私のライバルは昨日の私。
目標は「3年後にグループ会社社長」

ダーウィンホールディングス

荻原 愛琳株式会社ダーウィンズ 福岡支社

私のライバルは、昨日の私。目標は「3年後にグループ会社社長」

2017年4月、株式会社ダーウィンズの福岡支社に1人の女性が入社した。荻原愛琳、3月に大学を卒業したばかりの新卒社員。同期入社の社員がほぼ東京配属となる中、彼女が福岡に配属されたのには理由がある。

「この年の5月に入籍したんです。私と夫は福岡で暮らしてきたので、東京本社配属となると、夫と離れ離れになってしまう。さすがに新婚でそれは避けたほうがいいなと思って(笑)。そこで社長の後藤とも相談して初任地を福岡にしてもらいました」

コールセンター事業を営むダーウィンズの福岡支社は営業機能があるのみで、荻原を含め4名という小規模の組織だった。法人営業として任されたのは、通信販売を行う企業。初めは先輩に同行して仕事を覚えていたが、6月を迎える頃、「新人だから」という言い訳は通用しない状況になった。諸事情により福岡支社長が退任し、2人の先輩と共に3人で支社を運営しなければならなくなったのだ。

「このときに後藤から言われたのは、『3人とも平等に支社長になれる権利がある』ということ。すぐに本社から人選をして、新支社長を立てることもできたと思うのですが、あえてそうせず、私たちに挑戦させようとしたんです。しかも、大学を卒業したばかりの私にもその可能性があるということ。この言葉をきっかけにピンチがチャンスに見えるようになって、モチベーションが一気に高まりましたね」

それからの荻原は、先輩たちに教えを請うだけの新人から脱皮して、対等な目線で福岡支社の運営に参加するようになった。先輩相手でも良くないところは指摘し、得意なところで他の2人をカバーする。そのように主体的に行動していると、福岡の業績はみるみるうちに伸びていった。福岡の状況はすぐに本社にも伝わり「福岡支社は本当にチームワークが良い」と評判になっていく。

「年次としては私が一番若いんですけど、だからと言って遠慮や手加減をされるよりは、任せてもらえた方が私はうれしい。福岡の先輩たちからはもちろん、離れた場所にいる東京の皆からも『期待され応援されている』と感じたことが、くじけず頑張れた原動力かもしれません」

こうして3ヵ月後、福岡に新支社長が誕生する。その座に就いたのは、共に頑張ってきた先輩だった。選ばれなかった荻原だが、心からうれしかった。自分にもあったチャンスを放棄したわけではないが、共に戦ってきた3人から支社長が生まれたことに大きな達成感があったのだ。2017年の12月に開催された社員総会の場でも、福岡支社長は全社表彰されることに。会場からの惜しみない拍手を受けて壇上に上がる先輩の姿を見つめ、込み上げるものがあったという。

これが荻原にとってのダーウィンズ1年目。この経験があったからこそ、もっと挑戦できる自分でいるために2年目からは東京に移る決意をした。

「本社での集合研修などを通して東京の先輩たちと仲良くなり、『この人たちの近くでもっと学びたい』という気持ちが強くなったんです。皆さん、後輩のことを応援してくれるし、中には『俺が入社1年目に立てた記録を抜いてくれ』と発破をかけてくれる人も。優しさも厳しさも私には心地よく、良いプレッシャーになっているから、あえて新しい環境に飛び込んでみようと思いました」

荻原がもともとダーウィンズへの入社を決めたのは、「どんな仕事をするかより、誰と働くかが私にとって大事」だと気付き、人を大切にする会社に行きたいと思っていたからだ。

でもそれは決して馴れあいや居心地の良さという意味ではない。人に期待し、継続的な成長を信じてくれる組織こそ、「人を大切にする会社」だと思う。

だからこそ、荻原は誰かとの比較や競争の中で一喜一憂するのではなく、自分自身に負けない人でありたいと言う。当面の目標は入社2年半以内に管理職になること。4年目のうちには、グループ会社の経営者になることも目指している。先輩たちを追い越すのは、ただの通過点。ライバルは自分自身だ。


インタビュー・編集/森田大理   撮影/出島悠宇