国が変わると大きく変わる、求められるスキルの違い

ギークス株式会社 NexSeed Inc.

西山 七穂Nanaho Nishiyama

海外推進本部マーケティングマネージャー

海外で働く苦労とそれ以上の楽しさ

私は日本で生まれ育った純ジャパニーズですが、新卒から海外で働くキャリアを選びました。ただ、もともと海外で働くつもりだったわけではなく、むしろ遠い夢でした。

大学に入るまでは「良い大学に行くことが良いこと」だと思っていましたし、流れに任せて就職活動もひと通りしました。そんな中、幸運にも、世界一周に行く直前のネクシード代表に出会えたのです。他にもフリーランスで成功している方や、早期リタイアされ人生を楽しんでいる方、起業家の方など、聞いているだけでワクワクする人生を歩まれている人たちにお会いする機会に恵まれました。それまで限られた働き方しか知らなかった私には、「そんな生き方もありなんだ」と目からウロコの思いでした。

一方で、その時自分には何のスキルもないということを思い知らされました。「就職しても会社が潰れたら生きていけないかもしれない」という焦りと恐怖心は、今でも自分を突き動かすひとつの動機になっているんじゃないかと思います。漠然とした不安と、やり残したような気持ちを抱えながら、いよいよ社会人生活が始まるのかと思っていた時に、状況が一変しました。なんと、大学を卒業できなかったんです。

思いがけず3ヵ月、卒業が延びました。ただ、これが本当に自分にとってはラッキーだったと思います。これまで「今は時間がないからできない」「いつかできるだろう」と思っていたことをやってみる機会が訪れたのです。自分がワクワクすることは何かを考えた結果、「海外で働く経験がしたい」と思うようになったのです。

縁あって、サンフランシスコのウェブデザイン会社でインターンシップの機会をもらうことができました。まさか本当に海外で働く経験ができるとは思ってもいなかったので、決まった時は本当に嬉しかったです。私の場合、人から紹介していただいたことが選考に繫がったので、日々の出会いの大切さを実感するとともに、海外で働くきっかけは意外と身近なところにもあるんだと思いました。

その後サンフランシスコで働く予定でいたのですが、ビザが上手く行かず、帰国を余儀なくされました。日本でひとり働きながら、これからどうしようかなと思っていた時に代表の高原に再会、そして、それまで行ったこともなかったセブ島で、立ち上げに加わることになりました。人生分からないものだなとつくづく思います。

「海外で働く」という括りでは同じですが、アメリカでの経験とフィリピンでの経験は、あまりにも別物でした。気候や生活環境はもちろん、人、インフラ、求められるスキル、ぶちあたる課題、何もかもが違います。

「英語の必要性」という意味でも、面白い違いがありました。アメリカでインターンをしていた頃、私の一番大きな壁は常に英語でした。特にミーティングと電話。インターンもチームの一員であることに変わりなく、ミーティングの場で何も話さずにいると、いる意味がないと見なされてしまいます。電話はさらに苦痛で、相手の名前すら聞き取れず、「電話取りたくない病」になりました。もともと私は語学が好きで、4年くらい前からTOEICのスコアが900はあったのですが、英語で仕事をするのにスコアはまったく役に立たないことを思い知らされたのです。

一方、フィリピンに来てからは、英語に困ることは正直ほとんどありません。フィリピンにおいては、きれいな英語を話すことより、相手の言っていることを100%理解して、自分の言いたいことを100%伝えきることが大切だと思っています。フィリピン人は英語が上手とはいえ、あまり得意でない人もいます。ゆっくり話し、極力簡単な英語を使うことが、スムーズなコミュニケーションに繫がる場合も多々あります。

英語が、相手に信頼感を与えるレベルで必要なのか、単なるコミュニケーションツールとして使っているのか、位置づけによって求められるレベルは変わると思います。もちろん、アメリカでも他のスキルがあれば英語はそこまで重要視されないケースもありますし、国の違いだけでなく、職種によっても左右されると思います。

フィリピンで語学学校としての認可を受けるのには苦労しました。日本では信じられないことですが、公的機関が急にシステムを変更することがあります。役所に言われた通りの書類100枚以上を揃えて提出に行ったら、「先週からフォーマットが変わった」と、一からやり直しになったこともあります。祝日ですら、急に制定されたり変更されたりします。インフラは急速に整備が進んではいるものの、私が来た当初はインターネットがあまりにも遅くFacebookも開けないことが多々ありました。

また、フィリピン人スタッフとの距離感も当初なかなか掴めずにいました。

スタッフも私たちが何を考えているのか分からなくて不安だったでしょうし、私たちもどう接するべきか迷っていました。ある日、フィリピン人スタッフ皆を呼んで話をする機会を持ちました。本社のギークスについて、ネクシードという会社が目指す姿について、日本とフィリピンの文化の違いについて、スタッフ一人ひとりへの想いについて、彼らが疑問に思うことに対し、順番に話をしていったのです。

その時をきっかけにして、皆が心を開いてくれるようになり、チームとしてまとまってきたと思います。日本の当たり前はフィリピンの当たり前ではないし、フィリピンの当たり前は日本の当たり前でもない。何が違うのかを具体的に理解していくことで、先生たちは自主的に動けるようになってきました。今、私たちはとても仲が良く、チーム全体のことを「ネクシード・ファミリー」と呼んでいます。フィリピンの人は仲間意識が強く、家族をとても大切にします。チームのメンバーを家族のように感じて、誇りを持って働いてくれるようになって、私たちもとても嬉しく思っています。

私個人としては、今ネクシードのメンバーとして働きつつ、ライターとして活動したり、週末にはスラムの子どもたちに社交ダンスを教えるボランティアをしたりしています。こういった活動を、ギークス・ネクシードはむしろサポートしてくれるので、ありがたいなと思うばかりです。

これまでたくさんの人たちに気づきを与えてもらっていたので、これからは「こんな生き方ありなんだ」と発信していけるような生き方ができればいいなと思っています。

西山 七穂

インタビュアーの目線

我々の滞在先から取材場所の語学学校までの道筋をメールで丁寧に案内していただき、お目にかかる前から優しい気遣いが伝わってきた西山さん。聞けば東大法学部出身という超がつく才媛ながら、謙虚に、けれどもとても力強く、現在の取り組みと将来の夢を語ってくれました。西山さんのような方がいれば、留学に来る人たちも心強いことでしょう。

書籍「世界を動かすアブローダーズ ~ 日本を飛び出し、海外で活躍するビジネスパーソンたち 」から掲載】

Profile

1988年、香川県生まれ。
東京大学法学部を4年3ヵ月で卒業。サンフランシスコのクリエイティブエージェンシーbtraxにCEOアシスタント・プロジェクトマネージャーとして勤めた後、フィリピン・セブ島の語学学校「NexSeed(ネクシード)」に立ち上げから参画。海外で働く女性に焦点を当てるメディア「なでしこVoice」など、ウェブメディアへの寄稿やコンテンツ執筆も多数行っている。
大学時代から社交ダンスをしていた関係で、ダンス雑誌「ダンスファン」にも寄稿。休日は、セブのNPO「セブンスピリット」にて、スラムの子どもたちに社交ダンスを教えている。

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