中古マンションに外国人投資家を呼び込み賃貸のインバウンド化を促進する
株式会社ネクサス・ジャパン 代表取締役 澤田 学

株式会社ネクサス・ジャパン

澤田 学Manabu Sawada

代表取締役

2016.04.13

賃料を上げて空室を埋める逆転の発想

当社は、東京の高田馬場、早稲田、目白を中心とした地域の賃貸不動産仲介事業からスタートしました。現在は東京都内の賃貸物件管理事業、リノベーション事業も進めています。

築年数を経た古い物件の場合、空室が多いにもかかわらず、「積極的に入居者を募集しなくてもよい」というスタンスのオーナーは少なくありません。特に、私たちが拠点としている高田馬場、早稲田、目白のオーナーは、ご年配の方が多く、その傾向が強いのです。当社では、こうした空室をそのままにしているオーナーにリノベーションを提案し、その物件の仲介事業、管理受託まで合わせて行っています。

空室を埋めようとする場合、最初に考えつくのが家賃を下げるという方法です。しかし、マンション一棟を所有しているオーナーの場合、ひと部屋の家賃を下げるには、ほかのすべての部屋の家賃も下げる覚悟が必要になります。そのため、私たちは家賃を下げて貸すのではなく、リノベーションをして物件の価値を上げ、今よりも家賃を高く設定することを提案しています。この提案には、収益性の向上だけでなく、誤解を恐れずにいうと、入居者の属性を変え、以前よりも住民の〝質〞を向上させられるという利点があるのです。

私たちが管理している物件の中で一つ例をあげると、ある家賃4万円の物件の場合、入居者が退去するたびに、近隣の住民から苦情がきていました。なぜかというと、退去するタイミングで、共有のゴミ捨て場にカラーボックスや布団といった大きなゴミが無造作に捨てられていたからです。一方、家賃10万円の物件では、そういった苦情は、寄せられません。家賃を上げ、入居者の属性を変えることは、オーナーにとってもトラブルの予防につながるのです。私たちはそれをリノベーションで実現しています

リノベーションで家賃が 最高2万5000円アップ

リノベーションの実例を紹介しましょう。地下鉄成増駅徒歩5分、築年数38年、2DKの物件がありました。総戸数は15戸ですが、当社が管理に入ったときには、8戸が長期間空室のままになっていました。残り7戸の入居者は昔から住んでいる高齢の方々です。そのマンションでは、まず、ひと部屋をリノベーションして入居者を募集し、入居者が決まったら、さらにひと部屋をリノベーションして募集するという方法をとりました。最初のひと部屋で実際に家賃を上げて入居者が入ると、「他の部屋も同じようにやってほしい」というオーナーの承諾が得られるからです。結果的に、そのマンションはもとの家賃よりも最高2万5000円も高い賃料で、満室となりました。現在は、以前から住んでおられた入居者が退去されるごとに、リノベーションを行っています。このように、当社では、物件全体を一度にリノベーションするのではなく、結果を出してオーナーに納得していただきながら、オセロのように進めていく手法をとっています。


書籍「空室が日本を救う!イノベーティブ企業22社からの提言 」から掲載】


Profile

東京都内23区の賃貸仲介・管理業者として2003年に設立後、「アパマンショップ」ブランドとして、高田馬場・早稲田・池袋・御茶ノ水・巣鴨・門前仲町の6ヵ所に賃貸仲介事業の店舗を展開。賃貸管理事業を行うとともに、リノリースCLUBのフランチャイズにも加盟し、リノベーション事業に力を入れています。なかでも創業の地である高田馬場、早稲田、目白を拠点として特に注力し、過去にはこのエリアの学生に支持されている風呂なし賃貸の物件数について、日本有数の規模を誇りました。現在は高田馬場エリアに多数ある中古マンションの空室問題に取り組み、リノベーションと組み合わせた賃貸を提案するとともに、オーナーや入居者のインバウンド化を目指しています。

関連書籍

書籍
「空室が日本を救う!イノベーティブ企業22社からの提言」

日本社会が抱える課題の一つに空き家、空きビルなどがある。この課題解決に必要なのが発想の転換、アイデアである。人口が減少し、若者たちのワーキングスタイルが変わりつつある今、スペースの用途を単に住まいやオフィスに限定する従来型の発想では、本当の意味での課題解決には結びつかない。外国人や企業、シングルマザーなど入居困難者や介護、保育、クラウドソーシングなどといった用途で空きスペースを必要とする人が増えている現状を鑑み、自由な発想でスペースを活用していく事こそが解決の糸口となる。そして、こうした取り組みは空室問題の解決だけではなく、女性就労や子育て支援、医療、介護、インバウンドなど、一見空室とは関連性がないようにも思える様々な日本の課題を一括して解決する可能性を秘めている。そこで、本書では画期的な発想で空室問題の解決にあたる20社の実例や知見、ビジネスモデルを紹介する。

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