若いからこそ、これから花開く小さなものに気づく
株式会社パイプドビッツ 代表取締役社長CEO 佐谷 宣昭

株式会社パイプドビッツ

佐谷 宣昭Nobuaki Satani

代表取締役社長CEO

博士(人間環境学)

2015.03.19

自分が活動する場は、自分で作る

中学時代は野球に打ち込み楽しかったのですが、高校に入ると突然つまらなくなりました。ほぼ空白の3年間です。部活も入っておらず、そもそもあまり学校に行きませんでした。家にいたり、当時流行っていたビリヤード場に行ったりしていました。

大学は担任の先生の勧めで、九州大学工学部に進みました。専攻は建築学です。大学院に進み都市計画の研究をしていたのですが、民間企業の研究機関のほうが予算もあり最先端を行っていて、自分たちは遅れていると感じさせられることがよくありました。

ところが、学外で役所や民間の人たちと名刺交換すると、名刺にはメールアドレスがなく、メールって何?と聞かれることに驚きました。当時、学内でのインターネットの整備は外の世界よりずっと早く、大学院に進んでからはメールも当然のこととなっていました。どうやらインターネットに関しては、自分たちにアドバンテージがあるらしいと気づき始めます。

1999年12月、ようやく博士論文を提出しました。論文執筆中は、締め切りより先のことは何も考えておらず、年の瀬が迫りようやく来年4月以降に社会に出たらどうしようかと考えました。これまで取り組んできた建築や都市計画は、同級生や先輩たちが十分にやっており、自分がやらなければならない理由は見つかりませんでした。

いずれにせよ、もう就職活動をするには遅すぎる。自分が活動する場がないなら、自分で作ればいい。それなら、起業しようと思いました。

問題は、起業してどんなビジネスをするかです。

頭にあったのは、インターネットに関するアドバンテージです。同級生で比べても、学部を卒業して就職した友人たちは、大学でインターネットを知る機会のないまま社会に出た最後の世代でした。社会はどうやら、大学より遅れています。そして私は、大学に残ってインターネットを知った最先端の世代でした。このアドバンテージは活かせるのではないかと思いました。

もちろんすでにいろいろなインターネットビジネスが始まってはいましたが、それでもこの分野はまだまだこれからです。3月になってから、古本屋で「会社の作り方」というような本を安く買い、具体的に準備を始めると、院の仲間が、一緒にやろうと言ってくれました。また、来年卒業予定の後輩2人には、まだ登記も終わっておらず、社名も決まっていなかった3月の時点で、「うちの会社の内定を出す」と言い渡しておきました。

佐谷 宣昭

メインとすべきビジネスを探そう

インターネット関連で仕事をするなら、東京で会社を作るということも、起業を決めた流れで自然と決まりました。

4月に入ってすぐに、東京で会社を作ったものの、インターネットで何をするのか、具体的な部分は詰めていませんでした。

花見をしている時に知り合いの関係で連絡をもらい、最初の仕事が入りました。テレマーケティング会社のコンサルティングを頼まれたのです。コンサルティングはもちろん、ビジネスもしたことがないのに大丈夫だろうかと思いましたが、話を聞いてみるとアドバイスできる部分もあり、そのために必要なシステムを作る契約を交わしました。この時の3ヶ月契約がなかったら、起業早々に資金繰りは厳しくなったと思います。コンサルティングの月次報告は、今まで論文を書いてきたこともあり、あっという間に書けました。また、勝手に内定を出していた後輩のうちの1人が、HTMLが書けることもあり、早々と東京に出てきてホームページ制作に入っていました。

この時期は、いろんな仕事をしていたと思います。しかし、そろそろメインビジネスを決めなければなりません。自分たちのような弱小ベンチャーが成功でき、さらにそれが世の中の役に立つビジネスモデルとは何だろうと考え、これからはデータベースが肝となるという結論に至りました。データベースを核とした安全で安心なシステムを作れば、きっとビジネスになります。それに、安全なデータ管理ができるようになれば、それは人の役に立てるはずです。

こだわったのは、そのシステムをASP型、つまりクラウド型にすることでした。サーバー側で、バージョンアップなどの作業ができるものを作りたかったのです。例えば大学の研究室では、CADなどのバージョンアップのたびに、メンテナンス担当者が来ていました。ASP型ならユーザーごとにインストールやバージョンアップの作業をする必要がなく、保守に回る人間を確保しなくても勝負ができます。

ユーザー側でバージョンアップする場合、作業をしないユーザーも出てきます。安定したサービスを提供するためには、ASP型のモデルは譲れないと思いました。

7月には開発を始め、11月に完成しました。12月にはまだ機能の少ない状態でしたが、最初のお客様が利用を始めました。そして、1月にはリリースしました。そして、今でもこのシステムをメインに事業を展開しています。

このシステムが、15年目を迎えた情報資産プラットフォーム『スパイラル®』です。1社ごとに開発するオンプレミス型ではなく、クラウド型のサービスなので、ユーザーはコストを抑えながらいつでも最新版を利用できます。

クラウド型『スパイラル®』のようなシステムのアイディアは、私たちで考え出したわけではありません。すでにアメリカの論文などで指摘されていました。ただ、そこにコミットして形にしたことで、私たちのビジネスが始まったのです。

そして、私たちの「情報資産の銀行」というビジョンを支えています。


Profile

1972年愛媛県生まれ。
1995年九州大学工学部建築学科卒業。2000年九州大学大学院人間環境学研究科博士課程修了、博士(人間環境学)。同年4月に起業、社長就任。2006年12月東証マザーズ上場、2014年5月には東証一部へ市場変更。明日の豊かな情報生活に貢献したいとの思いから、「情報資産の銀行」の必要性を説く。顧客情報や製品情報、従業員情報など、現代社会で最も重要な資産の一つである「情報資産」を、インターネットを通じてお客様から安心・安全な環境で預かり、有効活用していただくサービスを展開。情報資産プラットフォーム『スパイラル®』を主軸として、官公庁や民間企業を中心に1万を超えるお客様へ提供するに至る。

Contact

株式会社パイプドビッツ

〒107-0052
東京都港区赤坂2-9-11 オリックス赤坂2丁目ビル(受付2F)
TEL:03-5575-6601(代表)
URL:http://www.pi-pe.co.jp/

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