アジアのソーシャルメディアは垂直成長
株式会社ブレイク・フィールド社 代表取締役社長 井田 正幸

株式会社ブレイク・フィールド社

井田 正幸Masayuki Ida

代表取締役社長

2015.06.09

Facebook人口3000万!

当社の日本での事業は大きく分けてふたつあります。

ひとつは比較サイト事業で、マネー系と通販系と、ジャンルを絞っているため業界では大手です。この自社メディアの集客のために、年間約20億円を投じてインターネット広告を出しています。そうやってメディア価値を上げ、お客様に販売しているのです。

日本国内で約20億円分のインターネット広告を出すと、かなりの出稿量です。どこにどう広告を出せばどのような結果が出るのか、といったデータが集まります。新しいメディアが出てきた時もすぐに試すので、ノウハウは常に最新の状態です。

ふたつ目はデジタルの広告代理店事業で、自社の出稿データを活用し、「これは私たちがやって良かったですよ」「これは痛い目を見ます」など、お客様に具体的なご提案をします。世の中に広告代理店はたくさん存在しますが、自らこの規模の出稿をしているところはあまりありません。仮説ではなく実際の経験に基づいたご提案は、当社の特徴です。

この2つの事業の他に2013年から手がけているのが、海外ビジネスです。

当社が運営しているベトナム語のFacebookメディア「PREMIUM JAPAN」は若者が格好いいと思える日本をテーマに発信していて、ファン数が25万を超えました。なお同様のFacebookメディアで、タイ語版は4万5千人、開始して間もないインドネシア語版でもすでに5000人のファンを得ています。

こうした経験をもとにして、ベトナムおよびタイ、インドネシアのソーシャルメディア、特にFacebookの運用代行ビジネスを提供中です。Facebookだけでも日本では年間数億円分の広告出稿があり、そのノウハウを活かしています。

例えばメーカーさんが東南アジアに進出した時に、ソーシャルメディアをどう使えば勝てるのか。売上との相関関係も含めて、私たちもリスクを持って模索しています。シリコンバレーにも情報収集拠点を置いているので、最先端のものを日本にも東南アジアにも提供可能です。将来的には私たちで新しいサービスを生み出したいという思いもあります。

また、トータル25万人のFacebookファンを活かして、ベトナムでインターネット調査サービスも開始しました。こうしたニッチ市場の中で、ナンバーワンを目指しています。

最初は「成長市場でやってみたい」という思いからアジア各地を回っていました。比較すると、経済的にはタイ、シンガポール、マレーシアが進んでいます。ベトナムは東南アジア全体で見るとちょうど中間くらいの発展段階です。しかし現在、日本の消費財メーカーがかなり進出を加速していて、人口も多い。最初に進出するのにベストな条件が揃っていました。そして最後の決め手は、こうした理屈を超えてフィーリングとして「この国なら合う」と思ったことです。

ベトナム事業を始めた最初の1年間は、私と執行役員の2人が交代で月に1週間ぐらいずつベトナムに出張していました。当社は100%自己資本のベンチャー企業ですので、いきなり箱を作らず、小さく産んで大きく育てることを本分としています。

最初にベトナムを訪れた時、まだFacebookが解禁される前だったこともあり、紙媒体で「PREMIUM JAPAN」を制作しました。美しい日本の写真を使用した広告特集ページで、国内2大新聞のひとつ「THANH NIÊN」に同梱をさせてもらったり、スポンサーとして航空会社など現地の日系企業に協力していただきました。

この大手新聞の発行部数は46万部ですが、その後、Facebookがベトナムで解禁されると1年ほどで利用者が2000万人を超え、現在は3000万人までになりました。これには急激なスマホの普及が関わっています。ベトナムではもはやエンタメも情報も買い物の一部も、多くがスマートフォンに集約されつつあり、異次元のような伸び方です。

ベトナムだけでなく急成長する東南アジア市場において、私たちは最先端のデジタルマーケティングのノウハウを提供できる企業になっていきたいと考えています。

まず最初に現地スタッフの幸せから

私は大学卒業後、新卒でIT系専門のベンチャーキャピタルに就職しました。仕事は楽しかったのですが、起業したことのない自分や上司の言葉をクライアントに伝えていると、野球をやったことがない野球評論家が野球を教えているようで違和感がありました。

「この仕事をするなら1回起業すべきだろう」と考えて、入社3年目で退職。シリコンバレーが見たくて渡米し、ビジネスインキュベーション施設に入ってインターンを経験しました。

1年後に帰国してからは、手当たり次第にいろいろな仕事をしました。自らインキュベーターになろうとしましたが、支援する側に立つのは時期尚早でうまくいきませんでした。その後、アメリカでのインターン経験を活かし、在日外国人の人材紹介を試みましたが、そもそも人材業の経験がなく収益には繫がりませんでした。

