就業規則が社長の想いを伝える

田井中労務行政事務所 代表 田井中 道江

田井中 道江Michie Tainaka

田井中労務行政事務所

代表

社会保険労務士

2015.04.26

就業規則は会社の憲法

就業規則とは、労働者が就業する上で遵守すべき規律及び労働条件に関する具体的な細目について労働基準法に基づいて定められた規則のことを言います。

労働基準法の規定により、法人事務所、個人事務所を問わず常時「10人以上の労働者」を使用する使用者は就業規則を作成し、所轄労働基準監督所への届け出が義務づけられています。ここで言う10人とは、正社員のみでなくパートやアルバイトも含んだ人数なので、現状で相当数の会社が該当することになります。また、労働者が10人未満でも就業規則を作成することが望ましいとされています。

就業規則は、会社のルールブックもしくは憲法とも言えます。

就業規則の問題点

就業規則には3つの問題点があります。以下、その問題点について見ていきます。

①就業規則を作っていない

就業規則がないと、法令や慣例、常識など以外には、職場にルールが無いのと同じ状態と言えます。就業規則を作らなければ、会社で発生する様々なトラブルに対しても、場あたり的に解決しなくてはいけません。

労使間でトラブルになりやすいものとして、退職のルールや退職金の定め、休憩・休日や残業代、賃金、懲戒などがありますが、これらについて労使間でトラブルが発生し裁判となった場合に、就業規則でルールが明確に定められていなければ、使用者側が負ける場合が殆どです。

更に、インターネットが発達している現在、従業員の知識が高度化しており、労働条件などに不満を抱く従業員の駆け込み寺が増加していますので、しっかりとした就業規則を整備しておかないと、モンスター社員のような人が出てくるかもしれません。

また、良い従業員に会社に残って貰いたいのなら、良い就業規則が必要なのです。

②就業規則の内容に不備がある、もしくは会社にマッチしていない

経営者の方の中には、「就業規則は昔に作ってあるので大丈夫」と言う人もいます。しかし、その就業規則の内容が、必ずしも現在の会社の内容にマッチしていないという可能性もあります。

法律の改正や運用状況の不具合によって修正したほうがいい場合もありますし、会社の規模や業態が変わったことにより、過去に設定している内容だけでは足りないものがあったり、過度な設定内容になっている場合もあります。

例えば「休職期間」についてですが、休職期間とは病気やケガなど労働者の個人的な事情により、在籍扱いのまま労働義務を免除する期間のことを言い、法律上は設けなくても良いものです。しかし、古い企業などで、休職期間が長期間のままになっているところを多く見受けます。これらはそもそも、重い病気を想定して作られたもので、例えば、勤続5年を超える社員の場合に休職期間は1年半まで取れる、という内容のものが以前は一般的でした。

しかしこの規定の設定当初は、うつ病などの心の病を想定していませんでした。現代病とも言われるうつ病は、近年発症者が非常に増えて、そのために休職する人が増加しています。そのため、こうした疾患による治療期間を想定して、休職期間を数か月間に短縮するなど規定の内容を今一度見直して、時代にマッチしたものに調整する必要があります。

③就業規則が正しく運用されていない

また、就業規則があり且つそれが問題の無い内容でも、正しく運用をされていないと、せっかくの就業規則も宝の持ち腐れです。有給休暇の運用方法によっては当日欠勤を減らすこともできますし、退職金規程の定め方によっては退職者がきちんと引き継ぎをしてから辞めるようにすることもできます。就業規則はただ作成すれば良いわけではなく、どのように運用していくかについて考えることもとても大事です。

田井中 道江

インタビュアーの目線

田井中さんとは、当事務所に顧問を依頼されている知人経営者の紹介で知り合ったのですが、面倒見の良さは初めてお目にかかったときから伝わってきました。またご自身も京セラの創業者である稲盛和夫氏主宰の盛和塾で学ばれており、同じ経営者目線で相談にのっていただける点も大きな強みだと思います。

書籍「小さな会社のための「お金の参考書」 」から掲載】


Profile

大分県出身。
中央大法学部在学中に、宅地建物取引主任者試験、行政書士試験に合格。卒業後はAFP試験、社会保険労務士試験に合格。司法書士事務所・大手不動産販売会社勤務を経て、2003年に事務所を開所。2008年に特定社会保険労務士試験合格。現在、大阪を中心に社会保険労務士業を展開。

「会社も働く人も共に幸せになるお手伝い」をモットーにお客様本位の労務を提案している。人間関係を更により良くするために最近心理学も学んでいる。趣味は旅行。47都道府県全て制覇。

Contact

田井中労務行政事務所

〒541-0048
大阪府大阪市中央区瓦町 4-3-14 御堂アーバンライフ504
tel. 06-6202-0365 fax. 06-7504-6802
e-mail nqe44857@nifty.com
URL http://www.tainakaroumu.com/

関連書籍のご案内

書籍
「小さな会社のための「お金の参考書」」

ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士・保険コンサルタント。専門家20人のコンサルティングを3時間で学べる経営のヒント。

ご購入はこちら

週間アクセスランキング