マーケット分析でトレンドや社会的要請を把握し空室解消に貢献する
株式会社不動産鑑定ブレインズ 代表取締役 山路 敏之

株式会社不動産鑑定ブレインズ

山路 敏之Toshiyuki Yamaji

代表取締役

2016.04.13

不動産の価値を決める「価格の三面性」

「不動産の鑑定評価」とは何か、ご存知の方は少ないかもしれません。

不動産の鑑定評価というのは、簡単にいうと、不動産の経済価値(価格・賃料)を判定し、価格で示すことです。では、その価格はどう決まるのでしょうか。要素は3つです。

まずは、「費用性」。これは、その不動産をつくるために、どれくらいの費用(造成費や建築費等)がかかったかという視点からの考察です。次に、「市場性」。鑑定対象と同様の立地・広さ・築年数等の物件の成約事例を調べ、鑑定対象と比較するのです。そして3つ目が「収益性」。その物件を賃貸したときに、いくらで貸すことができてどのくらいの収益が残るかということを分析します。不動産鑑定ではこうした「価格の三面性」を勘案して、価格を決定しています。

もともと、当社はこうした不動産鑑定を専門としていたのですが、私の知識や経験を別の形でも生かしたいと考え、コンサルティング仲介も始めました。

というのも、「銀行から自社ビルを買ったらどうかと物件を紹介されたんだけど、賃貸を続けるのと買うのとでは、どちらが得なのか教えてほしい」とか「自宅の隣人が隣地を買ってくれないかと言ってきたがいくらなら買ったらよいか」など、プライベートでさまざまな相談を数多く受けてきたからです。

私は専門家として、知人として、誠実にアドバイスをしてきましたが、たとえば私がある取引を「適正」とお伝えするということは、知らない業者の取引の背中を押してあげていることともいえると気づき、このような無料サービスを料金をいただくシステムに変えようと考えたわけです。

不動産鑑定士として培ってきた鑑定眼や人脈を生かして水面下の情報もキャッチし、その情報を商品化できることが私の強み。相談を受けた物件を、価格面・用途面でベストな買い手・借り手につなげることを目指し達成してきました。

バブル後に重視され始めた「収益性」

もう一つ、当社の特徴をあげるとしたら、マーケットを読み取る力に長けているということです。

私が不動産鑑定士として独立した頃、前述の不動産の価格の三面性の中では、「市場性」が最重要視されていたのですが、これがある意味バブルの元凶の一つといわれていました。なぜなら、取引事例が鑑定評価額を決定する大きな要素になっていたからです。

たとえば、本来、300万円/坪の価値の不動産が350万円/坪で売れた場合に、この事例を無批判に取り入れてしまうと当該エリアでは割高な350万円/坪という価格を追認することになってしまうのです。取引の異常値を指摘できないと、鑑定評価額はどんどん高くなっていく。バブルの余波が残る当時は、こうした鑑定手法に疑問が呈されていました。

そこで、重要になってきたのが「収益性」です。その不動産を賃貸したときに、どれくらいの収益を上げられるのかということを「収益還元法」という手法を用いて、しっかりと算出すべきだという風潮になったのです。

そのときに必要とされるのが、マーケットを見る目です。更地を活用する場合に、その土地をオフィスビルにするのがいいのかマンションにするべきか。仮にマンションにするとしたら、ワンルームかファミリー向けか。また、マンションの1階にテナントを入れるとするならば、どんな業種がよいのかなど、最もパフォーマンスのよい活用方法を考えなければなりません。私は、こうしたマーケティングが得意でした。

なぜかというと、街を歩くときも常に周囲を見渡し、そのエリアの不動産賃料の相場などはもちろん、あの超高層ビルの1階の物販店の賃料と最上階の飲食店の賃料はどちらがどれだけ高いのか、この古いビルの入り口の狭い地下でどんな業種の商売をするとうまくいくのかと考えたり、実際に調べたりすることをやり続けていたからです。

いつしか賃料相場をしっかりと把握し、説得力ある不動産の有効活用および収支計画を提案することができるようになっていました。独立当時、こうした感覚を持った不動産鑑定士は少なかったため、幸いにも多くのクライアントから信用を得ることができ、それがコンサルティング仲介の仕事にも生かされていると感じています。

また、仕事のパートナーにも恵まれています。たとえば、商業ビル購入時にリノベーションが必要な場合には、コストパフォーマンスの高いプランを提案できる感度の優れた一級建築士がいます。簿価の低いオフィスビルを売却する場合には、手取りを最大限にできるようなアイデアを提示する不動産に明るい税理士がいます。このように、不動産に関するほぼすべての事柄をワンストップで対応できるような専門家をそろえていることも当社の強みで、〝ブレインズ〞という社名の由来もここにあります。


書籍「空室が日本を救う!イノベーティブ企業22社からの提言 」から掲載】


Profile

不動産鑑定とコンサルティング仲介を主な事業とする不動産関連専門家集団です。代表は、慶應義塾大学法学部を卒業後、ホテルや飲食店を展開する実業家のもとで経営者としての資質を学び、その後、1989年に不動産鑑定士3次試験に合格。1994年に株式会社不動産鑑定ブレインズを設立しました。一級建築士や税理士などの専門家とパートナーシップを結び、鑑定・仲介・リノべーション・税務相談などのサービスをワンストップで提供。不動産鑑定を通じて培った不動産観と、マーケットに関する的確な知識で、空室問題に関するソリューションを提案しています。

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書籍
「空室が日本を救う!イノベーティブ企業22社からの提言」

日本社会が抱える課題の一つに空き家、空きビルなどがある。この課題解決に必要なのが発想の転換、アイデアである。人口が減少し、若者たちのワーキングスタイルが変わりつつある今、スペースの用途を単に住まいやオフィスに限定する従来型の発想では、本当の意味での課題解決には結びつかない。外国人や企業、シングルマザーなど入居困難者や介護、保育、クラウドソーシングなどといった用途で空きスペースを必要とする人が増えている現状を鑑み、自由な発想でスペースを活用していく事こそが解決の糸口となる。そして、こうした取り組みは空室問題の解決だけではなく、女性就労や子育て支援、医療、介護、インバウンドなど、一見空室とは関連性がないようにも思える様々な日本の課題を一括して解決する可能性を秘めている。そこで、本書では画期的な発想で空室問題の解決にあたる20社の実例や知見、ビジネスモデルを紹介する。

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