収益不動産再生事業を軸に
オーナーの資産の最適化、
幸せの最大化を目指す

株式会社不二興産

猪子能史Yoshifumi Inoko

代表取締役

CSR活動も推進。
会社を挙げてボランティアに取り組む

「事業もボランティアも根幹は同じ
理と情が一体になっていないと
人は成長しない」

 目次

収益不動産オーナーに「長い目」で幸せをもたらす提案を

創業から一貫して中古不動産の再生事業を手がけている不二興産。2009年頃からは収益不動産再生に特化して事業を展開している。その背景にあるのは、収益不動産オーナーを苦しめている「空室問題」だ。その解消のため『新・大家ライフ』というサービスで、収益不動産オーナーをトータルサポートしている。

不二興産では収益不動産の調査を行い、まずはどのような対策を施せば空室が減るのかを探る。リノベーションやコンバージョンで解決できるケースも多いが、安易には即断せず、オーナーが置かれた状況や希望を精査。物件を保有すべきか、あるいは売却すべきなのか、10年後のポートフォリオの作成も行う。ここまでのサービスが無料。そして特徴的なのは、物件を手放すことを推奨している点だ。代表取締役の猪子能史は言う。

「当社が他社と大きく異なるのは、『資産の最大化』を目的とせず、オーナーさんの『幸せの最大化』に重きを置いている点です。言い方を変えれば、単に不動産で儲けましょうという話ではなく、オーナーさんが幸せと感じるライフスタイルを送れるかどうか。それを基準として資産の組み換えを推奨しています。ときには売却も勧めますし、収益不動産の買い替え、保険や海外不動産といった別の投資商品を紹介することもあります」

先祖が遺した土地を守らなければ…という義務感に囚われ、苦しんでいる人もいる。そんな人には「先祖が望むのは、あなたが豊かな生活を送ること」「お子さん、お孫さんのために、今どんな選択をするのがベストか」と語りかけ、自分自身ではしづらい決断を後押しすることもある。「資産を最適化することで幸せを最大化する」――こうした長期的視点でオーナーのメリットを考えることで、取引後も長く関係が続くのだという。

また、売却物件を自社で買い取るのも同社ならでは。同事業において20年にわたって蓄積したノウハウを駆使することで、都心部から離れた場所にあるような不人気物件でも、およそ半年後には満室物件に生まれ変わらせる。

空室問題について、猪子はこう語る。

「人口が減っている日本では、アパート・マンションといった収益不動産はすでに過剰で、空室率は年々上昇しています。それが収益不動産オーナーを苦しめている。それなのに、可住地の狭い日本に不要な建築物がどんどん建てられ続けています。日本の国土全体の土地資産の有効活用とは、真逆のことが起き続けているんです。既存の建物を再生して活用、循環させる流れを創らなくてはならないと考えています」

現在のサービスを手がけた当初、興味を持つ同業者はほとんどいなかった。それでも猪子は着手した。その背景には、「憤り」「挑戦」「反骨心」といった猪子の人生のキーワードが浮かび上がる。

幼い頃から人と違うことをしたがる性分だったという猪子。学校の先生からは「協調性がない」と指摘されていた。「常識」や「ルール」を押し付けられることが嫌いだったのだ。

勉強にも身が入らず、将来の夢も特にない。高校卒業後はしばらくフリーターのような生活を送っていた。

そんな猪子が変化したのは20歳のとき。着物販売の仕事に就いて間もない頃だ。ある朝、出勤すると、店長が姿を消していた。しばらくするとその店長は、もとの店のスタッフたちを引き抜き、すぐ近くに別の系列店を出店した。

競合店の出現で先行きを不安視した会社は、その地域から撤退しようとした。しかし猪子は、前店長の理不尽な行動に納得がいかなかった。

「ここで負けるわけにはいきません。僕がこの店をやります」。反骨心が芽生え、店長を引き受けた。結果、猪子の店はチェーン店でトップセールスを誇るまでに業績を伸ばした。

しかし、そんな奮闘とは裏腹に、会社全体の業績は悪化。猪子は転職を余儀なくされる。