
「楽しく働く」をモットーに最速で支店長へ。直感を信じ、女性のキャリアモデルを体現。
世の中の「あったらいいな」を
「あってよかった」に
「情報を集約し、見やすく整理して届ける」
強みを活かし、採用支援・就活支援を展開
ニューインデックス株式会社
津田 武/Takeru Tsuda
代表取締役社長
「武器は自らの発想力」「未来を本気で考える」「夢は日本一の参謀」-。
そんなキャッチフレーズとともに、学生の写真とプロフィールがずらりと並ぶ採用サイトがある。『ガクセン』だ。リクナビやマイナビなど学生が企業にアプローチするサイトとは違い、『ガクセン』では、企業から学生にアプローチする。
同サイトを運営するのがニューインデックス株式会社。代表取締役社長の津田武は、サービスが生まれた経緯をこう話す。
「従来型の採用サイトでは、知名度やブランド力の高い企業に閲覧・応募が集中する傾向にあります。結果、中小・ベンチャー企業はどんな優良企業であっても、成長可能性を秘めていても、学生に見つけてもらえない。一方、学生側に目を向けると、大手企業に応募しても、実力があるにも関わらず、学歴フィルターにかけられて書類選考を通過できないケースも多い。そんなアンバランスな状況を何とかしたかったんです」
『ガクセン』とは「学生選抜」の略だ。選抜された優秀な学生が常時400~500名掲載されている。プロフィールの詳細は活動歴や身に付けた力など3,000字に及ぶボリューム。一人ひとりの学生に2時間かけて取材を行い、制作されている。
「『優秀』の指標は学歴ではありません。自発的に考えることができ、行動にまで移せる勇気を持っているかどうか。100人中3~4名ほどしかいない、一握りの人材です。ですから優秀な学生がいると聞いたら、新幹線に乗って会いに行くこともあります」
ニューインデックスが定義する優秀な学生は2種類。「自己成長型」「トラウマ克服型」だ。自己成長型は自ら何かを計画し、実行、フィードバックまで行うことで、成長していくタイプ。学生団体をリーダーとして立ち上げたり、興味ある企業に自らアプローチしてインターン経験を積んだりするようなタイプだ。トラウマ克服型は、過去のトラウマを乗り越えたことで、ストレス耐性や問題解決能力が備わっているタイプ。「小さい頃に両親を亡くし金銭的に苦労した」「以前は学力が低かったが、努力の結果、優秀な大学に進学できた」……などの経験を持つ。
どちらにも共通しているのは、自ら行動を起こし、苦労を経験し、そこから這い上がる知恵や術を身に付けている点だ。
ガクセンに登録されている学生のプロフィールはバラエティに富む。「天皇皇后両陛下の前でプレゼンテーションを行った」「カンボジアで学校建設に携わった」「レスリングの全国大会で優勝した」「12ヵ国語が話せる」――そんな「キラリと光る」経験を持つ学生のみが選抜されている。
魅力的な学生に出会うチャンスがあるとあり、『ガクセン』は大手企業にも利用されている。しかし、ある企業は、利用する前はまったく期待していなかったという。その企業は例年1,500名のエントリーが集まる東証一部上場企業。採用に至るのは東大、京大、早慶レベルだった。採用担当者は「やっぱり学歴だ」、津田は「学歴じゃない」と、押し問答の結果、試しに社長とガクセン登録学生4名のランチ会を設定してもらうことになった。参加学生はMARCHクラスかそれ以下の学歴。会食を終えると、その日の夕方に電話があり「全員採用したい」と請われたという。企業が未来の可能性を感じられる学生が、ガクセンには集まっているのだ。
「会社経営が一番おもしろい」。
津田が経営者を志したきっかけは、父の言葉だった。津田の父は自衛隊員、ケーキ職人を経てソフトウェア会社を設立した、異色の経歴の持ち主。しかも、一度は倒産の危機に落ち込むもV字回復させ、JASDAQ上場まで果たしている。
そんな父の影響で、起業を意識したのが中学時代。しかし高校からいきなりつまずくことになる。落ちこぼれとなり、テストで0点はざら。進学校内とはいえ偏差値15、同学年440人中のビリ、という時期もあった。しかし津田には、不可能を可能にするメンタリティが備わっていた。「大学進学はやめておけ」と先生に言われ、一念発起する。
一旦スイッチが入ると、とことんやるタイプ。志望大学の赤本を300回繰り返して勉強する一点突破の勉強法を実行した。視力が2.0から0.01に落ちる代償はあったが、法政大学への入学を果たした。
経営者になる夢へは、大学時代に出会ったインターネットが導いた。SNSもグーグルもない時代だが、個人が趣味や特技を活かして運営するユニークなサイトが溢れていた。大学にはほとんど行かず、毎日18時間はパソコンの前にいたという。特にハマったのが、あらゆるジャンルのサイトを集めたリンク集の制作だ。面白いと思うサイトを集め、魅力のポイントについて一つひとつ説明書きを付けた。
「Yahoo!を超えるようなサイトを作ろうと本気で思っていました。3ヵ月ぐらい睡眠も疎かにするほど熱中していましたね。結果、7,000サイトを集め、国内トップ5に入るサイトに成長して、日に1万人以上のユーザーが訪れるようになりました。『サイトのおかげで助かりました』『役立っています』『ありがとう』。そんな言葉が、インターネットの先にいるユーザーから毎日届く。うれしかったですね」
