その街らしく、愛着を持って暮らせる建物つくりが空室だらけの物件を甦らせる

株式会社NENGO

的場 敏行Toshiyuki Matoba

代表取締役社長

 目次

デベロッパー主導の街つくりを変えたい

私は以前、フォーシーズンズホテル 椿山荘東京(現ホテル椿山荘東京)のホテルマンをしていたことがあります。そのとき一緒に働いていた同僚は、お客さまに喜んでもらうことが大好きな人たちばかりでした。たとえ給料が安くても、「ありがとう」という言葉をもらえれば頑張っていけると考えている人たちです。

その後、父の創業したこの会社に入社し、建設業、不動産業に入ってまず思ったのが、自分の利益を優先しがちな人が多いということです。ホテル業に就いていたときとのギャップに驚きつつ、この業界全体の風潮を変えたいと強く思いました。

不動産は、人生で一番といっていいほどの大きな買い物です。そこに携わる人間が自分の利益第一であってはいけない。まず目の前のお客さまを幸せにしないでどうする、と思ったのです。NENGOの一番の理念は、「企業活動を通じて世のため人のために貢献する」ということ。簡単にいうと、目の前の人をいつも幸せにしよう、ということです。

そして、この会社のミッションは、その土地の気候、風土、歴史、文化を読み込んで、その土地〝らしさ〞をつくること。それによって「その土地に住みたい」「遊びに行きたい」「働きに行きたい」という動機をつくり出すことが我々の使命だと考えています。

〝らしさ〞をつくることがなぜ必要なのか。たとえば、私たちがパリやローマに遊びに行くとき、そこにパリらしさ、ローマらしさを求めます。パリに遊びに行って、そこに日本を模した街並みがあったらがっかりしてしまうでしょう。

しかし、戦後を経た日本からは、日本らしさがどんどん失われています。グローバル化が進むほど、日本が日本であることの価値は増します。にもかかわらず、それを忘れて西洋風、欧風な建築物などがどんどん建てられていく…非常にもったいないと思います。加えて〝街らしさ〞もどんどん失われています。今やどの駅の周りにもナショナルチェーン店が並び、同じような街並みが広がっています。そんな街つくりをしているのが、現在の不動産建設業界です。基本的にデベロッパーが街つくりを考え、その下請けで建設や設計事務所が動きます。ところがデベロッパーは建築や街つくりを学んでいないことが多いため、建物や景観への思い入れに欠けるのです。こうしたデベロッパーが主導する構造が変わらない限り、街の風景は変わりません。その街つくりを先頭に立って変えていこうというのが、我々の最もやりたいことです。

 

Profile

現代表の父親が創業したオリエンタル産業株式会社が行っていた耐火被覆事業から業容を拡大。快適な温熱環境を提案する断熱工事から、心地よい空間を提案するポーターズペイントの販売や塗装工事と業務を拡大。現在は戸建ての建築からマンションのリノベーション、豊かな暮らしを提案する不動産事業などを手がけています。「目の前の人を幸せに」という思いから、社員を大切にする社風も特徴で、離婚休暇をはじめとするユニークな制度を設けています。