと昇華させていきたいと考えています。そのためには、「ものづくり」に注力でき体制の構築と強化が欠かせません。現在、在籍している社員の半数はエンジニアやプログラマー、デザイナーといったクリエイターで、パッションによってプロダクトをつくるという工程を重視した布陣になっています。

株式会社マネーフォワード 代表取締役社長CEO 辻 庸介

「好きではなかった経理の仕事」も、今につながる“dot”のひとつ

ソニーのように「WOW!」のあるものづくりをしていきたい、という話をしましたが、ソニーに在籍していた当時、僕が所属していたのは経理部でした。そもそもソニーに入社を決めたのは、京都大学の農学部でバイオテクノロジーを学んでいた頃、先輩たちと共に進学塾を起業してビジネスに興味を持ったのがきっかけでしたから、経理部への配属はまさに青天の霹靂です。やりたかったわけではない経理の仕事をするという事実に戸惑いながらも、3年ほど頑張りました。それでも、どうしてもビジネスへの思いを捨てきれずにいた頃、マネックス証券の社内募集が出ているのを目にしたのです。当時のマネックス証券は、社員数50名程度のベンチャー。戦略から提携、採用、マーケティングまであらゆる仕事を経験し、起業までに非常に多くのことを学ばせてもらいました。

そして今、クラウド会計をはじめ、お金にまつわるビジネスを行うようになりました。こうして振り返ると、経理をしていたあの時期も、確かに今につながっていると感じずにはいられません。

スティーブ・ジョブズが2005年、伝説とも言われるスタンフォード大学の卒業式のスピーチで「connecting dots」と述べています。彼は、スタンフォード大学に進学したものの、大学に通う価値が見いだせなくなってすぐに退学を決めました。そして、面白そうな授業にだけ潜り込む日々を送ります。そこで出会ったのがカリグラフという伝統的で芸術的な文字の講義であり、この講義で得た知識が十年後にマッキントッシュの多様なフォントを生んだのです。「当時は点と点をつなげる意識などなかったが、実は将来につながることを学んでいた」という彼の言葉には、共感する部分が多くあります。自分をスティーブ・ジョブズになぞらえるのはおこがましい限りですが、人生にはこうしてあとから結びついていく点のような経験がちりばめられていると思うのです。

MBAを取得するために留学したときには、言葉が全く通じず周囲とコミュニケーションが取れないという状況に陥りました。MBAではチームに課題が課されるので、使えない人間がひとりいるとチーム全体にとって大きなロスになります。何とかチームの役に立とうと、ほとんど泣きながら課題に取り組みました。必死でしたね。言っていることがわからない、言いたいことが言えないというのは想像以上に悲惨なものです。入学当初はミーティングでも一切相手にされないような屈辱的な日々だったのですが、何とかくらいついて卒業式では、アメリカ人以外で唯一のクラス代表に選ばれました。なぜかと問うと、「おまえはいつもチャレンジしていたから」という答えが返ってきたんですね。チャレンジし続けることの大切さとともに、とにかく夢中でやってきた毎日はここにつながっていたのだと実感しました。

特に若いうちは、好奇心に従って何にでも挑戦してみるといいと思います。そして、自分の中でしっかりと腹落ちして始めたことであれば、すぐには結果が出なくても信じてやり続けてみることです。点を作っているときには気づかなくても、挑戦し続けていれば、いつか「今、このためにあの経験があったんだ」と思う日が来るでしょう。青い鳥は待っていても来ません。青い鳥は、自分で生み出して、自分で育てていくしかないんです。


Profile

2001年京都大学農学部卒業、2011年ペンシルベニア大学ウォートン校MBA修了。ソニー株式会社、マネックス証券株式会社を経て、2012年株式会社マネーフォワード設立。個人向けの自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」および中小企業向けのクラウドサービス「MFクラウド会計・確定申告・請求書・給与計算・消込・マイナンバー・経費精算」を提供。

2014年1月ケネディ米大使より「将来を担う起業家」として米国大使館賞受賞。同年2月ジャパンベンチャーアワード2014にて「起業を目指す者の模範」としてJVA審査委員長賞受賞。同年3月電通国際情報サービス「金融イノベーションビジネスカンファレンス FIBC2014」において大賞受賞。マネックスベンチャーズ株式会社投資委員会委員、一般社団法人新経済連盟幹事。

Contact

株式会社マネーフォワード

東京都港区芝5-33-1 森永プラザビル本館17F
http://corp.moneyforward.com/

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