このとき手応えを感じた経験が、創業から現在まで続く会社の理念『「あったらいいな」を「あってよかった」に』につながっていく。
大学在学中は、ポータルサイト運営で広告収入を得るほか、企業のWebサイト制作も請け負った。卒業すると「Webを本格的に学びたい」とアメリカに留学し、MBAカリキュラムを修了。当時、ポータルサイトの広告収入は年間1,000万円あり、起業資金はすでに充分だったが、帰国後は就職の道を選んだ。起業のためには、営業力を磨く必要があると考えたからだ。
入社したのは大手メーカー系列のシステムインテグレーター。ここでも「スイッチ」が入り、ガムシャラに働いた。当時はまだ労務管理が厳しくない時代とあり、早朝から深夜まで仕事に没頭。その姿勢が認められたのか、重要な案件を任され、30億円超の売上達成を果たした。
「体力的にもきついし、仕事の内容も難易度が高い。でも、あきらめずに頑張り続けていると、あるとき限界を超えるんです。若いうちは、その経験をすべきときがある。だから、入社から3年は辞めちゃだめだと思っています」
「守破離(しゅはり)」という言葉がある。武道や茶道、芸能における修業過程を表すもので、「守」は師の教えを守って基本の型を身に付ける、「破」は型を破って発展させる、「離」は独自の新しいものを生むことを指す。「守を徹底的にやりきることで、破・離へと成長できるのだ」と、津田は学生たちに伝えている。
営業として成果を挙げて自信を得た津田は、29歳で起業し、Webメディア事業に乗り出した。しかし容易には進まなかった。業績が上がらず、創業から半年後には倒産の危機を迎えたのだ。「己の力を過信し過ぎていたのかもしれない」と、当時を振り返る。そんな津田に、先輩経営者が手を差し伸べてくれた。
「本当に助かりました。そこからです、僕の思考が変わったのは。『生きている』という表現自体がおこがましい。自分一人で生きているのではない、まわりの方たちのおかげで『生かされている』のだと。そこから、社会や人に貢献しようという発想に転換しました」
改めてビジネスを見直し、「あったらいいな」を「あってよかった」にすることに、より強くこだわるようになった。大手検索サイトにはない、ニッチだけれど、その世界にいる人にとっては便利な、かゆいところに手が届くような、そんなサイトを作っていこう、と。
『モバイルサイトデザインアーカイブ』は、まさに想いが具現化したサービスだ。Web制作者向けに、仕事に使えるデザイン性の高い画像を集めた。その後同サイトはiPhone用、Webサイトのパーツ別とシリーズ化。書籍にもなった。
そして、コンテンツをデザインから人に置き換えた『ガクセン』を2011年に発表。さらには、日本で学ぶ優秀な外国人学生をスカウトして採用する『ガクセングローバル』、学生が社長に同行してインターン経験を積める『社長のカバン持ち』など、展開を広げている。
「キラリと光る技術や、尊敬できる理念を持つ中小企業って、たくさんありますよね。例えば、一般には知られていないけれど、NASAに納品する特注ネジを作っているような。でも、そういった企業はなかなか表には出てこない。特に就活においては、検索されづらい。結果、優秀な人材を獲得できていないんです。また、後継者や技術者不足で悩んでいるところも少なくありません。従来の採用制度のままでは、優れた企業や技術が廃れてしまい、ひいては日本経済そのものが衰退してしまうでしょう。でも、『ガクセン』ならそんな企業と幹部候補レベルの優秀な学生を結び付けることができる。企業にも学生にも、ブレークスルーとなる機会を提供していきたいと思います」
同社には、大手企業の内定を蹴って入社した新卒社員、大手自動車メーカーから転職してきた社員など優秀な人材が集まっているそう。「会社は『面白い仕事』を用意できない。そこにはただ『仕事を楽しめる人』がいるだけである――記事で目にしたその言葉に深く共感しているという津田社長。自身が挑戦を繰り返してきたからこそ、能動的に行動して自身の成長を楽しめる人たちに、良い出会いを提供したいという想いが強いのでしょう。
1978年、三重県生まれ。法政大学を卒業後、2004年に米国テキサス州にあるUniversity of Dallas にてMBA を修了。帰国後は新日鉄住金ソリューションズ株式会社に入社し、数多くの大型プロジェクトで実績を挙げ、新人MVPに選ばれる。その後独立し、2008年にニューインデックス株式会社を設立。これまでに1,000万ヒットクラスのWebサイトを複数立ち上げた実績を活かし、新たなビジネスを展開している。
インタビュー・編集:青木典子、杉山忠義
カメラマン:平山諭(インタビュー写真)
「楽しく働く」をモットーに最速で支店長へ。直感を信じ、女性のキャリアモデルを体現。
「人」「食」「社会貢献」を起点にビジネス総合力を身に付け、即戦力として活躍
BtoB特化のマーケティングと営業DXという希少価値の高い領域で 企画から実装まで手掛けるプロ集団
文化とコミュニケーションの発信を通して、心が豊かになる時間を生み出す
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