上海で自分の力を試すチャンス

ベネフィット・ワン上海 (Benefit One Shanghai Inc.)

鈴木 梢一郎Shoichiro Suzuki

董事総経理

 目次

海外に行って勝負したい

当社は上海で企業の従業員向け福利厚生のアウトソーシングサービスを提供している会社です。中国は贈り物の国で、中秋節や国慶節など節目ごとに社員にプレゼントをする習慣があります。また多くの企業がインセンティブ制度にも力を入れています。国民が裕福になった今、月餅券やiPadの代わりにポイントを付与し、本人の好きな時に好みの商品やサービスと交換してもらいます。「ポイント制福利厚生」「選択制福利厚生」、アメリカでは「ポイントリワード」と呼ばれるものです。日本でも大企業を中心に導入していただいています。このサービスを中国で展開するために、2012年5月にベネフィット・ワン上海を立ち上げました。

私は1999年に、新卒でパソナに入社しました。大学時代はスキークラブに所属し毎年冬はずっと雪山。4年生の4月までスキーをしていました。教職を目指していたのでそのまま教育実習に行きましたが、今すぐやることじゃないと思い帰ってくると、同級生は就職活動が終わっていました。慌てて内定をもらったのが、パソナです。

パソナはベンチャー企業であり、自分を試せそうと思っていたのですが、入ってみるとすでにかなりの大企業でした。結局、社内ベンチャー第1号として創業したばかりの子会社であるベネフィット・ワンに縁をいただいて行かせてもらうことになりました。

当時はまだ社員30名程度。飛び込み営業をしてもテレアポをしても「要らない」「聞いたことがない」と言われてへこむ日々が続きました。でも、やがてバブル崩壊の余波で企業が保養所を閉め始め、それに代わる福利厚生制度として当社のサービスが売れるようになっていきます。その後、会社は急成長し、株式上場も経験することができました。

しかし、入社から8年目になると営業という仕事にも慣れ、海外に行きたいと思うようになったのです。英語で格好良く交渉するビジネスマンに憧れていました。そこでMBAの取得を計画しました。それから2年間は平日の夜と土日は勉強し続け、実際にロサンゼルスへ行って学校訪問もしました。ついにTOEFLやGMATの必要スコアもクリアし、あとは推薦状を必要枚数集めるだけとなったのですが、最後に社長のサインだけはもらえませんでした。社長としても、私が「この会社に必ず戻る、費用は自分で持つ」と言っても、それを聞き入れるのは難しい状況だったのです。実はその頃、ある会社の買収が進み、私は新事業部の責任者になることが濃厚だったからです。

結局、私は40、50代の課長たちを取りまとめながら、新しい事業部を立ち上げ、役員に就任しました。ある時社長から「北京の案件があるから行ってきてくれ」と頼まれます。当時の私は、海外と聞けば英語でビジネスというイメージで、喜んで出張しました。しかし、期待した内容とはだいぶ違う出張でした。この時の案件は中国進出を検討するもので、最終的に私自身が上海でスタートさせることになったのです。

2011年の終わり、私はトランク2つを持って1人で上海にやってきました。夜11時に空港に降り立ってタクシーに乗り、ホテルの名前を英語で書いたメモを渡したのですが、運転手にまったく違う場所に連れて行かれるという洗礼を受けました。右も左も分からない中でのスタートです。海外進出第1号なので、日本の誰も助けてはくれません。まずは、「上海 会社設立」でネット検索してコンサルタントを雇ったのを皮切りに、何人もの中国関係の弁護士、銀行、会計士などに会いました。そして今度は「上海オフィス賃貸」で検索して日系不動産業の連絡先を見つけ、コンサルタントの勧めどおり、浦東エリアで事務所を探しました。

こちらで最初に雇ったのはハンさんです。彼女は日本で大学院を出て、大手企業の人事部長もしていたという逸材。日系企業の立ち上げも2度経験している、とても心強いスタッフです。実は中国には、日本語・中国語バイリンガルで、日本の大学院卒、課長・部長職を経験している管理部人材がかなりいます。

オフィスを借りるまではお互いに自宅勤務とし、カフェで会って会社登記をどうするか、どこに銀行口座を開くか、営業担当をどうやって雇うかなどを決めました。その他にオフィスの壁紙を何色にするか、椅子をどれにするかといったことも2人で話し合いました。

また、オフィスが整う前から営業も開始しました。日本の親会社には数千社の既存クライアントがいます。上海の子会社や支社をご紹介くださいとお願いして、端から訪問しました。ところがこれは長続きせず、50件ほどで止まりました。日系企業の中国ビジネスの歴史は長く、多くの会社がすでに本社から独立して運営されています。そこが新興国とは違うところです。日本の会社の窓口である人事部からは「中国には紹介できるような知り合いがいません」と言われることが多々ありました。

Profile

1976年、東京都生まれ。
1999年早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社ベネフィット・ワンに入社。福利厚生アウトソーシングの営業マネージャーおよびコンテンツ開発マネージャーを経て、グルメ事業の事業部長としてM&Aと新規事業立ち上げを担当。その後、CRM事業の執行役員を経て、2012年ベネフィット・ワン上海の董事総経理に就任。
趣味・特技:スキー、マラソン、アイスホッケー(初心者ですが上海で始めました)、レストランめぐり(上海のレパートリーは相当増えました)

Contact

ベネフィット・ワン上海 (Benefit One Shanghai Inc.)

上海市浦東新区陸家嘴環路1000号恒生銀行大厦15楼
http://www.benefit-one.com.cn