東京に残された最後の遊休地「屋上」に人が集まる場所を生み出す

UAO株式会社

伊藤 麻理Mari Ito

代表取締役

 目次

建物と自然を一体化した建築を目指す設計事務所

「UAO」は、建築とランドスケープ(「庭園」や「風景」を意味する英単語)の融合を目指し、建物を設計する建築設計事務所です。敷地や周辺環境などをよく観察して、課題を発見し、建物だけでなく、空間全体に何が必要であるかを常に意識しながら、設計することを方針としています。なかでも、緑との融合を積極的にしていきたいと考えています。なぜなら、そこにはコミュニケーションが生まれるからです。

私たちの代表的な作品に、2014年に竣工した公共施設「サイエンスヒルズこまつ」(石川県)があります。〝箱物〞などとよくいわれますが、確かに、従来の公共的な建物は、まさに「箱」といった面白みのないものがほとんどでした。しかし、私たちは、公共建築物も含め、建物とは愛される存在であるべきだという理念を持っています。「サイエンスヒルズこまつ」でも、建物という〝入れ物〞だけではなく、人が集まる公園のような〝場所〞をつくろうという案をコンペに提出し、採用されました。その場を公園にするには、どんな建物をつくればいいのかという順序で設計し、現在のような姿となったのです。

なぜ、公園にしたかったのか。それは、公園であれば、将来的に建物の利用目的が変わったとしても、人が集い、くつろげる場所として存在し続けられるからです。

Profile

2006年、アトリエインクとして設立後、一級建築士事務所Urban Architecture Office.合同会社を経て、現在の社名へ。2007年「 浄土宗正法寺本堂設計者選定競技 一等」、2008年「群馬県総合情報センター設計者選定競技 一等」などを受賞。同社が設計を手がけた「サイエンスヒルズこまつ」(2014年竣工)は、丘が連続するようなユニークなデザインと独創的なアイデアが話題を呼び、建築関連賞の最高峰「BCS賞」に選出されました。建築と風景の融合を目指す同社が注目するのは、都心の屋上。殺風景な屋上を、緑あふれる建築空間
として生まれ変わらせ、保育所や病院などの施設を誘致。人が集まる場を生み出すことによる、空室問題の解決策を提案しています。