女性たちのキャリアに

寄り添う「伴走者」として

エールとアドバイスを送る

 キャリアカウンセラー  河野 志織

河野 志織Shiori Kono

キャリアカウンセラー

2017.05.02

「キャリアの棚卸し」が
誰にでも必要となる時代
営業・マネジメントの現場で
長年培った経験を活かし、
即効性のある課題解決策を提案

ただ聴いて共感するだけでなく、即効性のあるアドバイスを

定期的に健康診断を受けるのは一般的。ホームドクターを抱えている人もいるだろう。欧米ではそれと同じ感覚で、キャリアについて定期的にキャリアカウンセラーに相談するビジネスパーソンも多い。健康維持のために身体を定期的にチェックするのと同じように、自身のキャリアをベストな状態に保ち、さらに向上させていけるよう、今の仕事やスキルを確認し、必要に応じて改善や軌道修正を行うのだ。

一方、日本では、就職・転職に臨む際に人材紹介会社などのキャリアカウンセラーと面談する人は多いが、差し迫った状態ではないタイミングでキャリアの見直しをしている人はごく一部だろう。

キャリアカウンセラー・河野志織は、「日本にもキャリアカウンセリングを根付かせたい」と語る。

「会社の人や友人、家族には相談できないキャリアの悩みって、ありますよね。一人で悩むのではなく、気軽に相談し、定期的にキャリアの棚卸しを一緒にできる相手がいると、心強いと思うのです。私は客観的視点を持つ第三者として、長い目でキャリアに伴走できる存在になりたい。そして相談者が自分一人では考えつかないような方向性や選択肢を見つけるお手伝いをしたいんです」

河野のキャリアカウンセラーとしての強み。それは、リクルートで営業として、またマネジャーとして長年働いてきた経験をもとに、即効性のあるアドバイスができることだ。

キャリアカウンセラーの基本姿勢は「しっかり傾聴し、共感する」ということ。それに加え、河野にはもう1つ信条がある。それは相談にくる人の「何かしらの期待」に応えるということだ。相談者の期待するものをキャッチし、期待に応じた解決策、改善策を具体的に提示する。そんなカウンセラーでありたいという。

そんな河野のアドバイスが功を奏した事例は、いくつもある。

ベンチャー企業の管理職のAさんは、「事業を拡大したいが余裕がない」と悩んでいた。話を聞くと、部下に仕事を任せきれず、自分で抱え込んでいる現状が見えてきた。河野は「育たないから任せられないのではなく、任せないから育たないのでは?」と指摘。Aさんは部下に仕事を振ることを心がけるようになり、新規事業に着手できたという。

Bさんの場合は、人がうらやむような学歴・職歴を持ち、コミュニケーション能力に長け、かつ多趣味な人物でありながら、どこか自分に自信が持てずにいた。常に人との比較の中で自分の行動を決めており、自分の意志で何か成し遂げたという実感を持てていないことが原因だった。「自分の得意なことを、他人も巻き込んで楽しんでみては」という河野の提案に従い、Bさんは趣味の教室を開講。自分の意志で新しいチャレンジができたことで自信を持てた結果、仕事にも生き生きと向き合い、パフォーマンス向上につながった。

営業職のCさんは、仕事に手を抜けない完璧主義。連日深夜まで働き、プライベートの時間も持てずげっそりしていた。そこで、溜まっていたものを吐き出してもらったところ完全に業務過多であることが判明。業務一つひとつについて「それは本当に必要?その作業をやめたらどうなる?どの程度の影響がある?」と一緒に整理していくと、「必須」とはいえない作業に時間を割いている現状が浮き彫りになった。「では、それを捨ててみたら?気持ちに余裕を持って、輝いた表情でお客様に会うほうが、結果的に業績につながるのでは?」と提案。Cさんは業務を整理した結果、19時前には退社できるようになり、習い事を楽しむ時間が作れるようになったという。

