日本人エンジニアの持つ高い価値を世界に発信する

株式会社ヘッドウォータース 代表取締役 篠田 庸介

篠田 庸介Yosuke Shinoda

株式会社ヘッドウォータース

代表取締役

2015.06.09

エンジニアこそ日本を発展に導く原動力になる

現在、当社はIT関連の多彩なサービスを手がけていますが、2005年の設立当初から海外でも活躍できる人材の育成に注力してきました。これは簡単な課題ではなく、多くの失敗とちょっとした前進の連続でした。

グローバルマーケットである種のインフラとなる新しいサービスや技術は、欧米諸国から発信され波及することがほとんどです。特にWindowsなどを代表とするITインフラは英語圏で生まれ、成熟してきました。日本語や日本語圏で発達したサービスは、たとえクオリティが高くても、日本に最適化され過ぎて海外マーケットで受け入れられません。結果的に日本を含めアジアの国々は、ITの分野では完全に欧米の後塵を拝しています。

しかしながら、日本が技術力で欧米諸国に劣るとは思えません。海外マーケットに最適化させる感性や、英語力さえ補完できれば、日本はIT業界をリードするようになると確信しています。今の日本は大きな「強さ」を持ちつつ眠っているだけなのです。

私は当社を設立する時、IT業界の改革をテーマとしました。

それにはまず、その土台となるエンジニア自身の革新が必要だと考えました。エンジニアがどんどん海外に出たり、ビジネスの前線で仕事をするようになれば、彼らの感性や能力は飛躍的に上がります。また、エンジニアたちが自ら新しい事業を生み出すことで、グローバルマーケットで競争力を持つIT産業が実現すると考えたのです。

そこで私たちは、社員がまだ10名程度の頃から海外展開を開始しました。

最初に選んだ国はインドでした。インドのIT企業は、アメリカ企業の下請けをこなし成長してきました。そのため、彼らは世界標準で開発することに慣れているし、何より準公用語が英語なので、我々が学ぶことも多いと考えたのです。当社がグローバルマーケットで戦うことを考えた時、インドから始めるのがベストの選択でした。

海外での事業に着手し始めた頃、私は英語がとても苦手でした。日常会話すら怪しいレベルだったので、今振り返ってもよく海外進出を考えたと思います。

ある時は、私1人対10人で激しく議論したこともあります。圧倒的に不利な状況でしたが、「フェアに俺にも話させろ」と怒鳴るように言うと、こちらの熱意と信念を汲み取り、次第に良い関係が築けました。ビジネスを理解しており、精神的にタフであれば、英語力の弱さは致命的な問題にはならないと実感しました。

また、一度チャレンジし実績を作ると、会社に希少価値が生まれ、次のチャンスを自然と引き寄せるようになります。ちょうどインドからの撤退を考えていた時期、「海外でのシステム開発(オフショア)実績があるなら」ということで、お付き合いのある銀行から中国の実業家を紹介されました。

彼は非常に優秀で、当時訪れたのは小さな賃貸オフィスでしたが、あっという間に規模を拡大し、今では五千人は入る本社ビルを構えています。現在、中国市場向けの革新的なeコマース事業を彼の会社と共同で推進しています。

その他、ベトナム、カンボジアにも関連会社を設立したほか、プノンペン王立大学との産学連携などにより、現地では高い評価をいただいています。

重要なのは国の良し悪しではなく自分たちの実力

このように、一度思い切って海外に進出し、何らかの実績を作れば、そこが突破口になっていろいろなご縁が生まれるものです。

しかし、そのご縁をビジネスに発展させるには、「一期一会」の精神が必要です。せっかく良い方と巡り合ったとしても、雑な応対をしていると次の機会は得られません。とりわけ海外では人種も違い、距離も遠い分だけ、国内以上に信頼関係が大事になります。

鋭い感性や明晰な頭脳を備えた優秀な相手は、いい加減な対応を容易に察知します。相手の話を集中して聞き、そこから何かを読み取る。そして、意見やアイディアを忌憚なく述べる。どんな時にもこの姿勢をもって臨むことが大事だと思います。

優秀な相手ならば、それらの態度から「私たちのために考えてくれている」という真摯な姿勢に気づき、「この人物は信頼できる。一緒に仕事がしたい」と思ってもらえるものです。すると、紹介してくれた人の面子も保たれ、また良い方を紹介してくれます。この仕組みは万国どこに行っても変わりません。

ところで、海外で働くことを考えると、わりあい国の選別に意識が行きがちです。もちろん、当社のように理由があり、インドから開始するといった戦略は必要ですが、どんな国にも良し悪しはあります。その良さを活かし、悪さに対応してビジネスを作るのが自分たちの腕の見せ所であり、ご縁があった国ならば、どこで事業をしても変わりません。

あの国は人口が少ない、GDPが低い、宗教が違う、などの分析で事業性を語る人がいますが、GDPが低いことで投資額を抑えられるなど、良し悪しは表裏一体です。国ごとの分析は必要ですが、何らかの数値をもって良し悪しを議論するのはナンセンスなのです。繰り返しますが、大事なのはあくまでこちら側の実力だということです。

ただし、やはり他国は私たちにとってアウェイであることも事実です。おいしそうな話に乗ってダマされた、といった話は山のようにあります。しかし、今のところ私は、ダマされたり、パートナーに裏切られたりという経験はありません。

私が海外進出を決断する時は、利益を考える前に、その国に信頼できる相手がいるかを大事にします。信頼できる人とのご縁を一番に考え事業を進めれば、うまくいってもいかなくても納得感はあります。おいしそうな話に乗せられてダマされることもありません。

海外で確実に成功できる王道やノウハウなどはありません。やはり「一期一会」の気持ちで、こちらも相手を見極めることが何よりも大切です。

篠田 庸介

Profile

1968年、東京生まれ。
大学を中退し、草創期のベンチャー企業に参画。1997年、㈱スマートビジョン設立。2005年、㈱ヘッドウォータース設立、現職に就任。2008年、㈱東忠ヘッドウォータース設立。2009年、ベトナム・ハノイに㈱ライフタイムテクノロジーズを合弁会社として設立。2011年プノンペン、2014年ドバイへと拠点を設立。今後は欧米、アフリカなどにも展開予定。趣味はサッカー、フットサル、スノーボード、スキューバダイビングで、生涯アスリートを目指す。体脂肪率は6%。

Contact

株式会社ヘッドウォータース

〒160-0022
東京都新宿区新宿2-16-6 新宿イーストスクエアビル7階
03-5363-9361
http://www.headwaters.co.jp/

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