関わり合うすべての人に喜びを―利他の精神で、空室に人を呼び込む
ココチ不動産株式会社 代表取締役 原 和彦

ココチ不動産株式会社

原 和彦Kazuhiko Hara

代表取締役

2016.04.12

経営の信条は「正確な情報をオープンに提供すること」

私が不動産業を志したのは、快適な住まいや、訪れた人がリラックスできる店舗など、心地よい空間づくりのお手伝いをしたいという思いからです。

高校を卒業し、電気工事の会社に勤務した後に、全国で店舗を展開する大手不動産会社に入社した私は、初年度から、配属された大阪府内の店舗でトップの成績をおさめました。将来も期待され、いずれは東京の主要店舗に転勤となるルートでしたが、家を建てたいという強い希望があったので、転勤のない地元の不動産屋へ転職。その後、店舗の代替わりのタイミングで、2008年にココチ不動産を立ち上げて独立しました。

大阪市の東淀川区に構えたオフィスは、一般的な古い事務所をリノベーションしたものです。駅から5分ぐらい離れていて、不動産屋としては少し不利な立地なのですが、そこを見た瞬間、「お客さまがカフェのように落ち着いて部屋探しができるオフィスをつくれる」というイメージがわいてきたのです。余分な壁を取り払い、天井のコンクリートはあえてむき出しにするなどして開放感を演出しました。立地が不利な分、広さは十分。ねらい通り、部屋探しに訪れた方からは、心地よく時を過ごせる空間として好評です。

起業当初の主な業務内容は、賃貸物件の仲介と管理でした。営業方針は、常にお客さまに正直であろうとすること。不動産広告にありがちな誇大広告を打たず、正確な情報をオープンに提供して、納得して物件を決めてもらえるまで、じっくりとお付き合いすることを心がけています。

物件のオーナーに対しても、同じスタンスです。当社では、東淀川区でおよそ50棟の賃貸物件を管理しています。物件の管理を請け負うにあたって、強引な営業をかけたことはありません。ご相談を受けたら改善点をアドバイスし、私たちのプランを説明して、納得していただいた上で管理を任せていただくことがほとんどです。実績を評価され、オーナー同士や、銀行からの紹介で管理を依頼されることもよくあります。

また、お預かりした物件は、必ず「レインズ」(不動産物件の情報を、業者が共有できるシステム)に登録しています。じつは、不動産業者の中には、自社で囲い込んで差別化するため、レインズに登録しない人も少なくありません。しかし、レインズに登録したほうが、集客しやすいことは明らかです。当社では、物件の情報ではなく、サービスで差別化することを目指しているので、レインズへの登録を行っています。

誠実に人に向き合う姿勢が事業の拡大につながる

もともとは賃貸の仲介をメインに手がけていましたが、売買物件の仲介業務も増えてきました。特に、物件売却のノウハウを提供する「売却の窓口」に加盟したことで、案件は増加しています。売買に力を入れるに当たってはリノベーションも大切だと考えていますので、お客さまの求める空間づくりに定評のある「リノベる。」と提携。その流れで、リノベーションやリフォームのご依頼もとても多くなりました。

もちろん、売却事業においても、誠実であろうと心がけています。なぜなら、取引に関わったすべての人が、得をするようにしたいから。自分が大きな利益を得ることよりも、工事業者も、オーナーも、ユーザーも喜ぶような取引ができることのほうが私にとって大切だからです。そして、こうした思いは事業にもつながっていきます。

その一つが、昨年から開始した建売事業です。こちらは、自分が住むエリアの土地を見知らぬ人に売買されて、非常識な建て方をされたくないという地域の方の「不安だから、ココチ不動産さんで引き受けてくれない?」という声を受けたことから、手がけることになりました。

同様に、古民家の有効活用のご相談を受けたご縁から、奈良県香芝市にイタリアンを提供する古民家ダイニング「ココチキッチン奈良狐井」もオープンさせ、飲食業も手がけることに。

こちらの店舗は、土地が800坪ほどある邸宅。賃貸マンション売却のご依頼がきっかけで、「実家の庭園を未来に残していきたいので、広い土地建物の税金や維持費をまかなえるような借り手の方を探してほしい」とのご相談を受けた物件でした。1年間募集したものの借り手が見つからなかったため、長年の念願でもあった飲食業界への進出を決意し、借り受けることにしたのです。私の趣味は食べ歩き。ですから、じつはこの立地を見た時点で、どんな店舗をつくればよいのかイメージがわいていました。

もともとあった庭園を整備し、内装をレストラン用に整え、シェフを採用し、着々と準備を整え、2015年の9月にグランドオープンしました。オペレーションの洗練化も必要ですし、スロースタートでよいかなと思っていたのですが、口コミで評判が広がり、あっという間に、多数のお客さまに訪れていただけるようになりました。

こんなふうに、私の始める事業は、そのときの流れで必要なこと、パートナーとしてともに動いてくれているみなさんからの声を受けて、スタートするものが増えてきています。


書籍「空室が日本を救う!イノベーティブ企業22社からの提言 」から掲載】


Profile

大阪市東淀川区に店舗を構える「ココチ不動産」は、2008年設立。不動産物件の仲介をはじめ、管理、リフォーム、飲食事業など、幅広く業務を展開し、オーナーと借り主を結びつけることによる空室問題の解消を目指しています。ホームページは、子どもの頃からデザインすることが好きだったという代表の手によるもの。“夜景を楽しむ”、“高層階に住みたい” など、テーマごとに部屋を紹介するなど、ユーザー目線に立った物件の見せ方にこだわっています。そこからも読み取れるように、同社の姿勢は顧客とオーナーが第一。賃貸、売買、リフォームを問わず、同社の取引に関わったすべての人から喜ばれるよう、真摯な姿勢で業務にあたっています。

関連書籍

書籍
「空室が日本を救う!イノベーティブ企業22社からの提言」

日本社会が抱える課題の一つに空き家、空きビルなどがある。この課題解決に必要なのが発想の転換、アイデアである。人口が減少し、若者たちのワーキングスタイルが変わりつつある今、スペースの用途を単に住まいやオフィスに限定する従来型の発想では、本当の意味での課題解決には結びつかない。外国人や企業、シングルマザーなど入居困難者や介護、保育、クラウドソーシングなどといった用途で空きスペースを必要とする人が増えている現状を鑑み、自由な発想でスペースを活用していく事こそが解決の糸口となる。そして、こうした取り組みは空室問題の解決だけではなく、女性就労や子育て支援、医療、介護、インバウンドなど、一見空室とは関連性がないようにも思える様々な日本の課題を一括して解決する可能性を秘めている。そこで、本書では画期的な発想で空室問題の解決にあたる20社の実例や知見、ビジネスモデルを紹介する。

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