IoTやブロックチェーン技術を活用し
これまでにない運送システムを構築する

ハコブ株式会社

上田 慎也Shinya Ueda

取締役/事業開発部部長

次世代運送業界のプラットフォーマーになる

「この会社に入れば、何かおもしろいことができそうだ」

そう予感して、2018年6月にハコブ株式会社に入社したのは、取締役を務める上田慎也だ。同社の主力事業の一つである新規宅配事業を「おもしろい」と感じており、その責任者も兼任する。宅配事業は、佐川急便やヤマト運輸といった大手が寡占しているが、自社だけでは配送が難しく、ハコブのような下請会社が多数存在。元請けと下請けという明確なヒエラルキーがあり、現在の物流システムは大手が何十年もかけて築き上げてきたもの。このような関係性や仕組みを打ち破るべく、上田が注目するのはテクノロジーである。

「IoTならびにブロックチェーン技術を活用した新たなプラットフォームを構築し、大手運送会社さんも含め、運送に携わる全ての企業が当社のプラットフォームを利用する体制を目指しています。具体的には、不在配達の根絶です。たとえば、家にあるセンサーを活用すれば、いま家に人がいるのかどうかが分かります。センサーではなく、本人に書き込んでもらうネットカレンダーのようなものでも構いませんし、スマホの位置情報でも可能です。いずれにせよ、アナログ的であった現在の配送モデルをテクノロジーの力で解決することで、次世代運送業界のプラットフォーマーになりたいと考えています」

上田は、入社面接で代表取締役の藤田に会った際にさまざまなアイデアを聞き、そして「一緒に実現しないか」と誘われた。ネームバリューのある大企業に就職することも選択肢にあったが、その言葉が心に刺さりハコブへの入社を決めたのだ。

「突拍子もないアイデアだと思った一方で、自分でやってみたいとも感じ、『やらせてください!』と。同事業の責任者に抜擢され、ゼロから形にしていきました。仕事のスピードが早いので成長を感じています。不在配達がなくなるのは、宅配業者とユーザー両方にとって喜ばしいことなので、テクノロジーを駆使して実現させたいですね」

中学生の頃は、バスケットボールに熱中していたという上田。10もの高校からスカウトが来るほどの実力者で、その中には全国大会出場常連の名門校もあったが、上田が選んだのはナンバー2の高校。万年2番手の学校がトップを打ち破る、そんなストーリーがかっこいいと考えての選択だったが、そのストーリーは実現しなかった。

バスケットボールからは離れ、飛行機関連の専門学校を経て空港で働くことに。給与も待遇も文句なしの環境になったが、バスケットボールで鍛えられた上田には、物足りず。アグレッシブな環境に身を置きたいと、選んだのは佐川急便。別の運送会社にも勤め、その後ハコブで働き始めたのだが、それは佐川急便時代の同僚がハコブで働いていたこと、そして妻がハコブのドライバーになったことが重なっている。

学生時代に果たせなかった下剋上を、ビジネスの世界でリベンジしようとしている上田。現在のミッションは、集荷・配送スピードをより一層高めると共に、ドライバーと本部の架け橋的な場ともなる支店づくりだ。今期中に50拠点の開所を掲げ、奔走している。

水を得た魚のように、意気揚々と働く上田。頑張る理由は、他にもあった。

「妻の実家が豊洲市場でマグロを扱っており、妻も以前飲食店を経営していたことがあるんです。今はハコブのドライバーですが、『いつかまたお店をやりたい』と言っています。その妻の夢を私がサポートしてあげたいな、と。出店資金はもちろんですが、もし店がうまくいかなかった場合でも『大丈夫、俺が稼ぐから』と胸を張って言えるように。そのためにも、今携わっている事業、ならびに会社をもっと大きくしたいと思っています」


インタビュー・編集/杉山忠義

撮影/田中振一