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ストーリー代表・CEO

夢や人生を表現する唯一無二のスーツ 魂をこめた1着でビジネスを成功へ導く

代表_muse

1000人以上のエグゼクティブから
「ヴィクトリースーツ」として支持を集める

オーダースーツ本来の理念を追求する
日本初の女性テーラー

株式会社muse
勝 友美 / Tomomi Katsu
代表取締役

着る人の夢、目標にフォーカスした他にはないオーダーメイドスーツ

東京・六本木にあるオーダーメイドスーツ専門店「Re.muse」。この店のスーツは「ヴィクトリースーツ」と呼ばれる。店が銘打つブランド名ではなく、そこでスーツを仕立てた顧客たちがいつの間にかそう呼ぶようになった。

そして、2018年2月、Re.museのスーツはミラノコレクションの舞台に立った。ミリ単位にこだわった緻密な採寸と縫製、ボディラインを美しく見せる補正技術が認められ、「モダンとクラッシックの融合」をコンセプトとした日本の有名デザイナーとのコラボレーションが実現、ブランドとして飛躍のときを迎えた。

運営会社である株式会社museの代表取締役を務めるのが勝友美だ。日本初の女性テーラーとして創業以来、1000着以上のスーツを仕立ててきた。

緻密な採寸とボディラインを美しく見せる補正技術、ヨーロッパから仕入れた最高級の生地を用いたクオリティの高いスーツづくりが好評。数少ないレディーススーツの仕立ても行っている。顧客のほとんどは「『Re.muse』のスーツを着ると、ビジネスがうまくいく」という噂を聞きつけた経営者や個人事業主、大手企業の営業担当者たちだ。顧客からの紹介も多い。

オーダーを受ける際、勝は必ず、約2時間かけて「スーツを仕立てる目的」をお客様からじっくりヒアリングする。

「『なぜ、スーツをつくるのか』という目的を伺うことで、その方の『なりたい自分』を知ることができます。今の仕事を選んだ理由や、現在のポジションについて問いかけると、仕事への思いや、夢を語って下さるようになります。話をしているうちに、いつの間にかみなさん、マインドセットに至り、私の目の前で仕事への覚悟を決めていかれるんです」

ある時、顧客の1人が「彼の服装を何とかしてやってほしい」と部下を伴って来店した。連れられてきた青年は、営業成績が伸び悩んでおり、服装にも無関心、私生活にも気のゆるみがあったという。勝は青年との会話のなかで、「トップセールスマンになりたい」という彼の本心を引き出した。

童顔が魅力的な青年だったが、あえて光沢のあるリッチな生地を選び、堂々とした印象を与えられるようなスーツに仕上げた。身だしなみや立ち振る舞いについてもアドバイスした。そのスーツを纏った自分の姿に自信をつけた青年は、1年後トップセールスマンとなる夢を叶えた。

経営者がスーツをあつらえる時は、事業拡大や採用強化など、ビジネスのステージが上がるタイミングが多い。それまでラフな服装を好んでいた社長でも、会社のフェーズにふさわしい装いが必要になる。仕事における人脈も出会う人も大きく変化するからだ。その人の魅力を最大限に引き出すため、勝は生地の微妙な色合いや織地の微差にこだわる。

「例えば、派手に見られがちな方には、織地に個性のあるマットな生地を提案します。クラッシックな印象を与え、誠実感をアピールすることができるからです。童顔の方には高級感のある生地、おとなしい雰囲気の方には光沢のある生地など、ご本人がコンプレックスと感じている部分をカバーし、理想とするイメージに近づけるよう時間をかけて選び出します」

一般的なオーダースーツは完成までを約100工程ほどで済ませるところ、Re.museのスーツは約400工程をかけてつくられる。ミリ単位で採寸し、体型にフィットさせるための細やかな補正を何度も行う。細部に渡る採寸指示がびっしり書き込まれたオーダーシートは、国内最高峰の技術を持つファクトリーに送られ、手作業による生地裁断を経て縫製される。わずか数ミリにも妥協せず、完璧なサイジングでつくられたスーツは、日常動作をも美しく見せる。

「流行や似合う、似合わないといった基準ではなく、人生のステージにふさわしいスーツを提案することを大切にしています。スーツと自分の理想像が融合することで、お客様の未来を叶える1つのスタイルとなるからです」

 

アパレル販売員から日本初の女性テーラーへ

兵庫県に生まれた勝は、3歳で病に倒れ、以後入退院を繰り返す少女時代をおくった。学校のスポーツ行事には参加できず、同級生の輪から外れて見学していることが多かった。

明朗な勝は多くの友人に恵まれたが、やりたいことができない自分に葛藤を抱える子どもだった。病気の不安から、将来の夢やビジョンが描けず、周囲を客観的に俯瞰していることもあった。この経験が、人に対する鋭い観察眼や洞察力を育てたようだ。

ファッションへのこだわりは幼少期から強く、小学校低学年で「恰好悪いから」とランドセルをやめ、鞄で通学した。洋服には自分の好きな布を縫い付けてオリジナリティを出した。思春期になると、制服のスカートを丈違いで6着揃え、日によって異なる着こなしを楽しんだ。同じ生地でも僅かな長さの違いで、印象が変わることに気付いていたのだ。

幸い成長とともに病は回復し、高校では学生らしい生活を謳歌することができた。卒業後は短大に進学、20歳で大好きなファッション業界へ就職した。

レディースアパレルの販売員として大手百貨店に配属され、その日にトップセールスを獲得。子ども時代から培った観察力とファッションセンスで、お客様の求めるものをいち早く察知し、提案できたからだ。早々にリピート客を掴み、入社1カ月で副店長に就任した。