そのうちに、ある会社から「ネット広告を出したいので、代理店をしてみないか?」と声をかけられました。これはご縁だと思い、周囲からは反対意見もありましたが、2000年5月起業しました。それが現在のブレイク・フィールド社です。

そして2014年12月、100%子会社のBreak Field Vietnam Co., Ltd.が正式にスタートしました。今後も引き続き自社メディアを運営しつつ、当社ならではの経験やノウハウを活かして、まずはベトナムに進出している日系企業のデジタルマーケティングの良きパートナーとなっていきたいと思います。

海外ビジネスを始めた時から、まるで当社を起業した時のようなワクワクした気持ちを味わっています。アジアを回っているうちに現地でチャレンジしている若手の起業家たちとたくさん出会って、彼らに触発されたせいもあるかもしれません。

実は彼らと話しているうちにあまりにも楽しくなり、自分たちの事業を始める前にドリームゲートさんと共同し、「起業するならベトナムで」という趣旨のツアー商品まで販売してしまいました。

今、若い方が起業するなら、日本でも海外でも変わらないでしょう。チャレンジする環境として、東南アジアはとても面白いと思います。しかし200万円持って行けば2000万円分の価値になるという状況も、もう長くは続きません。起業を考えている人は、積極的にどんどん海外に出て行ったらいいと思います。いろいろな可能性を秘めていますから、アイディアと行動力あるのみです。

ベトナム事業はパートナー企業と共に始めました。現地でオフィス通販事業を成功させている会社です。現地法人を申請した2014年9月から現地スタッフを雇ってパートナー企業内に常駐させています。東京の本社と現地をスカイプで常に繫ぎ、私と執行役員でマネジメントしてきました。

スタッフは日本に留学してMBAを取っている優秀な女性です。インテリのエリートかと思うと、日本では立ち食いそばで働いて稼いでいたというほどハングリー精神も持ち合わせています。彼女の存在は、東京の社員にとっても良い刺激となっています。

私たちはオフショア開発をしているわけではないので、彼女にも日本と同じ人事制度を適用しています。想像していたよりずっと優秀で、人事評価では東京のスタッフに引けを取りません。当社の規模であっても、このままいけば数年先には、ベトナム人管理職が生まれるのではないかと思うほどです。

ベトナムに出張した日本人スタッフは良い刺激を受けて帰ってきます。そして「ベトナムに駐在させてほしい」と希望する社員も出てきています。

確かに東南アジアの可能性に満ち溢れた空気には、触発されるものです。東南アジアなら、ある分野でナンバーワン企業になれる可能性がまだまだあると思います。

当社のベトナム法人が目指すところとしては、3つの段階があります。1段階目は、ベトナムのスタッフが幸せになってくれること。その次が、最先端のネットマーケティングを提供して、ベトナム経済に貢献すること。そして3段階目が、株主配当できるほど利益を出して日本の本社に還元することです。この順番については、社内のスタッフに繰り返して言っています。「人件費が安い」というところに真っ先に飛びついてしまうと、植民地扱いになってしまう。そこは勘違いしてはいけない部分です。

私たちはベトナムが好きで進出したのだから、まず自分たちのベトナムスタッフを幸せにして、ベトナムに貢献することが先決です。そのうえで利益を日本に還元する。そうすれば日本に対しても貢献できます。この順番が大切です。

ブレイク・フィールドとは、「新天地を切り開く」という意味です。海外ビジネスを加えてますます社名のとおり、開拓者として前進していきたいと思います。

井田 正幸

インタビュアーの目線

起業を目指してから渡米したり、インキュベーションや人材業にトライしたり、「新天地を切り開く」という意味の社名通りに、常に開拓者であり続けた井田さん。海外ビジネスという新たなフィールドに出会い、再び持ち前の柔軟な発想と行動に火がついたようで、まるで少年のように目をキラキラさせながら事業構想を語る姿が羨ましくもありました。

書籍「世界を動かすアブローダーズ ~ 日本を飛び出し、海外で活躍するビジネスパーソンたち 」から掲載】


Profile

1971年生まれ。
千葉県出身。多摩大学経営情報学部卒業後、ベンチャーキャピタルに入社。投資開発・投資審査を行う仕事に従事。退職後、シリコンバレーのインキュベーターでインターン。1998年IDAビジネスインキュベーターを開設し、個人事業主として独立。2000年にブレイク・フィールド社を設立し、代表取締役社長に就任。2014年BreakField Vietnamを設立し、会長に就任。

Contact

株式会社ブレイク・フィールド社

〒102-0082
東京都千代田区一番町7-1 一番町弘和ビル
03-3512-5251
http://www.breakfield.co.jp

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