「日常生活に花を」
花や緑のある暮らしを
環境づくりから提案

下野 浩規Koki Shimono

株式会社プーコニュ

代表取締役


ヨーロッパの街角にあるような「ふつうの花屋さん」をめざして

大須観音のほど近く、地元の買い物客や国内外からの観光客で賑わう大須商店街から一歩足を踏み入れると、鬱蒼と茂った緑の中に佇む一軒のフラワーショップがある。

入口の小さな石板に記された店名は「PEU CONNU」—「プー・コニュ」。フランス語で「穴場」を意味する。

蔦の絡まるアーチをくぐると、そこは緑あふれる小さな庭。アプローチから店舗までの小道はもちろん店内の隅々まで、季節の珍しい花々と植物、ヨーロッパの蚤の市を彷彿とさせるアンティーク雑貨などが溢れんばかりに置かれている。どこか遠く海外の街を旅しているかのような、幸せな錯覚を感じさせてくれる空間だ。

独特の世界観に惹かれ、足繁く通う人も多いこの店の生みの親、株式会社プーコニュ代表取締役・下野浩規は「ヨーロッパの街角にあるような、ふつうの花屋さん」をつくりたかったと話す。

「海外では、花は生活の一部であり、花屋も特別な場所ではありません。ふらっと立ち寄って、ただ花を眺める。良いものがあれば買って帰って家に飾る。買うことを前提とせず、気負いなく通える花屋をめざしました。『日常生活に花を』。それが、プー・コニュのコンセプトです」

とはいえ、多くの日本人にとって、花屋とはイベントがあるときに足を運ぶところであり、何でもない日に気軽に訪れる場所ではない。ただ花を愛でるために立ち寄るという習慣もなく、「買わないのにお店に入ると迷惑がられるのでは」などと気おくれしがちだ。。

そこで下野は、あえて入り口から見えない位置にカウンターを配し、入り組んだレイアウトにしてたくさんの物を置くことで、訪れた人が周囲の目を気にすることなく花に親しめる空間を創り上げたのである。

これが奏功し、プー・コニュを訪れる人たちは自由気ままに花との時間を過ごすようになった。気に入った花の前で写真を撮って帰る人もいれば、さながら宝探しのように自分好みの花や雑貨を探して2~3時間ものあいだ滞在する人もいる。

下野がめざした「ふつうの花屋さん」は、しっかりと大須の街に根を下ろし、人々の日常を彩っているのだ。

ふだんの生活の中で花を楽しむ方法を伝えていきたい

下野自らが講師を務めるフラワーアレンジメント教室も、花と人との距離を縮める重要な役割を果たしている。OLを中心に下は小学生から上は70代まで幅広い年代の生徒が通う教室は、キャンセル待ちが出るほどの盛況ぶり。中には14年にわたって通い続けている人もいるという。

レッスンで花と組み合わせるのは、ピクニックに持って行くランチを想定したフランスパンや、自宅によくある野菜、時計、キャンドルなど、「気取らない、ふつうのもの」であることが多い。フォークやナイフと花を組み合わせてリースをつくることもある。

「高価な花器を使った特別な日のためのアレンジではなく、手を伸ばせばすぐそこにあるような材料を使って花の魅力を際立たせるカジュアルなアレンジをテーマにしています。重視しているのは、自宅ですぐに再現できること。アレンジを通して、ふだんの生活の中で花を楽しむ方法を広く知ってもらいたいと思っています」

1回の講座が終わると、作品を際立たせるように雑貨や家具の配置を考え、ライティングにもこだわって写真を撮る。生徒たちは、その写真をインスタグラムなどにアップして楽しんでいるという。

「良い作品ができれば、人に見せたくなるものです。生徒さんがアップした写真を見た人が花やアレンジに魅力を感じてくれることによって、花を飾る習慣がより多くの人の生活の中に根付いていけばいいですね」


Profile

1974年、名古屋市緑区生まれ。高校卒業後、イベント会社での照明担当、郵便局員などとして働いた後、老舗の園芸ショップで4年間修業。2000年に独立し、妻と一緒にフラワーショップ「PEU-CONNU」を開業。

Contact

株式会社プーコニュ

愛知県名古屋市中区大須2-26-19
TEL:052-222-8744
URL:http://peu-connu.net/

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