海外への挑戦を助けるために自分たち自身がまず挑戦する
株式会社ベーシック 代表取締役 秋山 勝

株式会社ベーシック

秋山 勝Masaru Akiyama

代表取締役

2015.04.24

サイト運営会社が、シンガポールに讃岐うどん専門店!?

当社の主力事業は、引越しや留学、結婚情報サービスといった、さまざまなジャンルの比較サイトの運営です。そのほかには、スマートフォンアプリの開発やスマートフォンアクセサリー事業などを手がけています。

そんな私たちですが、2013年にシンガポールで現地法人「ジャパンフードカルチャー(JFC)」を設立し、讃岐うどん専門店をオープンさせました。

比較サイトの運営会社がシンガポールで、まったく畑違いのうどん店を始めたのは、もちろん理由があってのことです。

実は当社では、フランチャイズ(FC)本部と加盟希望者のマッチングを目的としたフランチャイズオーナー募集サイトを運営しており、今では類似サイトの中では、国内最大級となっています。

当然、クライアントであるFC本部の方々とは密接な関係にあるのですが、最近は、アジア進出に関する相談が頻繁に持ちかけられるようになっていました。相談の趣旨はおしなべて、「アジア展開を前提に、現地でFC店となる企業や人物を探している」というもの。しかし、残念ながら当社には、アジアでのFC展開に関する知見も、現地の人的ネットワークもなかったので、具体的なサポートをすることはできません。それでも、ご期待に添えない対応に終始しているうちに、「これでいいのだろうか」という気持ちになってきたのです。

成長著しいアジアに出たいと考えるFC本部も増えている中で、海外でのビジネスパートナーを見つける術がない中小企業については、門戸が閉ざされているも同然。それならば、日本国内でマッチングを生業としている私たちにこそ、閉ざされた門戸をこじ開ける使命がある。心は決まりました。

とはいえ、単純に英語のマッチングサイトを立ち上げただけで、日本のFC本部とアジアのFC加盟希望者たちのマッチングを傍観するようなことは、やりたくありませんでした。というのも、海外では現地法人の設立からパートナーとの交渉、店舗物件探し、人材採用、食材調達まで、すべてが日本と勝手が違います。各FC本部としては、アジア展開をしたくても、そのノウハウがないから、アジアに出られないわけで、サイトを立ち上げるだけでは根本的な問題解決にはなりません。

それなら自分たちが、直接アジアでFC店を経営してみてノウハウを習得し、成功体験を積むことで、中小企業のアジア進出を、当事者意識を持って支援できるのではないかと思ったのです。そこで、香川県高松の讃岐うどん店「たも屋」のフランチャイズ加盟店となり、まずはシンガポールに1号店を出店。さらに同社から、東南アジアにおけるエリアフランチャイザーの権利も取得し、現在ではシンガポールに直営2店、FC1店を展開しています。

スピード感が周りを本気にさせる

最初にFC展開をする場所としてシンガポールを選んだのは、シンガポールが「アジアのショーケース」といわれる場所だからです。シンガポールでヒットした商品やサービスは、ほかの東南アジアの国々でもヒットする確率が高く、シンガポールでFC運営のビジネスモデルを確立できれば、そのモデルを他国でも展開しやすいと考えたのです。

かくいう私は、シンガポールどころか、東南アジアへも行ったことがなかったので、とにかく1回行ってみようと、のちにJFCの責任者となる古閑と一緒に現地を訪問してみました。2012年7月のことです。

初めて見るシンガポールの街は、噂に違わず活気にあふれ、平日でも、夜中でも、たくさんの人でにぎわっています。日本食レストランが街中の至るところにあり、現地の人たちが日本に対して高い関心を抱いていることを実感しました。「じゃあ、ここシンガポールで、実際にFC店をやってみようか」ということになったのは、この初訪問のときでした。

また、数ある飲食業態の中でうどん店を選んだのは、シンガポールにはラーメン店はたくさんあっても、なぜかうどん専門店がなかったからです。これは意外でした。やはり、実際に街を歩いてみることが大切ですね。現地に駐在している日本人に相談すると、「確かにうどん店があったら、こっちの人は喜ぶと思うよ。特に自分で具を選んでのせて食べるセルフ式の讃岐うどんなんて、こっちの人はライブな感じが大好きだから、きっと人気が出るよ」と言ってくれます。「よし、うどんでいこう!」と即決です。

そして、日本に戻ってきた翌日からFC本部探しを開始。讃岐うどんの本場である香川県にあるうどん専門店に片っ端から電話をかけて、私たちの思いを話しました。また自分たちも直接香川県へ行って、美味しいうどん専門店を探して、食べ歩きもしました。そうした末に、うどんが美味しくて、なおかつ私たちのビジョンに共鳴してくれた「たも屋」とパートナーシップを結ぶことにしたのです。

すぐさまシンガポールに現地法人を設立。10月には1号店の物件が見つかりました。11月には、店長を任せられる飲食業経験者を採用。12月には設備面や食材の調達の目処が立ち、翌年1月には「たも屋」の研修、および店舗の設計施工を開始、そして3月に1号店がオープンしたのです。

初めてシンガポールを訪問した2012年7月から店舗オープンまで、この間わずか9ヵ月のことですから、かなりのスピードです。結果として、このスピード感が周囲を真剣にさせました。立ち上げを手伝ってくれていた周りの人たちは、猪突猛進に取り組む私たちの姿勢に「こいつら、本当にやる気だぞ」と共鳴し、本気になってプロジェクトにコミットしてくれるようになったのです。海外での事業展開となると、まず入念なリサーチから始めるのが順当のように思いますが、私には、むしろスピードだと思えてなりません。

秋山 勝

Profile

1972年東京都生まれ。
高校卒業後、商社での営業職、ITソリューション受託会社の物流センター立ち上げ、広告代理店での新規事業立ち上げ等を経て、2004年株式会社ベーシック設立。主力サービスのウェブマーケティングポータル「Ferret」は会員数20万人超。2012年8月にリリースしたスマートフォン用ゲームアプリ「マッチに火をつけろ」はシリーズ累計400万ダウンロードを突破。翌年2月にはスマートフォン用ケースブランド「phocase」を立ち上げるなど、インターネット業界にとどまることなく、成長市場にてユーザー視点かつスピーディーなサービス展開を行う。

Contact

株式会社ベーシック

〒102-0082
東京都千代田区一番町17-6 一番町MSビル1F
TEL : 03-3221-0311
URL : http://www.basicinc.jp/

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