
「楽しく働く」をモットーに最速で支店長へ。直感を信じ、女性のキャリアモデルを体現。
世界を変えるのではなく、周りにいる人を一人でも多く助けられる——
そんな会社でありたい
株式会社YONOHI(現:株式会社TSUTA‐WORLD)
代表取締役
山岡 優樹 / Yuki Yamaoka
「世のため人のため、世の光になるように」という想いを込めて名付けられた株式会社YONOHI。創業日は令和元年の最初の平日で現在3期目を迎えている。「最初」を狙ってその日に創業しました、と代表取締役の山岡優樹は笑う。
「創業時はシステム開発が主事業でしたが、自分の中でずっと温めていた『BtoB向けの説明用アニメーション動画制作』の事業を立ち上げ、爆発的に業績を伸ばすことができました」
製品やサービスなどの「分かりにくいもの」を3分以内のアニメで表現し、誰にでも分かるように伝える。それが同社の主力サービス「TSUTA-WORLD(ツタワールド)」だ。テレビ番組の第一線で経験を積んだ構成作家と協業し、抜群のシナリオを提案する。
現在TSUTA-WORLDの顧客数は、ITや金融、不動産、先端医療など幅広い分野で270社を超えているという。
「伝わることが一番大事。人は分かりにくい説明を聞いたとき、90%がネガティブな印象を抱くという研究結果が出ています。アニメに限定しているのも、実写より理解度が約15%上がるというエビデンスがあるからです。
どんなに良い商品やサービスでも、良さが伝わらないと商談はまとまらず、相手にとって本当に必要な商品であっても片想いで終わってしまいます。属人的な説明力に左右されず、伝わる商談を可能にする。TSUTA-WORLDはお客様と自社とをつなぐ、ラブレターのようなツールです」
山岡は起業直前まで、ある映画製作会社でCIO(最高情報責任者)としてITへの投資や戦略立案を担当していた。
「IT担当とはいえ専門家ではありません。そんな私が技術的な投資案件を社内に持ち込んでも、その投資対効果や有用性を伝えられるわけがなく、当時の社長から『1分くらいの説明動画ないの?』と聞かれました。そこでふと、同じように感じている人は世の中にたくさんいるんじゃないかと気付いたんです。動画事業の着想を得たきっかけでした」
説明用に特化し、ニッチなマーケットに限定して実績を重ねたことが功を奏し、日本一の説明用アニメ動画制作会社としてテレビやメディアで紹介されるようになった。
パンデミックの脅威が現実味を帯びつつあった2019年末。折しもそれは、山岡がシステム開発から動画事業へと大きく舵を切ったタイミングだった。
「立ち上げたばかりのTSUTA-WORLDが、今まさに世の中に必要とされる状況になったと確信しました。外に出られず人と会えない、そんな中でも人々のつながりを作る助けになると。
一般的にオンライン商談では成約率が下がり、リアルでの商談と比べると7割しか伝わらないといわれています。それだけ伝えることは難しい。ですが、そこに動画を加えれば残りの3割が補完できるんです」
山岡の確信は、動画そのものの強さだけでなく、自身の働き方にも裏付けられていた。
「10年ほど前から、生まれ故郷の北海道を拠点にフリーランスのデザイナーとして活動していました。当時はノマドワーカーといって場所を選ばずに仕事ができる働き方が注目されており、私もそれが性に合っていたんです。だからYONOHIも創業時からフルリモート。他社に先駆けて、コロナ社会に適応することができました」
手応えを感じたのは、コロナ禍で開始した採用活動だった。
「日本全国から、実に1,600人を超える応募がありました。何の実績もなく、まだ2期目の私一人しかいない零細企業の募集に多くの人が興味を持ってくれた。新しい働き方が求められていると痛感しました」
採用した社員たちからは、リモートワークへのさまざまな想いを聞くことができたという。親の介護で在宅勤務しかできない人、家族との時間をもっと持ちたいという人、コロナをきっかけに自分にとって本当に良い人生とは何かを見つめた結果リモートを選んだ人。十人十色の事情や考え方があることを知った。
また豊富なリモートワークの経験は、TSUTA-WORLDの商品設計にも大きなプラスになっている。
「弊社ではバングラデシュの企業と連携し、オフショアで動画を制作しています。言語も価値観も異なる相手と、非対面でいかにして意図を正しく伝え、日本人の心に響くアニメーションを制作するか。そこには膨大な改善工夫の蓄積があり、他社がまねできない独自のノウハウになっています。また、オフショアにすることで制作料金を他社の3分の1以下に抑え、価格競争力でも優位性を持つことができました」
動画事業のヒットと採用の成功で、2020年度の売上は前年比11倍という飛躍的な成長を遂げた。顧客に提供した動画も閲覧数・閲覧時間ともに伸長したという報告が次々と届き、コロナ禍によるマイナスは、ほぼなかったという。
「どんな状況にあっても、周りにいる人の役に立てるように全力を尽くし続けていれば、結果的に自分自身を助けることにもつながる。それがコロナ禍で得た気付きです。お客様を幸せにしたいなら、まずは従業員を幸せにしなければ。
