精神障がい者の賃貸住宅入居をサポート空室を支援用賃貸住宅に転用し、社会復帰も促す

価値住宅株式会社 代表取締役 高橋 正典

高橋 正典Masanori Takahashi

価値住宅株式会社

代表取締役

2016.04.13

新たな需要を掘り起こし、空室問題の解消を図る

空室を解消しようとした場合、まず思いつくのが、部屋の抱える問題を解決するアプローチです。たとえば、家賃を下げたり、中古物件をリノベーションしたりといったことです。私も不動産コンサルティングをする立場から、そうした提案をすることもあります。

しかし、ある疑念をずっと抱いていました。この方法では、物件間で賃借人の移動が起こるだけで、全体的な空室自体はそれほど減らないのではないかと。人口が減少している現在の日本では、新たな需要を掘り起こさない限りは、今あるパイの奪い合いになってしまうわけです。

もちろん、古い物件をリフォームして、長く有効活用するのは非常に合理的なことで、推進すべきだと思います。しかし、日本全体の空室を確実に埋めていくためには、それと並行して、新たな需要を生み出す必要があります。

そこで当社は、障がい者が賃貸住宅を借りづらいという状況に目を向け、国策との整合性を考えました。2016年4月1日、新たな法律が施行されます。それが「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(通称「障害者差別解消法」)です。障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指すものですが、国が規定する障がい者とは、障害者基本法第2条で「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害があるものであって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう」とされています。この法律の目指すところは正しいといえます。しかしながら、これまでも障がい者に対するさまざまな施策が講じられてきましたが、決して現場のニーズと合致していたとは言い切れません。もっと民間レベルにおける対応を考えるべく、障がい者に対する専門的な知識を有する弁護士や社会保険労務士、そして成年後見制度を専門とした行政書士といった方々と連携し、社団法人を立ち上げることとしました。

入居困難が続く精神障がい者の賃貸住宅事情

なぜ、私たちが精神障がい者の賃貸住宅問題に取り組もうと考えたのかをご説明しましょう。賃貸住宅への入居について考えた場合、身体的な障がい者は、国の補助が機能しているため、精神障がい者に比べるとハードルは低めです。母子世帯についても、厳しい状況ではあるものの、支援介入している企業が意外に多くあります。しかし、精神障がい者へのフォローは、ほとんどないというのが現状です。

もともと当社は、社会保険労務士などの方々からの紹介で、精神障がいを患うお客さまの相談を受けてきました。「障がいがあるけど、家を購入できるか」「家を借りることはできるか」などの住まいに関する相談にのり、ケースバイケースで対応してきたのです。そして、空室が多くなる一方で、精神障がい者対策が取り残されている時代背景に鑑み、この2つの問題をつなぎ合わせる必要性があると考えました。


Profile

住宅の資産価値向上を目指し、維持管理にまで責任を持って取引を行う売買物件を専門としている不動産会社です。購入者(=バイヤー)側に立ったエージェントとして物件購入をサポートする「バイヤーズスタイル®」、そして建物一つひとつに付加価値を見出し売却を成功させる「売却の窓口®」の両事業を核とする、特に中古住宅の売買に精通したエージェント型不動産企業です。物件の維持管理状態や購入した際のリスクなどの情報も購入者側に正確に伝え、中古住宅に関する不安をすべて取り除いてから売買してもらうシステムをつくることで、全国の一戸建てや中古マンションなどの物件の空室解消にも貢献。そして、それらのノウハウを生かし、空室解消のための新たな試みとして、精神障がい者の賃貸物件入居サポートを開始します。

関連書籍のご案内

書籍
「空室が日本を救う!イノベーティブ企業22社からの提言」

日本社会が抱える課題の一つに空き家、空きビルなどがある。この課題解決に必要なのが発想の転換、アイデアである。人口が減少し、若者たちのワーキングスタイルが変わりつつある今、スペースの用途を単に住まいやオフィスに限定する従来型の発想では、本当の意味での課題解決には結びつかない。外国人や企業、シングルマザーなど入居困難者や介護、保育、クラウドソーシングなどといった用途で空きスペースを必要とする人が増えている現状を鑑み、自由な発想でスペースを活用していく事こそが解決の糸口となる。そして、こうした取り組みは空室問題の解決だけではなく、女性就労や子育て支援、医療、介護、インバウンドなど、一見空室とは関連性がないようにも思える様々な日本の課題を一括して解決する可能性を秘めている。そこで、本書では画期的な発想で空室問題の解決にあたる20社の実例や知見、ビジネスモデルを紹介する。

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