入社3年目、売上No.1販売員として活躍していた勝は、ヘッドハンティングを受ける。スタイリストとして海外向けに日本のファッション市場を紹介する仕事だった。新規事業のスタートアップメンバーであることにも魅力を感じ、オファーを受けた。

ポータルサイトでメインモデルを務めながら外国と日本をファッションで繋ぐ仕事は、多忙ながらもやりがいがあった。しかし、経営会議や交渉の場に度々同席を求められるようになり、スタイリスト職との乖離に疑問を抱く。同時期、病気の父の看病のため、東京と地方を往復する日々が続き、心身ともに疲弊が重なった勝は仕事を辞めた。

その後、事務職に就くも1日で退社。「やっぱりファッションの仕事をしたい」と心を決めた。勝は、販売員時代に得られなかった採寸や縫製の知識を取得するため、縫製業界を目指し、工場直営のオーダースーツ専門店に再就職した。ところが、店舗では完全にマニュアル化された接客と、必要最低限の採寸を推奨され、効率が重視された。

「オーダーメイド専門店なのに、お客様と向き合っていないと感じました。これではお客様を輝かせるスーツをつくることはできない。ファッションは身に着けたときに、心が躍るものであるべき。私がオーダースーツ本来の理念を復活させる!と決めたのです」

店舗スタッフや責任者が次々と辞めていくなか、勝は1人になっても運営に取り組んだ。

補正やサイズ調整の技術を高めるため、試行錯誤しながら試作品の製作を繰り返した。全顧客のオーダーシートを過去に遡って目を通し、サイジングについて徹底的に研究した。同時に生地ブランドの歴史も幅広く学んだ。的確に生地を提案できるようになるため、終業後は夜間の色彩スクールに通い、パーソナルカラーリストの資格も取得した。

知識と技術に確信を得た28歳のとき、専門店を退職し、大阪・淀屋橋に「Re.muse」の前身となる、念願の自分の店「muse style lab」をオープン。ところが、開店直後から売上がたたない日が続いた。経営者が若い女性というだけでバッシングされることもあった。顧客開拓のため、企業の社長に会いに行ったり、ビジネス交流会へ積極的に参加したりしたが、なかなか受注に至らない。交換した名刺をもとに、毎日電話営業をかけ続け、少しずつ来店予約が埋まるようになった。

そして、勝のスーツづくりに対するポリシーを曲げない姿勢が、次第に顧客から大きな信頼を集め、1年後には他の有名テーラーと肩を並べるまでに成長した。

大規模な事業展開は考えていなかったが、工場関係者から、東京進出を嘱望されるようになった。悩み抜いた末、大阪の店舗を信頼するスタッフに任せることに決めた。スーツを仕立てる上での考え方、技術面、顧客のサポートなど、勝が積み上げてきたもの全てを1年かけてスタッフに引き継いだ。勝にとって、店を任せることは、必死でついてきてくれたスタッフへの愛情表現でもあった。そして2016年3月、勝は東京で新たな店舗をオープンする。

 

テーラーメイドの技術継承とともに、100年続くブランドでありたい

勝の究極の目標は、100年後も「Re.muse」がブランドとして存続していることだ。敬愛するココ・シャネルのように、創始者として会社とブランドに自分の生き様を残すのが夢だ。

「服を通じて、人の心に影響を与える人になりたい。自分の心と向き合い、魂を込めたスーツを仕立てる場所として、『訪れることに価値のある店』になっていきたいです。目に見えない『想い』をスーツで表現して、個人と世の中の発展に貢献していきたいと思っています」

勝は微細な補正技術を持つ女性テーラーとして、職人の縫製技術を伝承していく役割も担う。海外に工場を持つブランドも多い中、高い技術を持つ国内縫製を守ることも勝の使命だ。 また、テーラーの仕事を通じ、女性が活躍できる場をもっと増やしたいと考えている。テーラーは専門職であり、技術を身に着ければ、女性も長く活躍できるからだ。

オーダー中に語った想いがスーツに宿り、袖を通すたびに、自らを奮い立たせる原動力となる―。それを実感した顧客たちが「ヴィクトリースーツ」と呼ぶようになったのだ。

勝が仕立てるのは、着る人の夢や目標、生き方をも表現する『魂を込めたスーツ』。勝はこれからも、成功を目指す人々の“muse(女神)”であり続けるに違いない。

 

リスナーの目線

元モデル、スタイリストという華麗な経歴を持ちながらも、スーツについて語る瞳は情熱に溢れ、お客様への愛がひしひしと伝わってきました。病に悩まされた幼少期をへて、夢を掴んだ勝社長だからこそ、「本気で挑むこと」の大切さを誰よりも知っているのでしょう。「勝友美」という名のとおり、顧客と友好な関係を築き、スーツを通じて勝利へ導く、まさに“美の女神“そのものでした。

インタビュー・編集/垣畑光哉青木典子、高橋奈巳 撮影/出島悠宇

Profile

兵庫県宝塚市生まれ。神戸松蔭女子学院大学短期大学部卒業。

人生の三分の一をファッション業界で生きる。 一販売員から始まり、国内外でのスタイリスト経験を経た後、テーラーの世界へ転身。28歳で自社ブランド「muse style lab」を立ち上げ、独立。 「夢を叶えるオーダースーツ」として多くのエグゼクティブより支持を受け、現在に至る。2017年6月、ブランド名を『muse style lab』改め『Re.muse』へ改名。著書に『営業は「バカ正直」になればすべてうまいくいく!』(SBクリエイティブ)がある。2018年2月、『ATSUSHI NAKASHIMA』とコラボレーションし、ミラノコレクションに出展。

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