夢中になることが成長に繫がる

オイシックス株式会社

高島 宏平Kohey Takashima

代表取締役社長

社会貢献とキャリアを両立できる会社

何度か「夢中になる」という言葉を使いましたが、何が人生を豊かにするかを考えた時、私は夢中な時間の比率をどれだけ上げられるかが大切だと思います。年齢に関係なく、夢中になって過ごしていれば、だいたい幸せな人生なのではないでしょうか。

したがって、自分を成長させる意味でも、夢中な時間の充実感を知るという意味でも、若いうちに何かに打ちこむことは是非しておいてほしいと思います。部活、サークル、旅行、勉強。何でも構いません。恋愛はちょっと違うかも知れません。大半のアルバイトは意味がありませんが、意味を見出せるならばアルバイトでもいいでしょう。

できれば20代で夢中になれることを見つけ、それに集中して取り組むことです。20代になると、1年や2年の年齢差で大きく実力が異なることはありません。となると、その時期にどれくらいの傾きで成長できたかによって、30代、40代が変わってきます。ですから、とにかく何かに夢中になる。結果的にそれが成長へと繫がっていきます。

逆説的ですが、成長するためには「成長しよう」と思ってはいけません。成長は勝つための手段であり、成長そのものを目的とした時の成長レベルはたかが知れています。「勝ちたい」と思う、あるいは「乗りこえたい」と思う。それこそが「夢中になる」ことであり、それを達成した先にこそ本当の意味での成長が待っています。

したがって、若い頃は自分ではやれないかも知れないような難しいことに夢中になり、気づいたら成長角度が非常に高くなっていた、という状態を築くことが非常に重要です。

同時に、自分を客観視できるような機会を持つことも大切です。たとえば、学生時代に私はアジアの学生たちと友人だったのですが、彼らは日本人以上に高いエリート意識を持っていました。台湾の東大と言われる大学に行った友人は「自分は国を支える仕事に就いて、国の将来を担わなければならない」と普通に語っていました。

その一方で、高卒でも大成功している会社の社長などとも接点がありましたし、渋谷のチーマーにもたくさん友だちがいました。その社長の目のつけどころや、やる気に溢れる姿勢はとても勉強になりました。あるいは、あっという間に千人単位の人間を集めるチーマーたちの強烈な結束力にも驚かされました。

多彩な付き合いがあると、自分の人生の選択肢が広がり、「自分はどういう風に生きたいのか」と考えるきっかけになります。つまり、できるだけ違和感とのコミュニケーションを持っておくと、「自分」が客観的に見えてくるのです。同じような仲間との接点しかないと、考えが偏りがちですし、選択肢が狭くなってしまいます。

当社が欲しいのは「世の中に対して何かいいことがしたい」という人材です。私は当社が大きくなれば、世の中がよくなると思っています。当社の成長によって、家庭の食卓が幸せになり、一生懸命努力されている生産者の生活レベルも維持・向上していく。仕事に夢中になればなるほど、直接的に世の中をよくすることができます。

世の中への貢献を考えると、自己犠牲的に仕事に取り組まないといけないケースは少なくありません。一方、給料の高さやキャリアだけを求めると、貢献できているかどうかは二の次になります。貢献とキャリアの二つを両立するのは、なかなか難しいのです。そういう意味では、当社は二つを実現できる会社ではないかと思っています。

インタビュアーの目線

仲間を巻き込んで何かを成し遂げることが昔から得意で、それが楽しくて仕方なかったと語る高島さん。ガチガチにマネジメントされた組織というより、「多様な個性が集積したチーム」という会社のムードも、そんな高島さんの想いが投影されているのでしょう。「食」という社会性の高い分野で社会をどう巻き込んでいくのか、今後に注目です。

書籍「これから働くならこの会社でしょ (2015年09月18日 第1刷発行)」から掲載】

Profile

1973年、神奈川県生まれ。東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修了後、外資系経営コンサルティング会社のマッキンゼー日本支社に入社。2000年5月の退社までEコマースグループのコアメンバーの一人として活動。2000年6月に「一般のご家庭での豊かな食生活の実現」を企業理念とするオイシックス株式会社を設立し、同社代表取締役社長に就任。生産者の論理ではなくお客様の視点に立った便利なサービスを推進している。主な著書に『ライフ・イズ・ベジタブル―オイシックス創業で学んだ仕事に夢中になる8つのヒント』(日本経済新聞出版社)がある。

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