アジアなら、ベンチャー企業も一国の発展に寄与できる
株式会社インタースペース 代表取締役社長 河端 伸一郎

株式会社インタースペース

河端 伸一郎Shinichiro Kawabata

代表取締役社長

2015.04.23

とにかく始めようという思いにさせるアジアの熱気

私が大学生のときは所謂バブル景気の後半に差し掛かった頃でした。海外志向があった私は、現役で大学に合格した代わりにアメリカの大学に留学させてほしいと両親に伝え、アメリカの大学に1年だけ通いました。

当時は世界の中で日本は注目の的で、日本式経営がもてはやされ、大学のマーケティングの授業ではクラス唯一の日本人である私にも興味を持ってもらうことが多々ありました。一方で日本はバブルでお金が余っている時代ですから、日本人留学生には日本の大学に入れず親が大学卒の箔を付けるために無理やりアメリカの大学に通わせているケースもありました。一方で当時まだ所得水準も今ほど高くなかった韓国や中国からの留学生は単に優秀なエリートであるだけでなく、国を背負って来ているという使命感を持った学生が多く、これはいずれ日本は抜かれるのではないかという危機感を覚えました。

その後私は社会人になり、20代最後の年に起業をしました。それはバブル崩壊後の日本の余りに他責的な、政治家や偉い人が何とかしてくれるといった考え方をどこかで変えなければならないという使命感と、閉塞した世の中をインターネットを使えば何か変えることができるのではないか?という希望を持っていたからです。

とはいえ、起業した直後は自分たちの事業を成功させることで精いっぱい、会社設立後7年で東証マザーズに上場しましたが、まだまだやることはたくさんあり、海外で事業を展開するまでには相応の時間がかかりました。

私たちインタースペースは広告主とウェブサイトをマッチングする、成果報酬型ネット広告サービス(アフィリエイト)を主力事業とする会社です。営業マンによるソフト面でのサービスがカギを握る業種なので、その国の文化や慣習に根ざして活動している現地企業でなければ成り立たないのではないかと私自身は考えていたのです。

しかし、2012年に東南アジアを視察に訪ねたとき、そんな考え方は、簡単に吹き飛んでしまいました。「ビジネスをやるうえで、これほど面白い場所はない。とにかく始めよう」会社を創業した当時のワクワク感に近いものを感じました。とはいえもちろん面白そうということだけで始めようと思ったわけではありません。

というのも私は東南アジアでももっと現地のインターネット企業が成立しているのかと思っていたのですが、それが意外なほどに少なく、かつ弊社の主力事業であるアフィリエイトの事業を展開している会社が東南アジアにはほぼ存在していなかったのです。

一方で、東南アジアの国々でお会いしたのは20代で起業している若手経営者や日系ベンチャー企業の駐在員、ベンチャーキャピタリスト、投資家など、さまざまな世代や職業の人たちでしたが、驚いたことにみなが口々に、「これからのこの国のインターネットのビジネスは急成長します。やるなら今ですよ」と熱く語るのです。

もちろん中には、インフラの未整備などを理由に進出は慎重にすべきと冷静な意見を述べる人もいましたが、そんな評論家的な意見を圧倒してしまうような熱気が、どの国からも伝わってきました。

またそれと同時にそのときの視察では東南アジアでの日本のプレゼンスの低さを感じました。確かに街中は日本車が多く走っています。アニメが好きな人たちもいます。しかしながらモバイル端末ではiPhoneは別としてもそれ以外は韓国や台湾、中国のメーカーばかりで日本製は本当に少ししかない。かつて日本のアイドルが人気と言われていたものの現在は若い女の子はK―POPに憧れ、ファッションや音楽もその影響を強く受けている、それを日本人として非常に悔しく感じました。

何故そのようなことになっているのか?例えば韓国は1997年のアジア通貨危機で国が破綻寸前となり、IMFの支援を受ける屈辱的な状態になりました。その中で中途半端な規模の内需をあてにせず、注力分野を絞り世界で勝つことを国民が決意したのだと思います。一方でギリシャの経済危機では国が破綻状態にあるにもかかわらず国民に危機感はなく、もっと自分たちの生活を良くしてほしいと要求するばかりに見えます。今財政危機にある日本は一体どちらに近いのか。

もっとそれぞれが自立して世界に出て戦わないと近いうちに本当に日本が破綻してしまう時期が来る可能性が高いと思っています。

私たちビジネスマンがすべきことはできる限りそのようなことが起こらないように、新しい産業を興し、世界に挑戦することです。そうすればより多くの企業や人が外向きの考え方を持つようになると思います。私たちのような会社が国外に出て活躍することができればもっとそれに続こうとする人たちが出てきてくれるかもしれないと思っています。そのためにも私たちは成功事例になりたい。メジャーリーグだって野茂が活躍したあとは次々と日本人が活躍し始めたし、サッカーでもカズが海外に挑戦したあと、ヨーロッパのメジャークラブに移籍をする選手が飛躍的に増えました。

もし本当に国が破綻してしまうようなことが起こってしまった場合にも、新しいものを作れる人材、そして世界で戦える人材がどれほどそのときにいるかということが国にとっての最後の財産になるのではないかと思っています。

