夢や人生を表現する
唯一無二のスーツ
魂をこめた1着で
ビジネスを成功へ導く

株式会社muse

勝 友美Tomomi Katsu

代表取締役

アパレル販売員から日本初の女性テーラーへ

兵庫県に生まれた勝は、3歳で病に倒れ、以後入退院を繰り返す少女時代をおくった。学校のスポーツ行事には参加できず、同級生の輪から外れて見学していることが多かった。

明朗な勝は多くの友人に恵まれたが、やりたいことができない自分に葛藤を抱える子どもだった。病気の不安から、将来の夢やビジョンが描けず、周囲を客観的に俯瞰していることもあった。この経験が、人に対する鋭い観察眼や洞察力を育てたようだ。

ファッションへのこだわりは幼少期から強く、小学校低学年で「恰好悪いから」とランドセルをやめ、鞄で通学した。洋服には自分の好きな布を縫い付けてオリジナリティを出した。思春期になると、制服のスカートを丈違いで6着揃え、日によって異なる着こなしを楽しんだ。同じ生地でも僅かな長さの違いで、印象が変わることに気付いていたのだ。

幸い成長とともに病は回復し、高校では学生らしい生活を謳歌することができた。卒業後は短大に進学、20歳で大好きなファッション業界へ就職した。

レディースアパレルの販売員として大手百貨店に配属され、その日にトップセールスを獲得。子ども時代から培った観察力とファッションセンスで、お客様の求めるものをいち早く察知し、提案できたからだ。早々にリピート客を掴み、入社1カ月で副店長に就任した。

入社3年目、売上No.1販売員として活躍していた勝は、ヘッドハンティングを受ける。スタイリストとして海外向けに日本のファッション市場を紹介する仕事だった。新規事業のスタートアップメンバーであることにも魅力を感じ、オファーを受けた。

ポータルサイトでメインモデルを務めながら外国と日本をファッションで繋ぐ仕事は、多忙ながらもやりがいがあった。しかし、経営会議や交渉の場に度々同席を求められるようになり、スタイリスト職との乖離に疑問を抱く。同時期、病気の父の看病のため、東京と地方を往復する日々が続き、心身ともに疲弊が重なった勝は仕事を辞めた。

その後、事務職に就くも1日で退社。「やっぱりファッションの仕事をしたい」と心を決めた。勝は、販売員時代に得られなかった採寸や縫製の知識を取得するため、縫製業界を目指し、工場直営のオーダースーツ専門店に再就職した。ところが、店舗では完全にマニュアル化された接客と、必要最低限の採寸を推奨され、効率が重視された。

「オーダーメイド専門店なのに、お客様と向き合っていないと感じました。これではお客様を輝かせるスーツをつくることはできない。ファッションは身に着けたときに、心が躍るものであるべき。私がオーダースーツ本来の理念を復活させる!と決めたのです」

店舗スタッフや責任者が次々と辞めていくなか、勝は1人になっても運営に取り組んだ。

補正やサイズ調整の技術を高めるため、試行錯誤しながら試作品の製作を繰り返した。全顧客のオーダーシートを過去に遡って目を通し、サイジングについて徹底的に研究した。同時に生地ブランドの歴史も幅広く学んだ。的確に生地を提案できるようになるため、終業後は夜間の色彩スクールに通い、パーソナルカラーリストの資格も取得した。

知識と技術に確信を得た28歳のとき、専門店を退職し、大阪・淀屋橋に「Re.muse」の前身となる、念願の自分の店「muse style lab」をオープン。ところが、開店直後から売上がたたない日が続いた。経営者が若い女性というだけでバッシングされることもあった。顧客開拓のため、企業の社長に会いに行ったり、ビジネス交流会へ積極的に参加したりしたが、なかなか受注に至らない。交換した名刺をもとに、毎日電話営業をかけ続け、少しずつ来店予約が埋まるようになった。

そして、勝のスーツづくりに対するポリシーを曲げない姿勢が、次第に顧客から大きな信頼を集め、1年後には他の有名テーラーと肩を並べるまでに成長した。

大規模な事業展開は考えていなかったが、工場関係者から、東京進出を嘱望されるようになった。悩み抜いた末、大阪の店舗を信頼するスタッフに任せることに決めた。スーツを仕立てる上での考え方、技術面、顧客のサポートなど、勝が積み上げてきたもの全てを1年かけてスタッフに引き継いだ。勝にとって、店を任せることは、必死でついてきてくれたスタッフへの愛情表現でもあった。そして2016年3月、勝は東京で新たな店舗をオープンする。

株式会社muse 代表取締役 勝 友美

Profile

兵庫県宝塚市生まれ。神戸松蔭女子学院大学短期大学部卒業。

人生の三分の一をファッション業界で生きる。 一販売員から始まり、国内外でのスタイリスト経験を経た後、テーラーの世界へ転身。28歳で自社ブランド「muse style lab」を立ち上げ、独立。 「夢を叶えるオーダースーツ」として多くのエグゼクティブより支持を受け、現在に至る。2017年6月、ブランド名を『muse style lab』改め『Re.muse』へ改名。著書に『営業は「バカ正直」になればすべてうまいくいく!』(SBクリエイティブ)がある。2018年2月、『ATSUSHI NAKASHIMA』とコラボレーションし、ミラノコレクションに出展。

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