私は『会社の中では社長が一番下』だと思っています。謙虚に、社内の誰よりも多く働き、従業員のために奉公する。それによって従業員が幸せになれば、自ずとお客様のことにも本気になれると考えています。結果として、会社の売上にもつながっていくわけです」
山岡が従業員を大切にするのには理由がある。かつて、自分の強引なマネジメントが部下たちの反発を招き、立場を追われた経験があるからだ。
「会社のためにと思い行動していたことが、いつしか部下たちに対する敬意も忘れていて、高圧的なマネジメントになっていました。彼らが声を上げるまで、自分が信頼を失っていることに気が付かなかったんです。自業自得とはいえ、非常につらい経験でした。自分が傲慢になると部下の士気が下がり、仕事のクオリティーも落ち、いずれは自分に跳ね返ってくる。これは真理です」
現在、山岡は組織のリーダーたちに実務の裁量を委ね、自身は大局に立ってマネジメントをしている。採用から1年以上をかけて、自分で考え、行動できる自律的な組織づくりに取り組んできた。
「リーダーたちには細かい指示は一切していません。『世のため人のため、世の光になる』というグランドミッションを丁寧に伝えながら、彼らがモラルを持ち、適切な判断を下しているかどうか、そのバランス感覚を注意深く見ています」
自身に報告すべき事案を、リーダー自らの裁量で決めてしまうことがないように、ある一定のラインを引いていると山岡は話す。それさえ守ってくれれば、あとはすべてリーダーの判断を尊重しているという。リモートでも日常的なコミュニケーションは取れており、バランスの良いマネジメントが実現できていると自信をのぞかせる。
「これからも非接触型のコミュニケーションだけで売上や利益を上げ続け、物理的な壁を突破できるビジネスを仕掛けていきたい。YONOHIが、動画を起点に企業のDXをあらゆる側面からサポートし、成長を後押しする存在になる。それを『Video DX』というコンセプトで打ち出しています」
Video DXの軸は「つくった動画をどう活用するか」にある。つくって終わりではなく、「どう使われ、どう役に立つか」までの責任を負いたいと山岡は考えている。制作後の利活用までをしっかりとサポートすることで、生きた動画として売上につなげることが可能となるのだ。
「多くのお客様は動画をどう使うか、1〜2つ程度のアイデアしか持っていません。動画を展示会で使ったら、あとはホームページに載せるくらいしか思いつかないんですね。しかし、実際にはさまざまな活用法があります。例えば、営業先の資料にしたり、応接室のディスプレイで再生したり、メールの署名欄にYouTubeのリンクを貼ったりなどです。些細なことかもしれませんが、これらを実行するだけでもしっかりと効果は出ます。動画はメールやWebサイトに埋め込むことも簡単にできますし、SNS等でもインプレッションを獲得しやすいんです。
弊社では動画とデジタル広告やLPとを組み合わせるなど、より成果を上げるための施策も提案しており、お客様のマーケティングを入口から出口までトータルサポートしています」
ポストコロナ時代は、オンラインとリアルのハイブリッド型が当たり前になる。そのニーズに応えるべく、YONOHIは2022年5月に「株式会社TSUTA-WORLD」へと社名を改め、「動画ソリューションカンパニー」として、より多種多様な動画の利活用を提案しながら、お客様に貢献していくことを目指す。
「弊社がコロナ禍でも業績を上げられたのは、ただの結果に過ぎません。今までどおり目の前のことに地道に取り組み、Video DXを追求していくのみです。YONOHIが目指すのは、世界を変えることではなく、周りにいる一人でも多くの人を助けること。世のため人のために役立てる、世の光のような存在になれるよう、これからも突き進んでいきます」
公開日:2022年3月31日
凸版グループ トッパン・フォームズ株式会社出身(東証1部)。
同社新人賞を受賞、国内大手のポータルサイトでデザイナーとして参画。
マイクロソフトをはじめとした、大手企業のプロジェクトに参加。
国内中大手の語学教室にてWebプロデューサー兼統括マネージャーに就任。
web制作プロジェクト参加数200以上。
動画制作プロジェクト参加数270以上。
CNN ee出版 オンライン英会話の特集6ページを監修・執筆・掲載。
動画DXに関するセミナー主催。
理解力特化型動画ブランド「TSUTA-WORLD」運営。
売上・集客UP特化型資料ダウンロードメディア「TSUTA-MARKE」運営。
株式会社YONOHI 代表取締役就任。
株式会社アジアピクチャーズエンタテインメント 取締役CIO。
※ほか 顧問会社複数、各種メディア取材掲載、登壇、デザインコンテスト受賞有
Contact
東京都渋谷区恵比寿南1-1-1 ヒューマックス恵比寿ビル 8F
インタビュー・執筆:安部亮多/編集:佐々木久枝、室井佳子
撮影:後藤敦司
「楽しく働く」をモットーに最速で支店長へ。直感を信じ、女性のキャリアモデルを体現。
「人」「食」「社会貢献」を起点にビジネス総合力を身に付け、即戦力として活躍
BtoB特化のマーケティングと営業DXという希少価値の高い領域で 企画から実装まで手掛けるプロ集団
文化とコミュニケーションの発信を通して、心が豊かになる時間を生み出す
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