「キャリアを考えることは、仕事だけではなく学びや趣味、家族との時間なども含め、人生そのものを豊かにしていくこと。定期的にクライアントと会ってお話をし、変化や成長が見られる瞬間に喜びとやりがいを感じます」

キャリアカウンセラー 河野志織

営業として実績を挙げるが、「教師」を志す

河野は幼い頃からスポーツに親しみ、中・高・大と軟式テニス部で鍛えられた、根っからの体育会系だ。就職先としてリクルートを選んだのも、「体育会で鍛えたガッツを活かせそう」という理由だった。

自ら希望し、配属されたのは『ガテン』事業部。建築・ドライバー・調理師・メカニックなど、いわゆる「技能職」「現業職」の求人情報誌の広告営業だ。

「現業職はきついというイメージが強く、どの企業も採用に苦戦していました。でも日本のものづくりを支えているのは職人なんです。だからこそ職人を育てたい。そのための人材の採用のお手伝いをしたい。そのことに社会的意義を強く感じていたんです」

汗だくになりながら1日50~70件もの飛び込み営業をしていた河野に、『大変だね。今は人は不足していなけれども君のために求人広告出すよ』と言ってくれたり、『頑張れよ、新人!』と鰻をごちそうしてくれたりする社長もいた。仕事の厳しさを叩きこまれた一方、職人さんたちの心意気や人情に支えられた。「働く」ということの基盤を植え付けていただいた、と当時を振り返る。

入社当初から体育会系のガッツと根性で、営業目標を外したことはなかった。

一方で多くの社長や職人たちと接するうちに、「人の職業観」に関心を抱くようになった。世の中にはたくさんの仕事がある。人は「どんな職業を選ぶか」について、もっと早い段階から考え始めてもいいのではないか――そんなふうに考えるようになったのだ。

そのとき、河野の頭に「教師」になるという思いが沸き上がった。教師として、早期から働く意識や職業観を醸成したい。まだキャリア教育がそれほど注目されていなかった時代に、河野はキャリア育成に関心をもったのだ。

本格的に教師を目指すため、リクルートを退社。ところが、教員採用試験を受けるものの、不合格に終わる。1年後の採用試験に再挑戦するか、それとも再就職するか。悩んだ結果、リクルートスタッフィングという人材派遣会社に再就職する道を選んだ。志をまっとうせずに方向転換することに抵抗感も覚えた。だが今思えば、それが河野の1つのキャリアの転機だったという。

そこでの仕事は、人材を必要とする企業と就業を希望する派遣スタッフをマッチングし、就業中のスタッフをフォローすること。定期的に派遣スタッフと面談し、就業状況や困りごとを聞き出して解決策を講じた。

スタッフの中には悩みや不満を抱えていても、派遣先の職場の人たちには正直な気持ちを伝えられない人がいる。河野はそんなスタッフの気持ちを聞き、生き生きと働けるようサポートすることにやりがいを感じるようになった。「もっときちんと話を聴いてアドバイスや解決ができる人になりたい」。そんな想いからキャリアカウンセラーと産業カウンセラーの資格を取得。結局そのまま22年間、リクルートスタッフィングに勤務した。

キャリアカウンセラー 河野志織

Profile

立教大学卒業後、1993年、株式会社リクルート入社。技能職・現業職の求人広告営業を行う。1995年から株式会社リクルートスタッフィングにて法人営業に携わった後、営業マネジャー、営業部長として組織運営を行う。

その間に国家資格である2級キャリア・コンサルティング技能士、産業カウンセラーの資格を取得。本業の傍ら「一般社団法人 営業部女子課の会」の理事としてコミュニティ運営にも参加し、営業女子に対してのカウンセリングに従事。

2017年4月にキャリアカウンセラーとして独立。フリーで20代~40代の女性をメインとしたキャリアアップ支援や管理職向けのカウンセリングを実施。その他、株式会社エスキャリアにてカウンセリング事業の企画推進、またリーダー職向け「営業部BOSS課」の運営にも従事するなど幅広く活動を展開している。

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