日本を出たときこそ、日本人のアイデンティティーを忘れない
EMZ株式会社 代表取締役社長 EMZ税理士法人 代表社員 佐久間 将司

EMZ株式会社 代表取締役社長

佐久間 将司Masashi Sakuma

EMZ税理士法人 代表社員

公認会計士・税理士

2015.04.24

「会計事務所がそこまでやるか!?」

公認会計士と税理士の資格を持つ私が、EMZを設立したのは2009年のこと。ただしEMZは単なる会計事務所ではありません。スタッフの中には社会保険労務士の有資格者もおり、会計や税務だけでなく、労務、財務、登記までをワンストップでサポートできることを特徴としています。

EMZのもう一つの特徴が、海外での事業に注力していることです。昨今、企業の海外進出支援を事業内容の一つに掲げている会計事務所は増えてきてはいるものの、現地に拠点を構え、スタッフを採用しているところは、まだごくわずかではないでしょうか。そうした中、私たちは2012年12月、香港にEMZ ASIA HOLDINGSという子会社を立ち上げました。

香港事務所の役割は、中小企業のお客様が海外に進出する際に直面する障壁を少しでも取り払い、事業の進展をサポートすることです。

大企業であれば、海外展開をするにも豊富な資金力と人手があるため、十分なリサーチや準備を経て進出することができます。しかし中小企業の場合は、事務所や駐在員の住居の確保、現地のスタッフの採用といったところから、何もノウハウがないままに取り組まなくてはならないケースが少なくありません。日本であればたやすくできることも、海外では大きなハードルとなるのです。

海外に拠点を置くということは、日本とは言語も法律も商慣習も異なる場所でビジネスを始めるということです。ただでさえ大変な事業の立ち上げ時に、私たちにできることは、極力お手伝いしたい。こうしたサポートがより充実すれば、日本の中小企業はもっと海外に挑戦しやすくなると思うのです。

こうした考えから、香港事務所では会計業務以外の支援も積極的に行っています。例えば、「香港で事業を始めたいので、現地のパートナーを紹介してほしい」「事務所探しを手伝ってほしい」といった相談ごとにも臨機応変に対応可能です。

「会計事務所がそこまでやるか!?」と言われることもありますが、お客様の事業環境を支援するという意味では、パートナー紹介や事務所探しのお手伝いをすることと、会計業務に何ら違いはありません。せっかくお客様が私たちを頼って相談を持ちかけているのに、会計事務所という体裁にとらわれてお断りするような真似は、私にはできませんね。もちろん、このスタンスは、日本でも同じです。国内外を問わず、会計から財務、労務までワンストップでお客様にサービスを提供できるよう、努めています。

また香港事務所では、中小企業の海外進出支援のほかに、個人のお客様を対象に海外銀行口座や海外証券口座の開設、海外資産保全のサポートなども行っています。こうした個人を対象としたサポート業務も今後は増えてくることでしょう。

足場作りに力を注いだ数年間があって、今がある

香港事務所開設に際しては、現地で広告代理店を経営する日本人パートナーの協力を得て、同社の事務所の一角を間借りする形でスタートすることができました。パートナーは、香港で20年間以上広告業に携われてきた方で、現地に関するさまざまな情報やアドバイスは大変参考になります。

事務所には現在、日本人スタッフを一人常駐させています。ただし、当人は香港で会計業務を行う際に必要となるライセンスを持っていないので、決算・監査・申告については、信頼できる現地の会計事務所と提携して対応しています。

もちろん、いずれ業務が拡大してきたら、ライセンスを持った人材を採用して、すべて内製化するつもりです。今は私たちもまだ種まきの段階。本格的に事業を展開することになるのはこれからです。

海外に事務所を構えることについては、起業した2009年時点から考えていました。当時は、リーマンショック直後で日本の景気が冷え込んでいるときでした。けれども、景気が回復したとしても、日本のマーケットが縮小傾向にあること自体は変わりがありません。今後は中小企業の中にも、新たな活路を求めて海外に出ていくところが増えるはず。それならば、私たちも海外に出ることによって、お客様のためにお手伝いできることがもっとあると考えたのです。

海外で事業を手がける際には、ネットワーク作りが大切になります。海外に事務所を構えるならば、まずは香港かシンガポールと考えていた私は、頻繁に現地を訪れては、いろいろな方にお会いすることに徹しました。広告業をやっている日本人パートナーや提携している現地の会計事務所、現地採用スタッフも、そうしたご縁から出会ったのです。

海外に会社を設立すること自体は簡単です。難しいのは続けることです。「自分たちは海外で何がやりたいのか」「やりたいことを実現するためには、どこの国や都市が適しているか」といったことをしっかりと見極め、現地で信頼できるパートナーを見つけたうえで進出しないと、なかなかうまくいかないと思います。私も海外展開を考えるようになってからの数年間は、そうした足場作りに力を注いだわけです。

ちなみに候補に香港とシンガポールを選んだのは、どちらも金融都市と貿易都市という二つの機能を備えており、アジアの中では経済が成熟している都市だったからです。会計事務所に対するニーズもきっと高いはずだと考えました。二つの候補先から最終的に香港を選んだのは、進出している日系企業の数が圧倒的に多いことが決め手となりました。確かに近年はシンガポールに進出する企業が急増していますが、一方で撤退する企業が多いのも事実です。現地に根を下ろした企業に継続的にサービスを行うことができるという点から香港を選択したのです。

今後は香港の事務所を拡充するとともに、さらにほかの国や都市にも活動を広げていきたいと考えています。その際にも、自分たちの仕事を「会計業務」という狭い枠に留めるつもりはありません。

今、私の頭の中にあるのは、インドでサービスオフィスを開設することです。日系企業による東南アジアへの進出の動きが一段落したあとには、おそらくインドへの進出が本格化するはずです。しかしまだインドには、中小企業が少人数で事業を始めるときに適したオフィスがあまりありません。そこで日本語対応ができるスタッフが常駐するサービスオフィスを自分たちができないかと考えているわけです。もちろん、そこでも自分たちの本業である会計や税務の面でのサポートも行っていくつもりです。

佐久間 将司

Profile

1972年東京都生まれ。
1996年3月、慶應義塾大学卒業、監査法人トーマツに入社、監査業務に従事。1997年1月、東京共同会計事務所にて、証券化、デリバティブ商品のコンサルティングに従事。1999年5月、HSBC証券投資銀行部門、JPモルガン証券投資銀行本部にて、上場企業のM&A、資金調達、IR等に従事。2004年11月、フィールズ株式会社にて、M&A、グループ戦略、IR、資本政策等に執行役員として従事。2009年3月、EMZ(エムズ)株式会社代表取締役社長に就任後、EMZ(エムズ)税理士法人を設立。税務顧問、経理アウトソース、労務管理等のワンストップサービスを展開。2012年12月、EMZ ASIAHOLDINGS(香港)のManaging Directorに就任。海外法人設立・口座開設・進出支援・PBサービスを展開。

Contact

EMZ株式会社 代表取締役社長

〒105-0001
東京都港区虎ノ門2-7-10 虎ノ門ニューファッションビル2F
TEL : 03-6206-1388
URL : http://www.emzgroup.com/

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