日本人にとって最大の弱点「英語」の克服に貢献したい
Japan Intertrade Callcenter Corporation CEO 千葉 栄一

Japan Intertrade Callcenter Corporation

千葉 栄一Eiichi Chiba

CEO

2015.04.24

フィリピン進出のキーワードは「英語」

私がフィリピンのセブ島で仕事を始めたのは2009年のこと。そこから1年に1社程度のペースで、現地で新しい事業を立ち上げてきました。

最初に立ち上げたのはコールセンターのJICC(Japan Intertrade Callcenter Corporation)。次にオンライン英会話スクールの「イーフレンド」。三つ目が英語学校の「NILS」。そして現在は、インターネットのリスティング広告事業を行う会社の設立準備を進めています。「コールセンター」「教育」「ネット広告」とさまざまな事業を手がけていますが、すべてのビジネスに共通するキーワードがあります。それは「英語」です。

私はフィリピンに進出する2年前の2007年に、アフリカやカリブ海に住む個人客へ、日本の中古車を輸出販売するビジネスを神戸で始めました。一般的に中古車の輸出販売は法人向け中心なのですが、直接消費者に販売したほうが高収益をあげられると考えたのです。そこで、リスティング広告で宣伝活動を行ってみると、予想以上の数の問い合わせがありました。海外の人たちが日本車の品質の良さに対して、いかに高い信頼を寄せているかを実感しました。

しかしネックになることがありました。海外の消費者とは電話やメールでやりとりをするのですが、当然英語でのコミュニケーションになります。ところが日本国内で、英語も営業もできる人材を採用しようとすると、どうしても人件費が高くなってしまいます。これでは、日本でやっている限り、利益は頭打ちです。

そこで着目したのがフィリピンでした。フィリピンは英語圏のうえ、日本人社員一人分の人件費で10人以上を採用できます。またフィリピン英語は、訛りがなくて聞き取りやすいのが特徴です。そのため世界中のコールセンター会社がフィリピンに集まっており、世界一のコールセンター市場になっています。そこで私たちもフィリピンにコールセンターを設立することにしたのです。これがJICCです。

現在では、日系企業に対して、英語対応のカスタマーセンターやセールスセンター、営業代行や秘書業務代行などのサービスを提供しています。当社が直面したように、ほかの日系企業でも国内では英語ができる人材の不足とコスト高が課題となり、私たちにアウトソーシングしているわけです。

最近では、リスティング広告にも力を注いでいますが、この事業をわざわざフィリピンで手がける理由も、やはりキーワードは「英語」です。

近年、多くの日系企業が海外市場への進出を検討しています。しかし現地のマーケティングも不十分な段階で、いきなり事業所を開設するのはハードルが高い。そこで英語のECサイトを開設したうえで、リスティング広告で英語圏の消費者をサイトに誘導していくなど、まずはインターネットによって海外の顧客を獲得しようという動きが活発になっています。そんな事情から、フィリピンにおけるリスティング広告への引き合いが増えているのです。

リスティング広告で効果をあげるためには、コンバージョン率などを見ながら適切なキーワードや入札価格を設定する必要があるのですが、日本はこうした緻密な作業に関するノウハウを熟知しており、世界的にも最先端といわれています。ただし、ここでもネックとなるのは、コストと英語です。リスティング広告は、手間暇をかけるほど高い効果が望めますが、日本人の人件費ではコストが膨らみます。さらに、英語圏のキーワードは、当然英語で設定することになるため、ここでも英語の壁が日本人の前に立ちはだかっています。そこで私たちは、人件費が安く、英語圏でもあるフィリピンでこの事業を展開することで、日本の優れたリスティング技術を活かしながら、英語とコストの二つの課題を解決しようとしているわけです。

「もっと英語ができたら」自身の思いから生まれた英語学校

こうした事業に携わる中で私が痛感するのは、日本人にとって最大の弱点は「英語」であるということです。逆にいえば、そのほかの点において、日本人はとても優秀な国民です。例えばフィリピンは貧富の差が非常に激しく、受けてきた教育レベルも人によって相当な格差があり、仕事についても業務遂行能力には大きな差があるものです。

一方、日本人に文字の読み書きができない人はまずいません。また、時間を守る概念も子どもの頃から徹底して植えつけられています。つまり、業務遂行能力について、大学を出ている人とそうでない人との間で決定的な差があるわけではありません。上司から指示を受けたときでも、その指示の内容と意図を理解して、業務を遂行できる能力を誰もがある程度備えています。

そうした優れた能力を付加価値として、私たち日本人もこれからは世界に飛び出していかなければなりません。ところがその際に障壁となっているのが英語です。

実をいえば、私自身も英語は未だにあまり話せません。こちらに来て5年目になり、相手が話していることの意味は何となく聞き取れるようにはなりましたが、海外で仕事をしていながら、これだけ英語ができない日本人は私くらいではないでしょうか(笑)。私は周りのスタッフが全員、英語ができるので、どうにかやってこられましたが、もし自分で英語ができたら、もっと速くビジネスを軌道に乗せることができたかもしれないし、もっと世界中のキーパーソンと対等に、深く付き合うことができたかもしれません。

そんな思いから立ち上げたのが、オンライン英会話スクール「イーフレンド」と英語学校「NILS」の事業です。「イーフレンド」は、日本在住の日本人受講生がフィリピン在住のフィリピン人の講師から、スカイプを使って遠隔で英語の指導をマンツーマンで受けるというものです。また「NILS」はフィリピンのセブ市内の中心にあるITパークの中に開設した英語学校で、日本人留学生は1週間から半年の留学期間中、英語漬けの生活を送ることで英語の上達を目指します。

英語学校というと、欧米ではグループレッスン中心であるのに対し、「NILS」をはじめとしたフィリピンの学校では、基本的にマンツーマンで指導を受けることになるので、留学生は短期間で英語力が相当鍛えられます。また学校のあるITパークは、IT系の企業を誘致するために開発されたエリアで、アメリカのシリコンバレーを彷彿させる街並みと治安の良さ、24時間営業している飲食店が多数あるのが売りです。そしてもちろんセブ島ですから、休日にはアジアンリゾートが楽しめるのも魅力。しかもフィリピンなら、欧米に留学するのと比べて費用も安く抑えることができます。

そうした点が評価され、最近では日本の大学や専門学校と単位認定に関する提携を結ぶケースも増えました。これは学生が「NILS」に留学して英語を学んだ場合、それを大学や専門学校の単位として認めるというものです。

千葉 栄一

Profile

1970年埼玉県生まれ。
高校の同級生と中古車の輸出事業を始めたのが軌道に乗り、2009年12月にフィリピンのセブ島でJapan Intertrade Callcenter Corporationを設立。

「日本の教育や文化を世界に! また世界で通用する教育を日本に! 」を志しビジネスを展開。負けず嫌いな性分で、仕事も遊びも全力で取り組み「遊びはいつでも300%全速力で!」をモットーにしている。なんでもできると自分のモチベーションを常に高く持つことを意識し、今後は事業を通じてもっと社会に貢献できる会社にするべく日々邁進している。

Contact

Japan Intertrade Callcenter Corporation

Unit 503-C, TGU Tower, Asiatown, I.T. Park, Salinas Drive, Lahug, Cebu City 6000, Philippines
EMAIL : chiba@nilsph.com
URL : http://jicc.asia/

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