運送業は労働集約型産業の
先進的ビジネスモデル。
働き方を運送業から
変えていく

株式会社ハコブホールディングス

藤田 光Hikaru Fujita

代表取締役

最初は嫌いだった運送業を受け入れ、天職に変わった

青森県出身の藤田は、陽気な父親がたこ焼き屋を営む家で生まれ育った。一方で藤田は真逆で、本人いわく「究極の恥ずかしがり屋」。しかし、その性格が現在のハコブの流儀の一つとなっている。ハコブのポロシャツには白い生地に白い刺繍でロゴを入れていたり、同業他社が車両にロゴステッカーを貼るところをハコブは貼らなかったり。顧客を前面に押し出すために黒子に徹する姿勢は、この頃から培われているのだという。

ただ、内面には熱いエネルギーを秘め、「とにかく偉い人になりたかった」という藤田。小学校の卒業アルバムには、「将来なりたいものは1位:帝王、2位:国王、3位:村長」と書いた。シャイではあったが、仲間内ではジャイアンのようなリーダーだったという。幼い頃はけんかもしていたが、成長するにつれ、内面のギラギラをどこにぶつけたらいいのか迷うように。やりたいこと、好きなことがなかったからだ。そこで藤田は「稼ぐ」ことでエネルギーを発散しようとする。

青森で電気工事士の仕事を経験した後に上京。やりたいことが見つからず、また当時付き合っていた彼女との別れに絶望し、「東京に行けば何かが変わる」という期待からの決断だったという。アルバイト雑誌を見て、一番給与が高いことを理由にドライバーの仕事を選択。当時、稼げる仕事の代名詞のような大手宅配便会社に移るが、ここで苦しい現実に直面することになる。

「電気工事士で鍛えられていたからか、正直仕事は思ったよりキツくなかったです。ただ、体育会系のノリが自分には合わず、在籍4年間でその環境を変えることもできませんでした。仕事はできても給与は上がらず、営業所で唯一、セールスドライバーの称号を与えられず…人一倍プライドの高い私にとって、誰からも評価されないというのは本当に苦しい事でした」

「誰も評価してくれないなら、自分の給料は自分で決めるしかない」と、働き方を個人事業主の委託ドライバーという形態に変え、以前にも増して「晩から晩まで」がむしゃらに働いた藤田。その奮闘っぷりは、睡眠時間が1週間で8時間だったときもあったほど。

それでも、モヤモヤしながら仕事をする日々が長く続いた。「やりたいことがない」ことにコンプレックスを抱き、高円寺の街はずれで荷物を積んだ台車をゴロゴロと押しながら、自問自答する毎日。運送以外にもファッションや建築、ITなどの仕事を検討したものの答えは出ないまま、ドライバーを始めてから8年もの間悩み続けたという。そのようにフラストレーションを抱えつつも、腐ることなく粛々と仕事に没頭したからか、この頃から藤田の考えが変化し始めたのだ。

「ドライバーの仕事は、稼ぐために選んだ職業だったので、あまり好きではありませんでした。というより嫌いでした。そのとき悩んでいたものの答えは出ず、『やりたいことは見つからない』と諦め始めていたのですが、それが逆にいい方向に。やりたいことがないのなら、今いる場所で、目の前の仕事に全力を尽くそうと思ったのです。そこで初めて運送という仕事を『受け入れ』、以前よりも全力で取り組みました。すると、本気で頑張ったからこそわかった面白さがたくさんあったのです。それ以降、運送業は本来素晴らしい仕事だから、自分の手で業界を変えたいと思うように。そして、気付けば運送業が好きになっていました。そしてすぐ、わたしにとって運送の仕事は天命であり、天職へと変わりました」

変わったのは考えだけではない。人生も大きく変わろうとしていた。大手宅配便会社で4年、個人事業主で4年働いた後、独立を決意。その背景には、2つの目標があった。

1つ目は「業界の改革」。黙々と一生懸命働くドライバーたちに、適正な評価が与えられる社会になって欲しいという想い。2つ目は「結婚」。配送でよく訪れていた先の女性との仲が深まり、交際するように。「結婚したい」と思うようになっていった。独立したのは、この両方を実現するための選択だったのだ。

独立当初は個人事業主として活動していたが、「一人でやれることには限界ある」とわかっていた藤田は、早い段階での法人化を目指し、寝る間を惜しんで毎日働いた。そして、結婚、法人化という両方の目的を達成し、設立されたのがハコブである。

Profile

青森県出身。地元高校を卒業後、電気工事士として働き出す。20歳のときに上京し、製パン会社の配送ドライバーとなり、運送業界でのキャリアをスタートさせる。10カ月後に大手宅配便会社へ転職。配送からセールスまで、運送業界におけるノウハウを習得し、4年後に個人事業主ドライバーとして独立。2012年にハコブ株式会社に法人化。以降、下請運送会社ならびにドライバーの地位向上を実現する次世代物流システムなど、さまざまなアイデアを事業化。2018年2月には事業をグループ会社とした株式会社ハコブホールディングスを設立。同社代表にも就任している。

Contact

株式会社ハコブホールディングス

東京都新宿区大久保2-5-19 シティプラザ大久保4F

https://www.hakobuyo.com/