ECサービスの分野で日本一になる

テモナ株式会社 代表取締役社長 佐川 隼人

佐川 隼人Hayato Sagawa

テモナ株式会社

代表取締役社長

2015.10.06

4回目の起業でたどりついたテモナ

私はかなりハチャメチャな青春時代を送りました。高校は大学附属の進学校に上位で入学したのですが、卒業時は下から2番目。勉強もせず、友人たちと遊んでばかりいたためです。結局、大学には進学できず、高校を卒業してからすぐにチラシの広告枠を売るような事業を始めました。これが最初の起業になります。

とは言っても、真面目に仕事をするわけでもなく、あいかわらず友人たちと遊ぶ毎日。そして20歳の時、初めて就職活動なるものをしました。ちょうどヤフーや楽天といったインターネットサービスが脚光を浴びた時期だったため、自分もIT系の仕事をしたいと思い、大阪の小さなソフトウェア会社に就職しました。配属は営業でしたが、自分でプログラミングを覚え、数年後にはエンジニアとして独立しました。

その時は純粋にフリーのエンジニアだったため、大手企業のプロジェクトに入り、システム設計のお手伝いなどをしました。非常に給与が高かったため生活はかなり派手になったのですが、一方では虚しさも感じていました。

大手企業のシステム開発には大きな予算がからみます。そのため、政治的な駆け引きがあり、予算が不足すれば必要な機能を削ったり、あまれば余計な機能を入れたりといったことが行われていました。その結果、システムを作ることや、納期に間に合わせることが目的化し、「何かを便利にする」という本質が見失われていたのです。

嫌気がさした私は26歳の時、自分の考えに共感してくれる仲間と出資しあい、会社を設立しました。システム開発を受託する会社でしたが、大手企業のように面倒な思惑がからむ仕事ではなく、中小企業やベンチャーなど、本当に困っている人たちを支援するシステムを手がけました。この仕事は本当にやりがいもあり、楽しかったです。

ところが、「好事魔多し」です。創設メンバーの1人が会社のお金を着服し、個人的に使い込んでいたことが発覚しました。しかも肩書きは「社長」でしたので、もはやそんな人間と一緒に仕事を続けていくことはできません。

そんな時、当時のクライアントだった会社の経営者が、「場所を貸してあげるから、東京でやり直さないか」と声をかけてくれました。生まれてから一度も大阪を出たことがない私でしたが、「もう一度東京でやり直す。ついて来てくれ」と2人の友人を誘い上京。そうして28歳で立ち上げたのが当社です。通算すると、4回目の起業でした。

悩み続けた結果の「リピート」に特化したサービス

「テモナ」という社名は、「手も無く(たやすく)」という言葉から取りました。手をかけずに何かができるようになるシステムを、お客様に提供しようとの思いからです。

現在手がけているのは、ネットショップ向けのサービスの提供です。大きな特徴は、リピーターを増やすためのシステムを導入している点です。

たとえば、米、水、化粧品などの消耗品は、定期的に購入しなければなりません。その時、いちいちネットショップで手続きをするのは面倒ですので、自動的に送られてくると助かります。また、定期購入により少しでも割安になれば、多くの人はそのお店のリピーターになってくれます。お店側にとっても、定期購入してくれるお客様が多ければ収益が安定しますし、生ものなども無駄なく在庫管理できますので非常に便利です。

そこで、当社では毎月自動的に決済が行われるとともに、商品を円滑に発送するシステムを提供しています。「たまごリピート」と名づけたこのサービスは、買う人・売る人双方に喜ばれ、現在700社以上に導入されています。

このサービスを開発した当初は、収益が不安定でしたので、まだ他社のシステム開発も続けていました。それが一気にこのサービスの人気が高まり、まったく手が回らなくなったため、初めて中途採用者を2人入れました。

ところが、数週間ほどで2人とも辞めてしまい、仕方なくまた採用。それがまた辞めてしまったため、また採用。それを10人くらいは繰り返したでしょうか。

最初は「根性なしめ」と怒っていたのですが、あまりにも辞める人が多すぎるため、次第に「俺は一生これをくり返すのか?」という恐怖心に変わっていきました。その上、人材がいませんから現場は忙しいまま。納期に遅れ、損害賠償まで請求されるような事態も起きました。私は「経営者に向いてないんじゃないか」と真剣に悩みましたが、結論として見えたのは、自分には理念やビジョンなどがまったくなかったことが問題だと気づきました。

「何のために俺は経営しとるんや?」という問いかけに出した結論は、やはり「リピート」の部分だけでした。ほかの仕事でライフラインを繋ぎながら「リピート」もやる。そういう中途半端さはもう完全にやめようと決意しました。

そして、三つの目標を定めました。ECサービスの分野で日本一をとる、社名が示すようにお客様に便利になって喜んでもらう、起業家を輩出する、という三つです。「なぜ起業家?」と思うかも知れませんが、自分がとても苦労した時、多くの人に助けてもらった恩返しとして、「次に繋ぎたい」という思いがあったのです。

こうして目標を定めると、業績もどんどん上がっていったのですが、それゆえにまた迷った時期があります。「たまごリピート」を事業売却しないかという話があったのです。事業ごと丸ごと売れば、何億円というお金が入ってきます。ちょうど腰を患って動けない時期だったため、「このままリタイアするのもありかな」などと悶々と悩みました。

掲げた目標か、結局はお金か。当時、お金になびいていたら、この本には登場していません。現在、当社はさらなるサービス向上に努めるとともに、積極的に新卒を採用し、人材育成を図っています。

佐川 隼人

Profile

1980年、大阪府生まれ。高校卒業後、18歳で起業するも事業解散。
ソフトウェア開発会社に就職し、約3年プログラミングを行う。
その後オーストラリアに約2年留学し、帰国後フリーランスのシステムエンジニアとして起業。
大規模システム構築に関わり、金融系や生産管理など多岐にわたる業務システムの設計と開発を行う。
その後共同経営で会社を立ち上げるも、経営パートナーの裏切りに遭い解散。
ほぼ無一文で上京し2008年10月にテモナ株式会社設立。
インターネットビジネスにおいて商売の本質である「リピート」の概念にこだわったシステム製品を創出し
これまで延べ1,000社以上の企業に自社製品の提案、ネット通販のコンサルティングを行う。
代表製品に「たまごリピート」がある。

Contact

テモナ株式会社

東京都渋谷区渋谷2-12-19 東建インターナショナルビル本館9F
http://www.temona.co.jp/

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