成長市場真っ只中のアジアで発展期に寄与する

今インターネット関連の企業の経営者が盛んにアジアを訪問しています。Facebookを見ていると毎日一体何人が行っているんだろうってくらいすごいですよね。非常に良いことだと思います。でも現地で実際に事業をしている人って本当に少ない。大半は視察で終わってしまっているか、現地の人件費が安いことを活用してオフショア開発をしている、要はマーケットとして見ていないケースがほとんどです。もちろんそれも現地に技術と雇用を提供しているので、けっして悪いわけではありませんがもっともっと多くの企業がアジアをマーケットとして進出してもいいんじゃないかって思います。

2050年には世界のGDPの50%以上がアジアになるのです。それを考えると長期的な成長を目指すのであればアジア各国に進出しないという選択肢はないわけです。

もちろん、「行ってすぐにビジネスになるかどうかはわからないし、そんな先のことは考えられないよ」という人も確かに多いとは思います。

私たちの会社もけっして成熟している会社ではありません。日本での成長が見込めなくなったから海外に進出しているわけじゃない。また当面の収益だけを考えたら国内だけでビジネスをしていたほうがよいかもしれません。

でも自分たちが今日本という恵まれた国で生きているのは、自分たちの両親や祖父母の世代が、戦後の焼け野原から立ち上がってまだ十分に体力がないうちから必死に頑張って世界に出ていった結果だと思うのです。それを自分たちの世代は食いつぶしつつある。そのままで良いわけないと思うのです。人口が減っていく日本の国内市場は長期的に見れば成長は難しい。ではどうすればよいのか?

アジアを一つの国家ぐらいに考えてビジネスを行えばよい。そう考えれば私たちは成長市場のど真ん中にいるわけです。

一方で海外で事業をするにあたって改めて考えさせられることがありました。それはその国の発展に寄与するということです。例えば当社が現在事業展開をしているインドネシアでは広告代理業について外資規制が行われています。

インドネシアの行政に私たちのビジネスモデルを説明したところ、広告業ではなく新しい分野の事業としてライセンスの許可が下りました。私はそのとき、海外で事業をするということの意義について考えさせられました。許可が下りたということは逆に言うと私たちの事業を「自国にはないノウハウであり、国の発展に貢献するものである」と認めてくれたことを意味するのだと感じました。

元々は自社の発展のために海外の国で事業展開を行うわけですが、一方でそのためにはその国の人びとに貢献をするものでなければならないということです。当たり前ですがその国には生活をする人びとがおり、その人たちの暮らしやビジネスの発展のために貢献をしなければなりません。その結果として我々が貢献した価値のぶんだけ収益を上げさせてもらうということなのだと思うのです。弊社も現在中国、インドネシア、タイと3ヵ国でビジネス展開をしているほか、ベトナムでのシステム開発を行っています。各国で弊社のアフィリエイト事業のノウハウを持った人材が使命感を持って現地のメンバーにそれを伝えていくのを見ているのは非常に心強く、かつ誇りに思います。

各国のメンバーも私たちの考え方やビジネスに共感してくれています。非常に熱心にかつ柔軟に私たちのノウハウを理解しようと試み、一方でその国の状況を的確に教えてくれており、非常に頼もしく思っています。このようなやりとりのうえに将来的にビジネスが成功し、その国にも貢献し、何よりも一緒に働く仲間が幸せを感じてくれるようであればうれしいですね。私たちの会社の理念は「Win―Winの輪を広げ明日の社会を担う企業に成長する」なのですから。

インタビュアーの目線

東南アジアでは、その概念すら認知されていないアフィリエイト事業を、日本で十数年かけて拡大させてきた実績やノウハウを総動員して普及させたいと語る河端社長。日本での事業立ち上げ期のワクワク感が蘇えるようで、東南アジア出張から戻ると表情が活き活きしていると社内でもっぱらの評判だとか。海外での第二創業、本当に楽しそうです。

書籍「海外で働こう 世界へ飛び出した日本のビジネスパーソン 」から掲載】


Profile

1970年千葉県生まれ。
1994年学習院大学経済学部卒業後、大和証券株式会社に入社。1999年に株式会社インタースペース設立、代表取締役社長に就任。成果報酬型インターネット広告であるアフィリエイト事業「アクセストレード」およびリアル店舗型アフィリエイト事業「ストアフロントアフィリエイト」などを展開。そのほかにもメディア・コンテンツ事業としてママ向けコミュニティーサイト「ママスタジアム」や恋愛ゲーム等の運営なども行っている。

Contact

株式会社インタースペース

東京本社
〒163-0808
東京都新宿区西新宿2-4-1 新宿NSビル8F
TEL : 03-5339-8680(大代表)
URL : http://www.interspace.ne.jp/

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アジア各国が急成長を続けるなか、元気がない日本。日本がアジアの代表国としての地位を復権するには、我々日本人、ひとりひとりが勇気をもって外に飛び出し、アジアを引っ張っるキーパーソンにならなければいけない。「わかってはいるけど、あと一歩踏み込めない」そういうビジネスパーソンは数多くいるのではないでしょうか。

成功を手繰り寄せるための失敗体験も含めた成功体験談。そういう「リアル成功体験」に数多く接することが、成功のイメージとなり、アブローダーズとして海外に飛び出す勇気になるはずです。実際にアブローダーズとして成功をおさめた25人のインタビューを通して、「挑戦した成功者は何を考え、どう意思決定を行い、海を渡ったのか」を分析することができます。

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