
病院を飛び出した理学療法士が鳥取県でつくる「つながり」
株式会社秋葉牧場
観光本部長
鈴木 卓 / Taku Suzuki
観光本部の部長として観光全般の業務を統括しています。観光に携わる各成員の成長をサポートし、部署間の協働を促すことで、観光本部全体として「成田ゆめ牧場ならではの価値」を創出し、お客様にお伝えできればと考えています。企画広報的な立ち位置から、社外に新しいコンテンツで成田ゆめ牧場の魅力を伝えていくことも大事な仕事です。
今、秋葉牧場は組織面でも施設面でも大きな転換期を迎えていますが、会社の基本にあるものは当初から変わりません。2022年に創業135周年を迎える酪農業をベースとし、その上で観光や製造を展開する「成田ゆめ牧場だからこそ」の体験や製品を提供できればと願っています。
「観光業のプロ」である以上、お客様にお支払いいただいた料金以上の価値を提供するのが責務です。「お客様に喜んでいただくことが、自分の楽しさや喜びに転化される」ことが大切だと思います。
今は現場で仕事をする機会もだいぶ減ってきましたが、以前は前線でお客様と接する仕事をしていました。たまたま移動店舗へ出張した際に、成田ゆめ牧場を訪れたことのあるお客様から、「鈴木さん!」とお声をかけていただきました。あの時は本当にうれしくて、意外に覚えてもらっているものだと驚きましたね。
その経験から、「我々にとっては日常で、多数のお客様中のお一人様への対応であっても、各々のお客様にとっては特別な一日なのだ」と痛感しました。ともすれば不愉快な気持ちを抱く、サイレントマジョリティの方もいるかもしれないと気付き、もっと自分たちの振る舞いに気を引き締めようと行動の指針になりました。
もともと文章を書くのが好きで、秋葉牧場の求人欄にあった会報誌の編集業務という言葉に引かれて応募をしました。東京に住んでいたので、動物に囲まれながら牧場で働くのもいいなという楽観的なイメージも当時はありましたね。
先代の社長に面談をしていただいたのですが、「包容力や温かみのある方だな」と感動したことを今でも覚えています。また、直属の上司がとてもエネルギッシュな方で、知識や経験が豊富にありながらも、よい意味で型にはまらないアイデアマン。「やってみなよ」と背中を押してくれるような存在で、のびのびと仕事ができる風土がありました。
成田ゆめ牧場では20年続いている「穴掘り大会」というイベントがあるのですが、なかなかほかにはない企画だと思います。アイデアを吸い上げて面白いと評価してくれる環境があったことも、私には居心地がよい職場だと感じました。
成田ゆめ牧場が、お客様に「体験というリアルな価値を味わっていただける場」であり続けたいです。万事が便利でバーチャル化されていく時代ですので、実際に自らの手で触れて温かみを感じる体験は、これからますます貴重なものになるでしょう。
極端な話かもしれませんが、「どんな牛でもお乳を搾りさえすれば、年中24時間、たくさんのお乳が出てくる」と思っている方や、「冷蔵ケースに並ぶ牛乳と同じように、搾りたての牛乳も冷たい」というイメージを持たれている方もいるんですね。本当はそうではないということを秋葉牧場で知っていただき、直に牛のお乳に触れて搾ることで、温もりを感じていただきたいんです。
これからの時代、情操教育はさらに大事になってくると思いますし、サステイナブルな側面もしっかりと取り入れて、教育的な観点にも結びつけていきたいです。酪農135年の歴史や自然という財産を最大限に活かし、お客様にどのようなご提案ができるか。まだまだ途上ですが、ほかの社員やパートスタッフとともに考えていきたいと思います。
公開日:2022年3月15日
インタビュー・執筆:大曽根桃子/編集:山田富美
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