手を挙げた人にチャンスがある。
役職や年齢はもちろん、社員かどうかも関係ない

台灣雞翅國際股份有限公司 董事長  辻 勝明

台灣雞翅國際股份有限公司 董事長

辻 勝明Katsuaki Tsuji

2018.01.18

手を挙げた人にチャンスがある。 役職や年齢はもちろん、社員かどうかも関係ない

台湾の首都、台北市に本社を構える日系企業がある。その名は台灣雞翅國際股份有限公司(Taiwan G2)。この会社で「董事長」と呼ばれる、いわゆる社長の役割を務めているのが辻勝明だ。

2012年8月に台湾へ渡るまで、辻は日本国内でIT企業3社を経験。最初に勤めたライブドアではネットアニメコンテンツを手がけ、当時人気を博した「やわらか戦車」をプロデュース。個人のクリエイターと手を組み、ネット発でテレビなどの他メディアへ進出するという流れは、今で言えば「YouTuber」などの先駆けだったと言えるだろう。その後もDeNAや楽天でネットコンテンツのプロデュースを手がけた。「インターネットと何かを掛け合わせるのが得意」なのだという。

Taiwan G2の設立以前に、ライブドア時代の先輩と台湾で立ち上げた事業も「ネット×人材」。人材紹介業に進出したことであらゆる業種との交流が生まれ、台湾の政財界に人脈ができた。すると辻は、新たなビジネスへのヒントを得ることになる。

「親日家が多いことで知られる台湾は、日本文化が単なる流行ではなく根付いている感覚があります。例えば、若い世代で日本語が話せる人たちは、日本のアイドルやアニメの影響が大きいですね。つまり日本と同様のオタク文化が浸透しているということ。台湾の『オタクマーケット』に可能性を感じたんです」

そこで辻は、当時日本で勢いを増し始めていた「漫画・アニメの同人コンテンツを扱うダウンロードサイト」の台湾版を構想する。日本国内では大手2社だけでも年200億円規模の売上を誇り、台湾でも15億円ほどのポテンシャルがありそうだった。この事業を立ち上げるにあたって相談したのが、ダーウィンホールディングスの社長である中野正幾。ライブドア時代の先輩に、辻は、新規事業のヒントをもらうつもりで話していた。しかし、中野が発した言葉は意外なものだった。

『そのビジネス、うちの資本でやってみる気はないか?辻が本気なら応援するよ』

こうして辻は、2015年5月にダーウィングループの一員としてTaiwan G2を設立することとなる。グループとしては初の海外法人。辻としても代表という立場で経営を手がけるのは初めての経験だった。

「設立当時、グループにとってのTaiwan G2や僕自身は、海の物とも山の物ともつかない存在。それなのに良い意味で放っておかれました(笑)。中野はあんまり細かいことに口出しするような人ではないんですが、それはグループ各社の経営陣や社員一人ひとりへの期待があってこそ。ましてや、ただの知り合いで社員でもなかった僕に可能性を感じて、応援してくれている。経験や実績、その人の立場などは関係なく任せてくれる。だから、期待に応えなきゃという気持ちは強かったですね」

現在のTaiwan G2は、同人コンテンツのダウンロードサイトを事業の柱としながらも、日本の自治体向けのインバウンド支援なども手がけている。2018年からは飲食店向けの顧客管理システムで急成長中の「トレタ」と提携し、台湾における総代理店事業も開始する。新規事業が次々と生まれている様子は、まさしくダーウィングループの姿そのものだ。

「実は、初年度に飲食店を買収するというチャレンジングな決断をしているのですが、順調に売上を伸ばし、飲食事業単体で一つの会社とすることになりました。社長を務めるのは、これまで店長として頑張ってきたメンバー。一緒に働いてきた仲間が経営者になるのはやっぱりうれしいものですね。こんな風に事業としてさまざまなチャレンジを続けながら皆にチャンスを提供することこそ、僕が大切にしていることですし、ダーウィングループ共通の想いです。今の実力では少しだけ背伸びが必要なことに挑戦し、成長感や達成感を味わい続けられる会社でありたいと思っています」


インタビュー・編集/森田大理   撮影/出島悠宇


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