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国際女性デー特集 Vol.1 今井公子さま(SINEORA CEO)

心の呪縛「女性はこうあるべき」を越える

LISTENの特集がリニューアルしました! 毎月1つのテーマに沿って、リレー形式で3名の経営者のインタビューをお届けします。

2023年3月のテーマは、毎年3月8日の「国際女性デー(International Women's Day)」。

国や民族、言語、文化、経済、政治の壁に関係なく、女性が達成してきた成果を讃える日であり、世界各国で記念行事が行われます。「ミモザの日」とも呼ばれ、黄色いミモザの花がシンボルとして親しまれています。

今回は「国際女性デー」特集の第一弾として、国際的に活躍されている今井公子さん(SINEORA CEO)にお話をうかがいました。

■日本は女性の活躍推進の「超・後進国?!」

ー国際女性デーについて、率直に感じることを聞かせてください。


日本における女性の活躍推進が、国際社会から遅れていることが気になります。先進国のなかで、その差は歴然としています。

私が住むフランスでは、2020年1月から「社員数250人以上の企業の取締役会(または監査役会)は、40%以上を女性で構成すること」が義務になりました。日本では現在、女性の役員の平均比率は10%を少し上回る程度です。

 

ー日本が「女性活躍の後進国」という認識はありませんでした…。


企業の女性の役員比率が上がらなければ、社内はもちろん、社会全体に女性の声が反映されません。「女性が生きづらい社会」から抜け出せない要因は、ここにあるのではないでしょうか。

日本は「女性は女性らしくあるべき」という抑圧的な固定概念がすごく強い国だと思います。日本のように文化的、歴史的に女性の地位が低い国が社会を変革するためには、数値目標を掲げて集中的に取り組むのは有効かもしれません。

 

 

■「女性であることが足かせにならない環境を選ぶ」という選択肢

ージェンダーギャップで苦労した経験はありますか?

嫌な思いをした経験はたくさんありますよ。でも、私には「女性はこうあるべき」という自分自身の意識を変革するきっかけがあり、ジェンダーギャップを乗り越えて今があります。

それは2003年に、女性初のコンサルタントとして外資系企業の日本法人に入社してすぐの頃。フランス本社から来日した顧客にコーヒーを淹れて配ろうとした時、フランス人の男性役員に止められたのです。「あなたの仕事ではない」と言って、代わりにコーヒーを淹れてくれました。

 

ーこの出来事が、今井さんにどんな変化をもたらしたのでしょうか?


私がこの時気づいたのは、自分にとっての常識は世界の常識ではないということと、自分が「女性らしさ」に囚われていた、ということです。

これを境に、私は「女性はこうあるべき」という意識を変え、働く環境も選ぶようになりました。

女性だからという理由で、努力しても認められない場合、「自分が悪い」ではなく、「この環境は自分に合わない」ととらえるようになったのです。自然と、当時から女性が活躍していた外資系企業を選択してきました。

男性社会で、息苦しい思いをしている女性に伝えたいです。「女性であることが足かせになるような環境を選ぶ必要はないよ」と。

 

 

■豊かな社会を目指して 〜経営者の一歩、働き手の一歩~

ー日本社会には「女性は産休・育休で長期休暇をとるので雇用しづらい」という声もあります。経営者としての意見を聞かせてください。


男性と同じ椅子を、女性に当てはめるのには無理があります。私は女性を面接する際、「理想のワークライフバランス」について慎重にヒアリングします。双方にとってベストな仕事内容、働き方を考え、合意があれば採用としています。

当然ですが、組織の機能を維持しなければならないので、経営者として、性別や年齢層にも気を配り、得意・不得意、ライフスタイルを生かし、それぞれの能力を引き出せる環境づくりに気を配らなければなりません。

 

ー多様性のバランスを実現するのが、経営者の手腕なのですね。


私はスタートアップ企業支援を手がけるなかで、「長期にわたり成長している企業には多様性がある」という属性を見いだしました。

若い経営者のスタートアップ企業は柔軟で勢いがあります。でも、若い世代だけで経営している組織はどこかで成長が止まったり、失敗したりする姿を多く見てきました。主な原因は経験値不足でしょう。

シニア世代が年月を重ねて培った経験は企業の資産です。そして組織に多様性があり、性別や世代を越えた視点を持つことが経営のリスクヘッジにもなるのです。社会すべてに同じことが言えます。豊かな社会には多様性が必要です。

みなさんの個々の視点や経験は、社会の財産になりえます。ぜひ一歩踏み出しませんか。女性たちの活躍を待っています。

 

 

■今井公子さまよりメッセージ
23年2月に日本法人を立ち上げ、人材募集中です。「国際的に活躍してみたい」という方はぜひ弊社までお問合せください。

 

■Profile 今井公子(SINEORA CEO)
2010年に渡仏し、現在パリ在住。日本企業の国際競争力を上げることを目的とした、クロスボーダーなオープンイノベーションを支援するSINEORA(シンノラ)を2019年に設立。世界的に成功する企業、組織づくりを支援する。

 

取材・文/ 武藤花奈
編集/寺澤順子

 

■今井さまについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください!

 
パンデミックで再確認した「フランステック産業の真価とスタートアップの可能性」SINEORA CEO 今井 公子 / Kimiko Imai
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