頑張ったという自己評価は要らない
株式会社HRアソシエ 代表取締役社長 鈴木 隆史

株式会社HRアソシエ

鈴木 隆史Takashi Suzuki

代表取締役社長

2015.10.06

採用活動の生産性を上げる

私は栃木県で340年以上続く和菓子屋の長男として生まれ、本来ならば菓子職人として家を継ぐ立場でした。ところが、時代とともに地方の需要が先細りしていくであろうことを見越した祖父から、「東京の大学を出て、東京の会社に就職しろ」と子どもの頃から言われていたので、高校卒業とともに、東京に出てきました。

大学卒業後、就職したのは人材採用関連のベンチャー企業です。仕事は営業でしたが、入社から1年はまったく契約が取れず、過労とストレスで胃に穴があいたこともあります。

1年目の終わりにようやく契約が取れ始め、2年目には最年少でリーダーに、3年目には営業全体を見るマネージャーに昇格しました。当時は先輩も多くいて、私の昇進の早さに反対もあったようですが、当時の上司がその先輩たちに「じゃあお前らは鈴木のように働けるのか?」と言って納得させてくれたようで、後で聞いたときは嬉しかったですね。

しかし、その3年目からリーマンショックの影響で、会社の業績が一気に傾きました。それに伴って多くの仲間が辞めていき、私も最終的には会社を去りました。

その後、一度は通信系の会社にお世話になり、人材事業部の立ち上げを任されたのですが、その会社も1年弱で経営破たんし、やむなく退職。当時の仲間と「こうなったら、自分たちでやるしかない」と設立したのが当社です。

当社では、人材採用のアウトソーシングという比較的珍しい事業を行っています。人材採用は、企業の人事部が担当する仕事です。しかし、応募者からの問い合わせ対応、データ管理、面接日調整、進捗状況チェックといった細かな業務まで人事部の社員が対応していては、生産性が下がります。そこで私たちが、対応できる業務をアウトソーシングとして受けるわけです。人事部の皆さんには、戦略の立案から、会社説明会や面接、フォローなどのコアな業務に注力していただけます。結果、採用活動の生産性が上がります。

さらに近年は、採用プロセスにスピードが求められるようになりました。時間をかけていると優秀な人材が他社に流れてしまいます。任せられる仕事はアウトソーシングすることで、採用プロセスが効率的になり、スピーディーに進められます。このような形で、企業の人事部に向けたサービスを提供しています。

採用全体を設計し直す

私は、特に経営者に憧れて起業をしたわけではありません。仲間を守るためには、そうするしか道がなかったためです。創設時、まだ10代のメンバーもおり、26歳の私が一番年上、平均年齢は22歳でしたね。

ただ、経営者になることにさほど抵抗感はありませんでした。実家が自営だったためかも知れません。親に電話で相談したら、「いいと思うよ! じゃあ、いま忙しいから切るね!」と言われまして。「そんなものか…じゃあ、やってみるか」と軽いノリで始めたのが正直なところです。

とはいっても、始めてみたら苦労の連続でした。まずは、貯金がゼロだったので、実家に借金をお願いして300万円を貸してもらい資本金にしました。それと、実は前の会社の整理に伴い、パートナー会社への債務などをこちらで引き継がざるを得ず、450万円を別で借りて当てました。さらには当時、プライベートで経営大学院にも通学していたため、その教育ローンが280万円。結局、1000万円以上の借金からスタートしたわけです。

お金の不安に追われる中、救ってくれたのは、とあるお客様でした。以前から付き合いのあった京都の印刷会社の部長なのですが、面会を打診し、ご支援のお願いをしたときのことです。設立したての会社に任せてもらえるか、不安ながらに深々と頭を下げました。すると部長は1分ほど沈黙した後、「ええよ、付き合ったる」と。そして続いて、「今、大変な状況やろ。先に払ったる。いくら欲しい?」と言ってくれたんです。あれは参りましたね。涙を堪えるので精一杯で、何も言えませんでした。

その後、ほどなくして800万円を振り込んでくれました。ああ、この人のことは一生裏切れないなと思いました。今も継続して支援させてもらっており、その部長は今年から社長になったので、とても嬉しく思います。「貢献したい」「貢献するために頑張ろう」そんな気持ちからのスタートでしたので、その初心は大切にしていきたいですね。

当社が何よりも目指しているのは、採用の生産性を上げること。その実現には、採用全体を見て、ベストな形に設計しなければなりません。先ほど「コア業務」という言葉を使いましたが、その定義は曖昧です。今、人事部の社員が担当しているその業務は、本当にコア業務なのか。本当に高いコストをかけて社内で担い続けるものなのか。もっと見直せる余地があると考えています。

とりわけ、大きな経済成長が見込めなくなった今の日本では、企業の多くは規模の拡大ではなく、スリム化に向かっていくでしょう。人事部も、無駄なくフレキシブルな組織、言ってみれば筋肉質でありながらも柔軟であるアスリートのような組織になるべきだと思います。

ただ、アウトソーシングの領域を広げるには、大きなハードルもあります。それは、採用活動というものが、社員1人1人が積み重ねてきた経験的な知識、ノウハウに頼る部分が多いということです。その分、高いパフォーマンスが見込めるわけですが、その知識とノウハウを属人的なものに留めていては、アウトソーシングすることが難しいばかりか、組織の力としても蓄積していきません。私たちは、そのような組織の暗黙知を、目に見える仕組みやマニュアルとしてまとめていくことのサポートもしています。そのような掘り下げたサポートをすることで、お客様と、目的とゴールを共有する半ば同志のようなパートナーシップを築くことを目指しています。

当社は創業以来、リピート率95%以上をいただいています。今後も独自のサービスを提供しながら、規模ではなく品質において「断トツNo.1」と言われる会社にしていきたいですね。

鈴木 隆史

Profile

1983年、栃木県生まれ。
2006年、上智大学ドイツ文学科卒業後、人材ベンチャー企業勤務、009年に通信系企業での人材事業部立ち上げを経て、2010年、高品質な採用支援サービスを提供する会社を創るため、株式会社HRアソシエを設立。設立来、リピート率95%以上、5年連続増収を記録中。

Contact

株式会社HRアソシエ

東京都品川区西五反田 1-11-1 アイオス五反田駅前10F
http://www.hr-a.jp/

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