「顧客満足」ではなく「顧客感動」を目指す
株式会社エイム・ソフト 代表取締役 溝口 実

株式会社エイム・ソフト

溝口 実Minoru Mizoguchi

代表取締役

2015.10.06

仕事はパソコン上にあるのではない

現在、当社の仕事は大きく二つあります。一つはシステムインテグレート事業部で、銀行・証券・生損保など主に金融系の基幹系システムに特化した開発を行っています。開発といっても幅広いですが、主にパッケージ導入や、その導入支援、また近年力を入れているのは、「スクラッチ開発」と言われるオーダーメイドの受託システム開発です。つまり、パッケージ製品をカスタマイズするのではなく、お客様の業務に即したシステムを一から完全にオーダーメイド開発するわけです。

もう一つは、情報セキュリティコンサルティング事業部。これは当社のベンチャー制度により、社員から声が上がって始めた事業です。近年、個人情報の漏洩が社会問題になっており、情報セキュリティの高度化が課題となっています。そこで当社では、プライバシーマークや、ISO27001という情報セキュリティ規格を導入するお手伝いをしています。

具体的には、お客様の業務に合わせて、個人情報をどう管理するのか、何年経ったら破棄するのかなど、個人情報に該当するものすべての取扱いの規定を作ったり、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)とお客様の間に入って、プライバシーマークの取得までを行うコンサルティング業務です。

この二つの業務領域を構築することにより、大きなシナジーをもたらし現在まで多くのお客様にご評価をいただいております。

金融系のシステム開発をする上で、情報セキュリティ分野においてもプロであることはお客様にとって非常に大きな安心感となりますので、両輪がうまく回っている状態です。

しかし、ここまでくるにはやはり多くの苦労がありました。2005年に3人で設立したのですが、できたてのベンチャー企業と直接取引はできないという会社が多かったのです。仕方なく下請けという形式で仕事を受注しましたが、当然マージンを取られます。本来の受注金額を知っていましたので、ずいぶん悔しい思いをしました。

2008年のリーマン・ショックも打撃でした。ようやく直接仕事をもらえそうなところに金融危機が発生。その仕事を見込んで技術者を採用していたので、かなりのピンチに陥りました。そこで、とにかく仕事は選ばない、妙なプライドは捨てるという方針に転換。安価で納期が短い仕事もたくさん引き受けましたが、団結力は強かったため「逆にこれチャンスだよ」などと、皆で励まし合って乗り切りました。

そんな経験から生まれた仕事のスタイルが一つあります。それは「顧客感動」という考え方です。「顧客満足」はよく言われますが、当社では「感動」を目指しています。

それでは、「満足」と「感動」の違いはどこにあるのでしょうか。

たとえば、どこかのお店で昼食を食べたとします。それなりにおいしくてお腹が満たされれば「満足」はするでしょう。しかし、翌日は「昨日もここで食べたから、別のお店にしよう」となることがほとんどだと思います。それを止めるには、やはり「感動」レベルのサービスをするしかありません。お客様にもし感動を与えられたならば、翌日も来店してくれる可能性は高まります。

それを当社に置きかえると、開発するシステムに必ず付加価値をつけるということです。もちろん、お客様が要求していない機能もつけなさいという話ではありません。たとえば、年配の社員が多い部署に対しては、入力画面のサイズを少し大きめにするといった些細なことです。使うお客様目線になって開発する、そういう小さな積み重ねが大切なのです。

また、お客様との密着も徹底させています。個人的には「密着革命」などと呼んでいますが、とにかくお客様と密着していると、「何にお困りなのか」、お客様が求めているものは何か、欲しがっていることが明確になります。

ただ作って、納品してというレベルの仕事では、他社からいいパッケージが出たらお客様が流れてしまいます。売っているのはシステム開発という技術ですが、それを作るのも、使うのも「人」であるということ。本当の仕事は、パソコン上にあるのではないということ。これはどんな仕事にも言えることだと思います。

ベンチャーだから挑戦できる

私はエイム・ソフトを立ち上げる前はIT系のベンチャーにいました。まだインターネットもそんなに普及していない頃です。システム開発という言葉に惹かれて就職しました。

社員十数名の規模だったので、なんでも任されます。仕事は本当に面白く、私も貪欲に「営業に行かせてください」、「開発もやらせてください」とどんどん挑戦させてもらいました。しかし、パソコンが高価で買うことができなかったため、土日に会社のパソコンを借り、一から必死でシステム開発の勉強をしました。「お前がやりたいと手を挙げたんだから、絶対に途中で逃げるな」と、社長も休日返上で指導してくれました。

当時はメガバンクが使うような大規模システムを開発しようという時、最先端の技術を使える熟練の技術者がほとんどいませんでした。多くの会社の技術者を寄せ集めて開発をしていたのですが、難航を極める現場にいた私は、もっと技術者を養成しないといけないという思いを強くしていました。そして、30歳になる前に自分で勝負をしようと考え、独立したのが27歳の時です。社長は「志があれば絶対に失敗しないよ」と送り出してくれました。

チャンスがあれば何でもやる、これは勇気も体力もいることですが、そもそもチャレンジしなければ、自分も会社も成長しません。特に20代のうちは失敗しても何度でもやり直しがききますから、怖がる必要はまったくありません。チャレンジしていれば、自分が「これだ!」と思うものもきっと見つかります。

ただ、ベンチャーで働けば社長になるための近道かというと、一概にそうとも言えません。たしかにベンチャー企業ならば、社長に近い位置で仕事ができたり、私が経験したように、いろいろな経験が掴めるかもしれません。

しかし、結局は大企業と同じで、自分の心がけ次第です。「社長になりたい」という心意気は買いますが、やはり仕事で結果を出したり、積極的に学んだりできない人間は、どんなに小さな会社でも経営していくのは難しいと思います。とにかくどんな場所にいたとしても、何でも経験して見聞を広げてほしいと思います。

溝口 実

Profile

1976年、東京都生まれ。元システムエンジニア。過去に大手メガバンクのシステム統合のプロジェクトに参画し、システム開発を数多く経験。 その後、大手SI企業の営業職を経て、2005年エイム・ソフトを設立。現在に至るまで、経営に携わる傍ら、多くの企業経営者に対して、個人情報保護、プライバシーマークの普及に努めてきた。

Contact

株式会社エイム・ソフト

東京都新宿区新宿2-19-1 ビッグス新宿ビル8階
http://www.aim-soft.co.jp/

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