自分たちが面白がれることを発信する

面白法人カヤック 代表取締役 柳澤 大輔

柳澤 大輔Daisuke Yanasawa

面白法人カヤック

代表取締役

2015.10.05

話題になるコンテンツを作り続ける

当社は大学の同級生3人で設立した会社です。学生時代から3人で会社をやるということだけ決め、卒業後に私は2年間サラリーマンを経験、1人は大学院、もう1人がアメリカを放浪した後に集結しました。半年くらいはどんな会社にしたいかを考えましたが、何をするかという肝心な話はほとんど出ないまま、とにかく設立しようということで始めたのが「面白法人カヤック」です。会社全体をあげて「面白い」ことを目指す企業です。

何をもって「面白い」とするかですが、実はこれも話し合ったことがありません。私は会社という組織を面白くすることに興味がありますが、他の2人はまったく異なり、1人は面白い何かを作ること、もう1人は面白い人に惹かれるようです。

ただ、「いろいろなことを面白がれる大人になりたい」という思いは学生の頃から共通していました。まずは自分たちが面白がることで、面白いものは生み出されるという考えからです。それを多くの人が「面白い」と言ってくれれば、自分たちが認識している面白さに自信が持てますので、また違った面白さを発信できます。
「面白さ」はとても広義な価値観ですから、当社から「そんなのもアリなんだ」といういろいろなアイデアを発信することで、世の中をもっと面白くして社会に貢献したいと思っています。

具体的に何をしているかというと、インターネット上のコンテンツ、つまりゲーム、アプリ、広告などの制作です。組織として特徴的なのは、当社は職種を絞っており、コンテンツを制作するクリエイターが9割を占めます。会社としては人材が偏りますが、偏ったがためにできる面白い評価制度や働き方などがあると思い、あえてそうしています。

そして、面白く働くことに徹底的にこだわり、面白く働くことで結果面白いコンテンツを生み出す会社を目指しています。たとえば、過去に展開した建築家が何千人も登録しているコミュニティと、家を建てたい人とのマッチングを図るサービス。あるいは、数千人規模の画家を集めて作品の値段を面積で決めるオンラインショップ。これらは競合がいないユニークなサービスであり、しばらく運営した後に他社に譲渡しました。自分たちがずっと運営するのではなく、ある程度育ったらより伸ばすために誰かに手渡す。そういう孵ふ化か的な部分を担うのも、「面白法人」の役割ではないかと思っています。

当社は昨年12月に東証マザーズに上場を果たしました。自分たちが面白いと思うものが、末永く「面白い」と言ってもらえるよう、さらに努力していくつもりです。

胆力が必要なクリエイターという仕事

当社のクリエイターにはディレクター、デザイナー、エンジニアの3職種があります。構成はディレクターとデザイナーが2割ずつ、エンジニアが6割。半分以上は新卒で入社しています。

採用するのは、これまでに何かを作ってきた人が中心になります。「クリエイターが天職だ」と言う人が集まれば、働いていて楽しくなるだろうという単純な理由です。

作ってきたものをみてその人の人となりや、考え方を知ろうとします。

ビジネスをする時、何かを売るための話術や交渉術など、コミュニケーションのうまい人が、仕事ができるという評価になります。しかし、クリエイターは、テーマと向き合って作るという作業をコミュニケーションにしている人たちです。世の中にないものや必要なものを形にできる人はそう多くはありません。直接的に「ビジネスができる」というわけではありませんが、彼らは非常に重要な役割を担っていると思います。

なかには社会的な常識にやや疎い人もいますが、当社ではそういうことも個性の一つとしている会社ですので、「社会人らしく」と強制はしません。「大人になる」「社会的な責任を負う」といったことは順番の問題でしかなく、いずれは誰もが身につけていくものです。それを就職したからといって一度に強要するとその人にとってよくないケースもあります。

作るものを突き詰めない人間は厳しい評価になりますが、それ以外については後から身につければいい。一般的な会社とは、教育の時間軸が逆なのです。

実際、作ることに対するクリエイターのしつこさは相当なものです。当社では毎年エイプリルフールに嘘をつき続けていますが、17年間もやっているとだんだんネタが尽きてきます。それでも毎年新しいアイデアを出すことへの執念やしつこさは絶えません。

新たなもの、話題性のあるものを生む時には、胆力も問われます。何かを発信して話題になるということは、必ず人から評価を受け、時には辛辣な批判を受けることもあります。また、こちらが意図せず誰かを傷つけてしまうこともあります。しかし、そうやって自分が生み出したものを通して市場と相和することで、成長します。

これはどんな仕事にも言えることかも知れません。仕事をすること=評価されることですので、多くの人は高評価を狙っていきます。しかし、他人の評価を気にしすぎると面白く働けません。ベースは自分が楽しむことに置いて、評価はあまり気にしすぎない方がいいように思います。そうしないと、仕事がただの苦痛でしかなくなります。

柳澤 大輔

Profile

1974年、香港生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、ソニー・ミュージックエンタテインメントに入社。1998年、学生時代の友人とともに面白法人カヤックを設立。鎌倉唯一の上場企業として、オリジナリティあるコンテンツをWebサイト、スマートフォンアプリ、ソーシャルゲーム市場で幅広く展開する。
ユニークな人事制度(サイコロ給、スマイル給、ぜんいん人事部)や、ワークスタイル(旅する支社)など、「面白法人」というキャッチコピーの名のもと新しい会社のスタイルに挑戦中。
著書に「面白法人カヤック会社案内」(プレジデント社)、「アイデアは考えるな」(日経BP社)などがある。

Contact

面白法人カヤック

鎌倉本社
ヨコハマ展望台オフィス ※住所はウェブで。
http://www.kayac.com/

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