
病院を飛び出した理学療法士が鳥取県でつくる「つながり」
株式会社秋葉牧場
運営管理部 部長
鈴木 卓 / Taku Suzuki
株式会社秋葉牧場で、運営管理部の部長を務める鈴木卓は、広報やイベントの企画・運営、キャンプ場の総責任者など、多岐に渡る業務を担当している。
2002年に中途入社したきっかけは、「通勤がつらそうな満員電車に乗る必要がなく、好きな動物に触れ合えること」に魅力を感じたからだ。それまで酪農未経験だったことから、得意な「執筆」を足がかりにして、同社でお客様向けに発行されていた「会報誌」の原稿作成の仕事に応募して入社した。
「会社側が酪農未経験の私にも役立てる仕事をつくってくれたことがうれしかったですね。秋葉牧場には社員にやりたいことをどんどん任せる『フレキシブルな雰囲気』があります。それは私が入社した18年前から、今でも変わっていません」
現在の部署に異動したのは2011年。イベント運営では、全社から募ったアイディアを1つの企画としてまとめ上げ、それを実行に移していく。今までには、日本であまり馴染みのない「春のイースター」を盛り上げようと、イースター島とかけた「モアイのイベント」など、オリジナリティあふれる企画で注目を集めてきた。
特に思い入れのあるイベントは、約10年間担当する『牧場体験親子スクール』。これは観光牧場とキャンプ場が併設されている「ゆめ牧場ならでは」のイベントで、キャンプ場でヤギと一泊しながら、いろいろな体験ができるというもの。動き回るヤギだけではなく、各回50名のお客様を引率する必要があり、イベント運用はハードルが高い。
「大きな責任を感じる責任感を感じるイベントでもありますね。以前、街中でこのイベントに参加された方から、『鈴木さん、去年の夏は親子スクールでお世話になりました』と声をかけていただいたことがあって。そのとき、『一度だけ担当した私のことを覚えていてくださるほど、お客様にとって強く印象に残る、大切な思い出になっている』と改めて実感しました」
リピーターが多く、数年間、何度も顔を合わせる親子は少なくない。顔を見て、「鈴木さん!」と駆け寄ってきてくれる子どももいる。5〜6年間参加しイベントを卒業することになったお客様からは「ありがとうございました」と菓子折りを贈ってもらった。お客様家族の成長を見守った先で、そのような感謝の気持ちをもらえることが、この仕事のやりがいだ。
「これからもこの場所は、牧場であり続けたいと思っています。だからこそ、あくまでも『酪農』をベースとしながら、新しいことに挑戦していきたい。集客のためにとアイドルを呼ぶのではなく、動物に触れるなどの『牧場だからこそできる企画』でお客様に喜んでいただきたいのです。そして、たくさんのイベントを通して、デジタルの動物育成ゲームでは実感しにくい『命の尊厳』に気付けるような、道徳教育の役割を果たせる場所を提供していきたいと思っています」
インタビュー・編集:流石香織、西野愛菜/撮影:鈴木愛子
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